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試験に出るヒビの話(1)
前回はコンクリートの硬化時に生じるヒビについて話しました。
(興味がない人が多かったようですけど・・・。)
今回は試験に出るヒビの話(1)として構造上の問題で発生するヒビです。
硬化時に発生するヒビ
構造上の問題で発生するヒビ
劣化により発生するヒビ
開口部の発生するヒビ
躯体には開口部が幾つもあります。
躯体は常時、上階の荷重を受け、さらに振動による横の力(引張)の力も受けています。
それを支えている役目が柱や梁です。
しかし、開口部には柱や梁は無く、コンクリートは異なる方向から力を受けることで亀裂が発生しやすくなります。
これが構造上の問題で発生する代表的なヒビです。
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このヒビの特徴は開口部の四隅に多く見られることで、縦方向にヒビが発生します。
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ピロティー構造
1階が駐車場になっているマンションをよく見ます。
ピロティー構造と言われる作りです。
ピロティー構造でもヒビを見ることがあります。
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柱の本数不足
大きな空間を造るためには柱は邪魔になります。
このような場合もコンクリートにヒビは発生します。
上階からの荷重を受ける柱の間が広すぎることで左右の荷重バランスが壊れ、ヒビが生じるケースです。
特徴は柱に沿ってヒビが生じることです。
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このようなヒビが怖い点は、突然にヒビが発生して徐々に大きくなることです。
このようなヒビが発生した場合は、構造上補強が必要なケースが多く、大掛かりな修繕工事になります。
沈下によって起きるヒビ
躯体重量は基礎部分で支えています。
基礎が不十分な場合、躯体重量を支え切れず地面に沈み込む現象が起きます。
これを沈下と言いますが、この場合、躯体には設計時と異なる力が加わります。
所謂、捻じれの力です。
このような状態になると躯体の弱い部分、開口部、柱、梁などに想定外の力が加わり、ヒビは色々な箇所に発生します。
まとめ
構造上に発生するヒビの原因
窓枠などの柱がない部分に発生するヒビ。特徴は開口部の四隅に発生する。
ピロティー構造に見られる柱と梁の強度不足によるヒビ。梁には縦方向のヒビが多く見られ、柱には横方向のヒビが見られる。
柱の間隔が広すぎる、柱の強度が弱い時に発生するヒビ。柱に沿って縦方向に発生するヒビ。
これらのヒビは、躯体の荷重に対してコンクリートに想定外の力が加わることで発生する。
ヒビは竣工直後にはなく、時間の経過とともに生じ、徐々に大きくなる特徴がある。
以上が構造上の問題で発生するヒビです。
次回はコンクリートの劣化によるヒビです。