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【研究開発費等と会計処理】
皆さんこんにちは。
カカオです。
今回は研究開発費等とその会計処理について勉強しています。
研究開発費は大したことないですが、市場販売目的ソフトウェアの会計処理については、本番注意が必要だなと感じました。
それでは見ていきましょう!
研究開発費の意義
研究開発費とは、研究活動及び開発活動に係る費用をいいます。
ここで研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査及び探究をのことを指します。
また、開発とは、新しい製品・サービス・生産方法についての計画もしくは設計、または、既存の製品等を著しく改良するための計画もしくは設計として、研究の成果その他の知識を具体化することをいいます。
ようは新しいものを作る活動や著しい改良ってことですね。
研究開発費に含まれる原価要素
研究開発費には、人件費、原材料費、固定資産の減価償却費および間接費の配賦額など、研究開発のために費消されたすべての原価が含まれるとされています。
また、特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権などを取得した場合の原価は、取得時の研究開発費となります。
こちらはなかなか具体的なイメージがつかないのですが、文面通りなぞらえれば、研究開発にかかったものはすべて研究開発費になりますよってことですね(まんまじゃん笑)。
でも案外、ひっかけ問題で問われる部分でもあります。
もし問題文に「研究開発のために備品4,000千円を購入した」とかあったら、いつも仕訳するように資産計上していいか疑義がありますね。
研究開発費の会計処理
研究開発費は、すべて発生時に費用として処理しなければなりません。費用として処理する方法には、一般管理費として処理する方法と当期製造費用として処理する方法があります。
ここで、研究開発費はその期だけでなく、将来にも利益を生み出すのに貢献しているから繰延資産的な感じで資産計上していいんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。この疑問については、企業会計審議会(会計の基準とかについて話し合うお偉い機関)の『R&D意見書三2』にて費用処理される理由が主に三つ挙げられていますので、気になる方は調べてみてください。1分程度で読み終わるかと思います。
そのうちの理由の一つを述べておくと、研究開発したからといってそれが収益化につながると断言できないので、資産に計上するのは軽率だって言ってます。
ソフトウェアの意義
研究開発費等の中には、前述した研究開発費のほかにソフトウェアがあります。ソフトウェアも研究開発費と密接な関連性があるため、研究開発費等とひとくくりにされています。
ソフトウェアとは、コンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラムなどをいいます。
例えばWord(文書作成ソフト)、Excel(表計算ソフト)、Spotify(音楽ストリーミングサービスアプリ)がこれに該当します。
皆さんのスマホの中に様々なアプリが入っていると思いますが、それら一つ一つがソフトウェアに当てはまります。
以下は余談になるので飛ばしていただいて構いません笑。
ソフトウェアと区別してコンテンツという言葉がありますが、会計上ソフトウェアと別個の経済価値を持つものとされ、ソフトウェアの中に含めないこととされています。コンテンツとは、ソフトウェアの処理対象となる電子データである情報の内容をいい、例えば映像・音楽ソフトウェアが処理対象とする画像・音楽データなどがあります。
Spotifyを例にすると、ソフトウェア(Spotifyのアプリ)に対し、コンテンツ(「白日」や「青のすみか」などの曲)といったイメージです。
よくアプリ広告とかでも、「~様々なコンテンツがこのアプリ一つで楽しめます!」といった文句を見かけますよね笑。
ソフトウェアの政策目的別の区分
では、ソフトウェアに関連した支出も研究開発費と同様発生時に費用処理していいのでしょうか?
