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ロンドン地下鉄の物語:亡き夫の声を求めて

イギリス、ロンドンの地下鉄は世界最古で、1863年に開通したそうです。
ちなみに、アメリカ英語で "Subway"、イギリス英語では "Underground"と言います。トンネルの断面がほぼ円形で管(くだ)のように見える事から、Tube(チューブ)という愛称で呼ばれ親しまれています。

ロンドンを訪れた事がある人なら、気軽に乗ることができ、簡単に観光地へ行けるこの地下鉄を利用した事があると思います。
私は25年くらい前に初めて旅行に行った時この便利なTubeを気に入り、路線図が描かれたTシャツを購入しました。

地下鉄の駅に行くと、よくアナウンスで「MIND THE GAP」というフレーズが聞こえてきます。これは「隙間に注意して」という意味で、日本で言うところの「列車とホームの間が広くなっているのでご注意ください」という意味です。イギリス英語だと「気を付けて」に、 "Watch" ではなく "Mind" を使うんですよね。最初は意味がわかりませんでした。


今回紹介したいのは、このアナウンスにまつわる実話です。

毎日のようにEmbankment駅を訪れベンチに座り、電車には乗らない年配の女性がいました。彼女は駅のアナウンス「MIND THE GAP」の声を聞くために訪れていました。なぜならその声は亡くなった旦那さんの声だからです。しかし、ある日からアナウンスがデジタル音声に変わってしまいます。

ショートムービーがあるので、ご覧ください。

彼女(マーガレットさん)は、旦那さん(オズワルドさん)が亡くなってから5年もの間、彼の声を聞きに駅に行ったそうです。
動画は脚色されていますが、彼女は夫の声を後世に残したいと要望し、その結果、Embankment駅ではオズワルドさんの声によるアナウンスが継続されることになりました。

実際のマーガレットさんを紹介したニュース動画があります。オズワルドさんの "MIND THE GAP"の声を聞くことができます。
最初にこの話が紹介されたのは2013年頃のようですが、10年以上経過した2025年の今でもエンバンクメント駅に彼の声が流れているそうです。

時代が移り変わるとともに、大事に思っていた場所や物、人が周りから消えて行ってしまいます。そこに存在するのが当たり前だと思っていたのに、ある日突然終わりが来ることも。そうなった時に後悔しないように、毎日を大切に過ごさないといけないなと、改めて思いました。

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