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#9 打設の現場はこんな感じ(1)

打設の現場ってなかなか見ることはありません。
その理由は基礎が終わっていよいよ建物を作り始める前に工事現場の周りを防音シートや柵で囲うためです。

試験には直接関係しないけど、コンクリートの柱、壁、床がどのように作られるのかを知っておくべきでしょう。

基礎工事が終了した現場

基礎工事が終了した現場

基礎部分から鉄筋が伸びていることが確認できます。
いよいよ、壁、柱を作る前の状態です。

写真をよく見ると鉄筋が二重になっている部分がありますよね。
勘のいい方ならわかるはず、鉄筋を繋ぐ時の重複する長さは?と設問があったと思いますが、まさにこのことが問題に出題されています。

このように現場を知ることは問題の意味を知ることです。

打設前の現場

木枠でコンクリート流し込む空間を作る

壁や柱を成形した部分に枠を作ります。コンクリートを流し込む枠です。
これを型枠と言いますが、この型枠がいい加減だと柱や壁にひずみやヒビが入り易くなります。
下層ほど荷重を受けることになるため慎重に行う必要があります。
型枠を作る板をコンパネと言います。

コンパネにも色々種類がありますが、要は仕上がり後の見た目で使用するコンパネを変えます。

黄色い板が塗装コンパネです

これを図面に従い正確に組上げて型枠を完成させます。
この時、コンクリートの重さに耐え、位置ずれを起こさないようにしっかりと板を固定する必要があります。

その時に使う道具に「セパレーター」「ガッツ」「Pコン」「単管」「ホームタイ」などがありますが、もっと知りたい方はgoogleで検索するとイメージが沸くと思います。

型枠が完成するといよいよ、コンクリートを打ち込む作業です。
流し込む作業のことを「打込み」と言います。
この打込み作業にも決まりがあります。
打込む前のコンクリートについての4つの検査はすでに説明しました。

知っておくべきこと

コンクリートの打込み作業にはルールがあります。
(覚える必要はありませんがこんなルールがあることは知っておくべきです)

(1)鉄筋や型枠が所定の位置から動かないように注意すること。
(2)打ち込んだコンクリートは、型枠内で横移動させてはならないこと。(3)打込み中に著しい材料分離が認められた場合には、材料分離を抑制するための方法を講じなければならない。
(4)計画した打継目(硬化したコンクリート上に打込みを行う作業)以外では、コンクリートの打込みが完了するまで連続して打ち込まなければならない。
(5)コンクリートは、打上がり面がほぼ水平になるように打込むことを原則とする。コンクリートの打込みの1層の高さは、40~50㎝以下を標準とする。
(6)コンクリートを2層以上に分けて打込む場合に、上層と下層が一体となるように施工しなければならない。また、コールドジョイントが発生しないよう、施工区画の面積、コンクリートの供給能力、打重ね時間間隔等を定めなければならない。


型枠で流し込む容量と使用するコンクリートミキサー車の積載容量からその日に必要な台数を算出、時間的継続性を失わないように工事が計画されます。
ミキサー車だけでは上階にコンクリートを送ることが出来ません。
ミキサー車はポンプ車と対で作業をします。

えっ、そんなの覚える必要あるの?
試験では必要ありませんが、大規模修繕工事に関わる時に必要です。
施工会社から提出される見積りに6㎥ミキサー車が20杯分、さて打設する体積は?その量が本当に必要ですか?
あるいはミキサー車の必要台数から待機する場所、ポンプ車の停車位置の確保など様々なことを考えて理事会に説明する必要があります。
まー受かる人だけが経験することですけどね。

打込みが途中で止まると固化したコンクリートにつなぎ目が出来たります。
型枠からコンクリートだけが流れでると骨材だけが残ります。
このような状態を打設不良と言います。
そうです。
試験でよく出るあの現象が起こる原因になります。
コールドジョイント、ジャンカが有名ですよね。(次回説明の予定)

十分に固化した後、型枠を取り外した後に確認される為、このような状態があると現場は大変です。
修復を含め大騒ぎになります。
躯体の基本構造が作る作業ですから当然です。
現場がとても緊張する工程が「打設」になります。
一般的に打設作業は階数分+屋上+基礎を行います。
例えば7階建てであれば最低でも9回行うことになります。

予定通りにコンクリートの流し込みが終了すると後は、完全に固まるまでの間は待つだけになります。
試験でよく出る「●●℃以上で○○日以上」です。

次回は打設不良について説明します。
コンクリートの最後に覚えることをまとめます。

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