from TOKYO to everywhere.
最近、夏だなと思う。当たり前なんだけど、夏だなと思う。
いつもと少し違うのは、フジロックもサマソニもなくって、毎年「夏フェスやで」というものがなくて、マスクをして息苦しく過ごしていて、
知らない人と距離を取らないといけないことだけ。
世界中をなんか冬から春にかけて覆い始めた目に見えない何かに怯えたり、必要以上に過敏になったり窮屈だ。
思えば、人生なんて解放感にあふれていること自体がそもそも少なくって、「少しくらい苦労しなよ」とかよくわからないことを言われて、育ってきたりする。
苦労って必要なのかなぁと昔から思っている。
「かわい子には旅をさせる」だとか「獅子の子落としとは、わが子に厳しい試練を与え、その器量を試すことで一人前に育てることができる」という言葉もあるんだけど、
別にいいじゃんって思う。
それはあくまでも誰かの主観であって、受け取る側は別にそんなのどうでもいじゃんとか思って過ごしてきた。
じゃあ、今、僕たちが直面しているのは、何かしら未来に対して役に立つ試練なんだろうか?
それもなんか違うなーなんて思うんだ。
試練を必ず受けることと、経験を引き出しに入れることは明らかに、違う。
正直、つまんない日々を過ごしているのか?といえば、そんなこともなくて、気をつけながら過ごしていると、楽しいことはいくつかある。
落語は面白いし、映画は面白いし、友達は大好きだし、近所のラーメン屋は美味しい。
少しだけ違うことに過敏になっていた自分は・・・正直、いるよね。いるんだよ。
過敏に少しだけなっていたら、なんか無理やり楽しいことを探そうとし始めてしまった。
そしたら、圧倒的につまんなくなった。
楽しまなきゃという意識の強さは、僕たちの楽しさの可能性にまるで両側から迫りくる壁のように、余裕を奪う。
じゃあ何すっかなーとか考えていると、そう思った瞬間に、僕は普段通り過ごしてみることにした。
美術館に行き、寄席に行き、映画を見て、友達と会う。
もちろん少しだけ怖いので、人混みにはいかないし、電車も空いている路線を選ぶ。
▼見たもの
1.STARS展 - 現代美術のスター達 - 日本から世界へ
現代アートの日本のスター大集合。
草間彌生
李禹煥(リ・ウファン)
宮島達男
村上 隆
奈良美智
杉本博司
というラインナップで彼ら / 彼女達の歴史と、世界での功績をまとめた「日本発世界へ」の歴史の数々。
日本という国は実は恐ろしく面白いのではないかと、大学時代にイギリスに住んでいて思った。
少しだけありえない文化が融合している。
クールジャパンなんて言葉が出る前のこと。そもそも、作品がクールだとかではなくて、
隣同士で並ぶことのないような光景が隣接している。
僕らは、その世界に慣れてきた。いつの間にか、似たようなものが各地に並ぶようになったけれど、「組み合わせること」が日本のオリジナリティでもあり、短所でもあり、最大の長所だ。
なんでもできる可能性がある。そんな国。日本。TOKYO。
だから僕は東京から引っ越さない。遊ぶだけならきっとロンドンやニューヨークに行く。だけど、東京が好き、つまりはそういうこと。
2,MANGA都市TOKYO - ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020
日本の漫画、アニメ、ゲームに登場する東京の光景。そんな街中での文化をなぜ、作品に昇華されているのかを江戸時代などの東京の発展から作品との連動性を読み解いていく。
作品が生まれる背景には、社会的な出来事があり、その時代の空気を捉えることにより、触れる日智達にリアリティを付け加える。
古典落語の世界から、バーチャルの世界までをなんで人は東京という街を舞台にこんなにも多様な表現をすることができるんだろう。
それは、何度も大火や震災、空襲に見舞われ、その都度自力で復興してきた東京という街での暮らしの中での人々の生活がそもそもの物語になるからなのかなーなんて思う。
日本から世界へ。東京の深部を洗い出す。
表現はいつだってその時を生きる誰かのためにある。
単に作品を作るだけではなく、受け取る人たちがいてこそ、作品は意味を持つ。
きっとそう。
またね。