気がついたら僕は西の方向に向かっていた7月のある日の出来事。

ある日思いました。ふわっと。

「知らない街に行こう・・・。」

なんか、突然自分探しを始めてしまった旅人さんのようでいい大人がアレなんですが、好きなんです。気分をガラッと入れ替えたい時に見知らぬ街に行き、知らない店に入り、知らない人たちと話をするのが。

それだけだとなんだか物足りないので、大好きな奈良にも足を運び、お堂の中でぼーっとしてこようと思い立ち、金曜日にDJをしたあとに、朝、新幹線に乗り、一路西に向かいました。

(僕は飛行機が苦手なので、基本は新幹線に乗ります 笑)


向かった先は、大阪です。えっ!?大阪?と思われるかもしれないのですが、

京都、奈良はたくさん行くのに、大阪は出張で1回しか行ったことがないのです。しかも、郊外に行って、そのまま帰るだけ。


だから、キタだとか、ミナミ!だとかなんのことだかわからないのです。

本当に 笑。


で、少し旅のコンセプトから八百長が入るのですが、金曜日夜のイベントの大阪版が土曜日にあるとDJ後に知り、なんか飛び入りできそうな感じ・・・だったので・・・一応・・・音源を・・・少し・・・持って・・・旅に出たのです。

でも、あくまで目的は観光です。ただの旅。

新幹線はただ、僕を乗せて大阪の街に着きました。何をしましょう。


とりあえず僕は難波というところに行きました。そう。漫才でも見ようと。

こんなに豪華な芸人さんが出演するのにこのお値段!この回だけ立ち見券が取れ、劇場に入り、現在のおそらくナウいとされる漫才に笑い転げました。

でも、僕は15年ぶりくらいにステージを見るシャンプーハットに心を掴まれるという 笑。

で、夜です。そのDJイベントに静かに足を運びました。


そして・・・飛び入りしました 笑。機会をいただけましたのです。

こんなどこぞの者かもわからない人間に快く(?)親切に!40分も!

心を込めて音楽をかけさせていただきました。何よりもみんな親切・・・なんだろうってくらいに優しく、暖かい・・・もうこの時点で大阪、大好きです。


さて、翌日。そのお店の常連さんたちが飲み歩きに連れて行ってくれました。

難波をとにかく目に付いたイケそうな店に入り、少し飲み食いし、「はい!次!」と移動です。

1軒目、焼肉とホルモン。そして笑い転げ。

2軒目、オイスターバー。意識高めのカキと日本酒を前にして、見知らぬカップルと日本の城郭について熱く語り合う。

3軒目、馬肉とホルモン鍋の店。この辺りからよくわからなくなってきて、同じ道を何周かし始めます 笑。会話の内容も全く書けない話になってくる・・・。

4軒目、寿司屋で刺身と握りとワインと日本酒。もう、同じ話が繰り返されていきます。

5軒目、そろそろ夜中になってきたので、締めです。語れるバーを探し、35年も続いているイケてるママが経営するバーで、ひったすら語ります。

音楽→スポーツカー→世界のこと→大阪事情。

ひったすら語り合い、気がついたら3時間半以上過ぎており、もう、明け方が近くなってきていました。

帰ろうと歩いていると、なんか目に入るもの目に入るものを説明してもらい、もう、なんかパンクしそうなくらいにこの街の必要な情報から一生知らなくてもよかった話題まで詰め込まれていきます・・・。

気がついたら・・・チェックアウトの時間でした。


そう、お気づきでしょうね。本来の目的である寺巡りが1mmもされていない。マズイ。

だってね、旅に出てしたことは

・漫才を見る

→大阪らしい!

・定食屋で生姜焼きと唐揚げ定食を食べる

→おなじみじゃん。

・レコード店で新譜を買う

→日常じゃん!

・DJをする

→おなじみじゃん。

・大型家電量販店でヘッドフォンを視聴

→おなじみじゃん!

・喫茶店で13時から4時間半くらい現代音楽と最新のインディミュージックとアートと写真家について語り合う(聞く人が聞いたら狂人に近い会話)

→有意義だけど、なんか旅行ではない!!!

・タワーレコードで新譜をたくさん視聴する

→新宿とか渋谷と同じ!

・夕方から9時間近く5軒をはしごして朝まで飲む

→こういうの生まれて初めてだけど、地域性もあるけれど、旅っぽい!?

