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「誰もが居場所、あると思うし別に生きる権利あるし」 - まるで人間模様のDJミックスのようなコンプソンズの演劇を見てきて感じたことは「生きていていいのだ」ということ

演劇をよく見ている。というか、自分がディレクターで関わらせていただいている団体もあるのだけど、相変わらず、時間さえあれば下北沢あたりの劇場をうろうろとしながら見ている。

「コンプソンズ」という劇団が大好きだ。もう、知ってから毎回友人を誘い、「今、見て欲しいから!」と一緒に観に行っている。

何より知ったきっかけの通り、チラシのデザインがかっこいい。

(最初に知ったのもあまりにかっこいいチラシのデザインを持ち帰ったからでした)

【コンプソンズ】
2016年、金子鈴幸・星野花菜里が主宰として明治大学 実験劇場を母体に発足。ある実在の出来事を題材に事件から事件、あるいは現実から虚構を縦横無尽に渡り歩く作風が特徴。速射砲の如く繰り広げられるナンセンスギャグとこじつけによって物語はあくまで物語としての結末を迎える。

毎回、新作が発表されるのが楽しみで楽しみで仕方がない人達の社会への提案(なんて難しい話でもないけれど。

今回、#7「何を見ても何かを思い出すと思う」が、下北沢で上映されていたので、いつものように、友人達と観に行った。

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一言で表すと、「今回もカッコ良すぎた」に尽きた。

この作品は

2020年3月に新型コロナウィルスにより中止となった演劇作品『何を見ても何かを思い出すと思う』を、2021年4月下北沢・劇小劇場にて上演致します。

というもので、オフィシャルサイトから転載させていただくあらすじを書いておくと、

有名なカレー屋に向かうカップルがいて、手応えのないライブを終えたバンドマンがいて、劇団で売れようとしてたのに一人だけ事務所に入って後ろめたい役者がいる街で、「まぁそんなことはほっといて銭湯でも行こうよ」とはしゃいでると「うるせぇんだよ」とヤバイ目をした男に絡まれる。あーあと思ってツイッターを見ると噂がかけめぐっている。
「下北で向井秀徳が路上ライブやってるらしい」 2010〜2020年のあいだに移ろいゆく人間関係を描く、青春群像劇。


という青春群像劇(らしい)。

まとめると。「それ、あるよね」だった。
昔からずーっと一緒の3人組がいて、その周りでチャンスを掴もうとして出たり入ったりする人がいて、あんまり深く関わっていないけれど、
「いるよな。名前も思い出せないけれど、うっかり関わると危なくて、できれば親良がたいやばいやつ」がいた。
そしてそんな人に限り、SNS、特にFacebookで絡んできたりする。

----以下これから配信もあるので ネタバレも含まれます---

知らない間にそれぞれのいる時間軸が変わってしまい、でも連絡はついてしまうので、自分が今いる時間(年代が)わからなくなってしまう。
だけど、その中の登場人物たちは、何かしらで過去に関係性絵を持っている人たちで、お互いの今の存在と立場を確認しながら、
時間を行き来する。

そして毎回登場する、「やばいやつ」と避けたり、関わらざるをえなかったりしながら各々の「今の時間」を生きようとする。

これは青春群像劇なんだろうか・・・と思いながら見ていると、ある1つの誰もが経験する友人達との離れられない運命の交錯する、
人間関係を登場人物それぞれの姿を「どれかはきっと昔やこれからの自分」に重ね合わせられる「もしかしいて居場所ないと思っている人たちにもそれそれ役割、あるから」と言ってくれているような自己を肯定してくれるかのような多様性の優しさに溢れていた。

もちろん、相変わらず「今後一切関わったらやばい人」は出てくる。

作・演出の金子鈴幸さんのグルーヴが心地いい。時間と感情と善悪を行き来する観劇の時間。

演劇を作るというよりも、これは金子さんによる「人間をレコードに見立てたDJミックス」に近い。

相変わらず見れてよかった。もしかしたら見た人達全てに「大丈夫」と言ってくれている気もした。

何より、途中(詳細さける)出てくる細かいカルチャーへの比喩表現や、ブラックユーモアに対する描写の選ばれかたもカッコ良くて、
それを実現してしまう出演者の皆さんたちが羨ましいくらいの「バンド」だった。

すごいものを見せてもらえたなって唖然としながら友達と感想を話しながら歩いた。

昼間、みんなで下北泡を舞台にした映画、「街の上で」を見てから劇場に行った。

前者の映画は「下北沢という街の中で起きている、下北沢という街の人間模様」。
後者のコンプソンズの演劇は、「下北沢の劇場で上演されていた(たまたま?)、世の中で起きている多分下北沢から外に目を向けた人間模様」。

そちらもこの街での出来事。

そんな人にでも生きていく理由と居場所を与えてくれて、多様は素晴らしけれど、そこに甘えると人生ブレるよっていう本質的すぎる時間だった。

やっぱり、常に見ておかないと、自分の感性のすり合わせができない人たちだった!!!!

アーカイブあるらしいですよ!

【配信公演】
□日程
4月17日(土) 14:00
18日(日) 14:00
両日ともにアフタートークつき

□料金
2000円

□ご予約はこちらのURLから▼

17日14:00
http://teket.jp/851/3204

18日14:00
http://teket.jp/851/3205

相変わらずいつもかっこいいチラシのデザイン

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増田ダイスケ
新しいzine作るか、旅行行きます。