結論からいいますと、場合によります(結論からいうとは?笑)。
ソフトウェア関連支出は、その政策目的によって将来の収益との対応関係が異なることなどから、ソフトウェアを制作する目的によって会計処理(=仕訳)が異なります。目的は以下の4種類に分類することができます。
・研究開発目的
・受注制作目的
・市場販売目的
・自社利用目的
研究開発目的のソフトウェア
すべて「研究開発費」として費用処理して終わりです。一番簡単です。まんまです。
研究開発するために制作するソフトウェアと聞くとイメージとしては一番イメージがつかめないかもしれません泣。
あと注意すべきなのが、研究開発目的以外の目的のソフトウェアに関連する支出でも、研究開発に係る部分があれば、それは研究開発費として処理することになります。
以下に述べる3種類でも研究開発性は疑う余地が残り続けます。
受注制作のソフトウェア
請負工事の会計処理に準じて会計処理します。
はにゃ?と思われた方も入るかもしれませんが、請負工事(相手から注文を受けて、工事を進めていき竣工にいたる過程)と今回(相手から注文を受けて、ソフトウェアの制作を進めていき相手にソフトウェアを提供する過程)とが重なることがイメージできるかと思われます。
請負工事の会計処理というと、工事進行基準、工事完成基準、原価回収基準といった用語が久しいですね。
市場販売目的のソフトウェア
こいつが今回のラスボスでしょう。会計の処理としては、費用として処理する部分と資産として処理する部分が出てきますが、売るまでの過程に着目して区分けしていきます。
ソフトウェアを売るまでの流れとしては、主に以下のようになります。
①制作開始~研究開発終了時までの支出
②研究開発終了後の費用
③製品としてのソフトウェアの制作原価
①の場合は、研究開発費として発生時に費用処理が原則となります。もしただ単にバグ取りや一部の機能変更と明らかにわかる場合には、研究開発費以外の費用(修繕費や保守費等)で処理します。
②は具体的にソフトウェアの機能の改良・強化の場合と、ソフトウェアの機能維持(バグ取り、ウイルス防止)の場合があります。
改良・強化の場合でそれが著しい改良(過半部分を再制作等)なら研究開発費、通常の改良なら無形固定資産(ソフトウェア)に計上します。
ソフトウェアの機能維持の場合は発生時に費用処理(修繕費や保守費等)します。収益的支出ですね。
③については、製造原価として処理します。
文面からだとイメージしにくいかもしれませんが、CDを想像してみてください。CDはまず原盤制作をします。これを複写してCDを大量生産して販売します。このとき、複写先のCDの素材にかかる費用(プラスチックやアルミニウム調達費)、素材をCDのあの円形に圧縮・デザインする費用、それにかかる人件費、試運転費等が③に当たります。
原盤(=製品マスター)完成にいたるまでの費用は①、②であり、製品化したあとの制作活動(複写)にかかるものは③で処理するということです。
なお、市場販売目的のソフトウェアにおいて研究開発終了時点とは、
1,販売の意思が明らかにされていること
2, 「最初に製品化された製品マスター」が完成していること
の二つの要件を満たすものとなりますが、こちらも覚えなくて結構です。
自社利用のソフトウェア
将来の収益獲得または費用削減が確実である自社利用のソフトウェアについては、その取得に要した費用を資産(無形固定資産)として計上し、その利用期間にわたって償却を行います。なお、以下の2点について留意しましょう。
ⅰ将来の収益獲得または費用削減が確実でない自社利用のソフトウェアは
費用として処理する。
ⅱ機械装置等に組み込まれているソフトウェアについては、当該機械装置
等に含めて処理する。
まとめ
今回の単元はいかがでしたか?
わかる人にとっては何でもないのかもしれませんが、私にはなかなかイメージの付きづらい単元だったように感じられます。
無形固定資産として計上したソフトウェアについては、さらにめんどくさい償却の計算があるのですが、それはまた別の機会があれば筆記したいと思います。
今回のまとめです。
・研究開発にかかる費用はすべて研究開発費!
・ソフトウェアは政策目的が4種類あって、それぞれ処理が異なる!
・市場販売目的のソフトウェアは売るまでの過程を3段階に分けて分析!
自分の時間が人生の華を咲かすための養分と信じて。
それではよい一日を。