・温泉に入りだらける

→旅情があるかもしれないけれど、カプセルホテルだからね 笑。


うん。旅をしよう。と、いうことで僕は大好きな近鉄電車に乗り、奈良に向かうのです。

で、途中で降りたくなって・・・。

生駒山に行ってみた。そう宝山寺です。

生駒山はネコやイヌのデザインがされたまるである日の記憶にある遊園地のようなケーブルカーに乗り、登っていくのです。


この生駒山は、昔から神が住む山として崇められている場所で、この宝山寺は、宝山湛海律師が大聖歓喜天を山の鎮守として修行ができて、理想となるお寺を建立したらしいのです。

「生駒の聖天さん」として、親しまれているご利益がありそうなお寺なのです。


で、山道を登り、門前町に入ったところであら素敵!(写真上)

新緑、坂道、ネオン看板、喫茶店の道案内、丸い郵便ポスト、電話ボックス。

なんて心安らぐ風情・・・。時が止まっているとか言うと怒られるけれど、僕の中ではいつまでも心の中に描いておきたい風景がここにあるのです。

そして宝山寺。

山の斜面を利用して数々のお堂が建てられている境内は、まさにコンパクトに理想。1日いられる場所です。

なんて落ち着くのでしょう。そして、護摩修行のための奉納物。なんてご利益がありそうなのでしょう。


このお寺は、本当に地元の方に大切に大切に守られてきているのが分かるなぁ・・・なんて感じる素敵な場所でした。心、洗割れた!とてもミナミで乾杯!としていた自分からは想像もできないような振れ幅。いいですね。


そう。人生はある程度振れ幅があった方が、どちらか片方を目指す上でも大事なんですよ!とか意識高く言ってみたりもしました。


そして、奈良市内へ。もう、新幹線の時間まで1時間しかありません。

目的は1つです。19年近く年1で通う、東大寺の法華堂(三月堂)です。

東大寺で現存する中でも、一番古いお堂ですね。ここについては、仏像好きの方には、説明不要でしょう。もう、ね。ここなんですよ!

不空羂索観音を本尊に、どちらかというと、各所から集められてきた仏像をずらっと並べているのです。

その感じがたまらない。京都の東寺は、空海プロデュースの立体曼荼羅だし、三十三間堂も1000体の千手観音を並べてあるしある程度のコンセプトがあるのです。

でも、ここは置いてある。だから、密度がすごいのです。全体的に押し迫ってくるような・・・。


そして何よりもお堂の作り!座敷のような腰の高さでちょうどよく座れる場所があり、そこからお堂全体を見渡せるのです。

もちろん、近づいて技術を集結させた国宝の数々を見るもいいでしょう。

でも、ここでの醍醐味は、本尊との対話です。

増田、やばいんじゃね?って思われるかもしれないですけど、ぬいぐるみさんとお話しするとかとは違います。

ただ座り、そこから不空羂索観音を見上げる。そうすると、何か見透かされてしまうような感じになるのです。

お堂はピークタイムを除けばほぼ1人になる時間もたくさんあるくらいなので、静かです。

そこで、数々の脇侍に見守られながら、本尊を見上げると、目が合うのです。

そして、1年間経ってまた来ましたよ。とこれまでとこれからを心の中で唱えてみるのです。

あとは、ぼーっとしているもよし、なんとなくうとうとしてしまう時もあります。

そんなこんなで考え事などをしているうちに軽く30分は過ぎます。今まで最高は・・・90分はいたことがあるかもしれない・・・。

それくらいここが落ち着く場所世界一なのです。おそらく・・・一番好きな場所。

ここを見ていたり、宝山寺を見ていると、感じることがあるのです。

お参りして、手を合わせて何かを唱える。最初はそれって願い事を言ってみたりするものだと思っていました。

でも、なんか気がついた。


これって、願い事のつもりが、要は自分が今していること、これからしたいことを気持ちの中で整理をつけるためにある時間じゃないかって。


すごく整ったのです。まさに「心を整える」笑。


ああ、だから、考え事したりするのにいい行動なのかなって思います。


これからもね、行くでしょう。奈良。


1300年以上も残っていること自体が奇跡的で、永遠はおそらくないです。

でも、僕は仏像が例えなくなったとしても、この場所に行くだろうな。

それくらいの空気がもう、古代からこの土地には充満しているのです。

この空気だけは・・・永遠であって欲しい・・・地元でもなんでもない外部の人間の勝手な想いだけれど、自分が日本人でいるとしたらあって欲しい・・・。

それが僕にとっての奈良です。

でもね・・・。

もう一つ大好きな理由があるんです。

「インターナショナル!」

この言葉が奈良はぴったりなんです。今、世界中から観光客の方が訪れているのでそれはそう感じると思うんですけれど、京都や鎌倉が、日本の風情を感じる場所だなぁと思うのに対して、奈良は最初から国際的な開放感があるんです。

それは、唐招提寺の金堂がまるでパルテノン神殿かよっ!って思うのと同じかもしれないのですが、この全体的に広がる空気が開放的すぎるのです。


もちろん、大仏が完成したかの時代、開眼法要には世界中から僧が集まり、祈ったともされていますし、大仏殿の前ではボブディランのライブも行われています 笑。


でもね、なんか文化ではなく、世界の人がいても全て包み込んでしまうような包容力を備えた街だなっていつも思うのです。

それ、すごいですね。もちろん、かの地から渡ってきた僧の方々の力も街づくりに存分に発揮されているからかもしれませんが。


とまぁ、こうして堪能してきたのでしたっ!


雑だな!!!



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増田ダイスケ
新しいzine作るか、旅行行きます。