雪が降っていたのは嘘ではなかった土曜日の出来事-レコードと演劇と中華屋
起きたら雪が降っていた。と気がついたのは真っ赤な嘘で、ラジオから流れるパーソナリティがそう言っていた。
窓を開けてタバコを吸おうとベランダに出た。
雪が降っていた。
ラジオは嘘を付いていなかった。
寒空の中、僕はセーターを着込んで街に出た。運動でもしないとねぇ。と夜の観劇の前に、キックボクシングジムへと向かった。
馴染みのインストラクターが知らない間にいなくなり、クラスが少し変わっていた。
渋谷のジムに顔を出すのは、数ヶ月ぶり。
「元気だったらそれでいいよ」。別のおなじみのインストラクターはそう言って僕に体幹トレーニングを課した。
変わらないなぁ、その笑顔できついメニューを課してくるの。
わかってる。その笑顔に負けて自分の実力以上の負荷をこなしていく。だから、体力もついたし、練習になる。
その繰り返しがいつしか自信になる。
わかっているねぇ。今日もしてやられた自分。真っ白なトレーニングウェアが汗で透けてしまうほどに全身びっしょりとなりながら、
スパーリングに近いディフェンスの練習。いつかくるべき本番に備えて。(来るの?いや。来させるよ)
練習終わり!キックのクラスの後に、おさらいをして軽くボクシングの練習もして汗を流して渋谷の街へと飛び出す。
なんとなくディスクユニオン。目的?ルー。だよルー。
カレーじゃなくってルーリード。
僕は彼の創り出す音楽が大好きだ。NYを体現する詩人であり存在がロックンロールでアートでまるで小説のよう。
お正月に、友人にオススメされて、彼のドキュメンタリー映画、「ロックンロール・マイハート」を見た。
中古で手に入れようとすると、お店によっては、1万円以上もしてしまうこの作品が、まさかのツタヤにあったので。見たのです。
イメージと違ったか?とんでもない。彼のクリエイティビティの素晴らしさを再確認するどころか、ものすごい豪華な周辺人物たちが
「ひたすら彼を褒めていく」と言う構成になぜだかファンである自分まで褒められていくような気分になってくる。
そこでなんとなく、アルバムを集めていってみようかなと思った次第。ふらっと。
中古レコードって、「これが欲しい」と思った時には、案外見つからないもので、意識していないものがさらっと出てくる。そう言うもの。
だから、お目当ては見つからないことはわかっている。だけど新入荷の棚から一枚一枚、昔誰かの思い出とともに過ごしたレコード達とすれ違っていく。
いいと思う。中古レコード。作家の思いが誰かの思い出になる。そして今度は僕と一緒に時間を歩んでいく。
そんな存在って実はない。
安いから中古レコードを買うのではない。「物語を紡いでいくために」きっと中古でレコードを買う。
実はね。案外ね。あるの。新品で再発されていたりするの。でも、中古レコードで買う。こだわりは特にないんだけど。
無意識のうちに誰かの物語を引き継ごうとしているのかもしれない。そんなもん。そう言う気分。
で、肝心のルーリードはもちろん、ない。出会わない。そんなのでCDを適当に買った。
こんなラインナップです。中古は先日レッチリに復帰したジョンフルシャンテのアルバムなので、新譜をご紹介。
石指拓朗/ナイトサークル
ギター、マンドリンなどのアコースティック楽器を駆使した音の粒度の高さが素敵です。
TAWINGS/TAWINGS
海外バンドのサポートなどで活躍しつつ昨年1stアルバムをリリースしたインディバンド、TAWINGSの1stアルバム。
そういえば買っていなかったと。
Homecomingsが日本のインディバンドです!とすれば、こちらは帰国子女のような感じがしてしまう。
結論はどちらも好きなんですけど。
と、こんな感じではあります。ようこそ我が家へ。
それで、所用で新宿郵便局へ。
着いた時にはたくさんの人が小包や、手紙を抱えて椅子に座っていた。要は、大混雑。
50人待ちくらいの番号札。びっくりでした。
まぁ、これもそれだけ「誰かに伝えたいい手紙」が存在すると言うことで、ノンコミュニケーションではない「繋がっている感」があるなぁとよしとします。
伝えたいことがある世の中は健全でもありますね。
さて。本題。キックボクシングも、ディスクユニオンも副題。偶発的な出来事です。
今日は演劇を見にいくんだった。と、阿佐ヶ谷へ。
見てくださいな。この裏路地から地下へと続く階段を。
見にいくのはナカゴーという劇団。もう数年教えてもらってから通っているのです。
「ひゅうちゃんほうろう」と言う人さらいの妖怪が出る堀船の街を舞台にしたドラマなのです。て言うか、なんだ人さらいとの対決って 笑。
昨年の公演では、飛鳥山公園が実はブラジルと繋がっている扉があるとか・・・そんな思いつかないような設定が毎回面白いのです。
不思議な言語感覚なんです。シンプルにシンプルに言う事が正しいと言われている昨今だけど、その部分を過剰に肉付けする事で笑いに変えていく、逆に言葉のセンス良すぎなのではと思うセリフの数々。
過剰って、少しうざったい時もあるけれど、逆に度が過ぎるともう、受け取る側は笑うしか無くなるので、どんな出来事も精神的に許容できてしまう。
そんな中で最後はファンタジーとなる摩訶不思議な作品を毎回見せてくれるのです。
今回も満足しましたよっ!とお腹が空いたので、駅前の「正しき中華屋」へ。なんとなくシンプルにチャーハンが食べたくなる店構え。
美味しかったなぁ。対応が自分の家のようにあっさりしていて逆に落ち着くと言う。大好きだ街の中華屋。
お腹が満たされたので、書店に寄るか迷った挙句、僕は帰宅して湯船に浸かることを選んだのでした。理由?
寒いからです。寒いとお風呂に入りたいでしょうに。
と、2020年1月18日の土曜日。雪の東京。増田の1日でした。
ナカゴー、まだ見れるうちに行った方がいいよー!と思ったら19日まででした。4月に本公演があるみたいなのでそちらで。