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試験に出るヒビの話(2)

前回は躯体の構造上の問題で発生するヒビについて話しました。
今回は試験に出るヒビの話(2)としてコンクリートの劣化を原因で発生するヒビです。

  1. 硬化時に発生するヒビ

  2. 構造上の問題で発生するヒビ

  3. 劣化により発生するヒビ

試験にもっとも出る頻度が多い内容です。
しっかりと覚えましょう。

アルカリ骨材反応

コンクリートの成分はセメント、水、砂、砂利(骨材)が基本ですが、コンクリートはアルカリ性であることも理解していますね。
骨材はシリカ鉱物、ガラス鉱物を含むものも多く、これらはアルカリ性では徐々に溶け出す性質があります。
この反応は速度が遅く、躯体に影響が出始めるのが完成後、数十年以上経過してからと言う例もあります。
骨材が溶け出すことに化学的影響と溶け出したことによる骨材の体積減少、強度低下など複合した影響でヒビが発生します。

凍結融解作用

寒冷地や高地にある建物で見られるヒビです。
コンクリート表面の水分が外気により氷、溶解を繰返すことで発生するヒビです。
水が凍ることによる体積膨張が原因と言われています。
特徴は亀甲状の細かなヒビが発生します。
その後、徐々にヒビが大きくなり、表面の一部がフレーク状に剥ぎ堕ちます。

中性化

もっとも重要なヒビの発生原因です。
空気中の二酸化炭素がコンクリートに徐々に浸透することでコンクリートの炭酸化が進み、アルカリ性も失われ中性に近づいて行きます。
これは表面にヒビの有無に関わらず起こっている現象です。
このことを忘れず!!
コンクリートの中性化が起こると内部の鉄筋表面の不動態(極めて安定した状態)が失われます。これによって鉄筋が錆ることで体積膨張、膨張圧でコンクリートにひび割れを生じます。

塩化物の浸透

塩化物自体はもともとコンクリートに含まれます。
コンクリートの現場の試験項目にもありましたよね。
塩化物は、一定量以上になるとコンクリート中の鉄筋の錆が塩化物イオンの存在により促進され、体積膨張が起こり、コンクリートにひび割れを引き起こします。
ここで注意が必要なことは塩化物の過多が直接にコンクリートの強度を低下させる要因にはならないと言うことです。
あくまでも鉄筋の錆びるスピードを加速させる要因だと言うことです。

疲労

橋などは常時、振動と上下運動を受け続けます。
これによりコンクリートは異なる方向の力を受け続け、破断します。
これによりヒビが発生します。
マンションでは見られませんが、屋上に太陽光パネルなどの重量が大きな設備を設置するような場合には、竣工時の耐力計算とは異なるため下層階に想定外の負荷がかかり、ヒビが発生することがあります。
疲労と言うよりは積載過多による構造上のヒビに分類されます。

以上がコンクリートの劣化により発生するヒビです。
疲労以外はいずれも過去に出題されたことがある問題です。
確実に身につけておくべきでしょう。

次回はヒビの発生を防ぐ塗装の話です。
外壁とも大きく関わる部分です。



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