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022-マン管過去問 平成30年度問31、団地管理組合
問題
団地管理組合や各棟の区分所有者が行うことができる行為に係る次の記述のうち、「マンション標準管理規約(団地型)及びマンション標準管理規約(団地型)コメント」(最終改正平成30年3月30日国住マ第60号)によれば、適切でないものはどれか。
1 .団地内のA棟内で、A棟の区分所有者が騒音、臭気等により共同の利益に反する行為を行っている場合に、区分所有法第57条により当該行為の停止を求める訴訟を提起する際には、訴えの提起及び訴えを提起する者の選任を、A棟の棟総会で決議する必要がある。
2 .団地管理組合の使用細則で、共用廊下には団地管理組合の承諾なく物置を設置することが禁止されている場合、当該行為をしているB棟の区分所有者に対しては、理事長が、理事会の決議を経て、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
3 .バルコニーを無断改造してサンルームを設置しているC棟の区分所有者に対し、共同の利益に反する行為を停止させるための訴訟を提起する場合、その訴訟の実施に必要となる弁護士費用を団地管理組合の管理費から拠出することについてはC棟の棟総会の決議で足りる。
4 .団地の近所に住んでいる者が、団地管理組合の許可なく団地内の敷地に不法駐車をしているときは、理事長は、理事会の決議を経て、その自動車の撤去及び損害賠償を請求する訴訟を提起することができる。
解答
3
解説
設問1
1 .団地内のA棟内で、A棟の区分所有者が騒音、臭気等により共同の利益に反する行為を行っている場合に、区分所有法第57条により当該行為の停止を求める訴訟を提起する際には、訴えの提起及び訴えを提起する者の選任を、A棟の棟総会で決議する必要がある。
騒音等の共同利益に違反する行為を行う人への当該行為の停止訴訟は各棟によって行うと定められています。
これは覚えていればすぐに分かる問題です。
団地組合は違反行為者への対応はできないと覚えましょう。
行為の停止請求以外にも引渡し請求、競売請求もできません。
以上のことよりこの設問は適切・・〇になります。
設問2
2 .団地管理組合の使用細則で、共用廊下には団地管理組合の承諾なく物置を設置することが禁止されている場合、当該行為をしているB棟の区分所有者に対しては、理事長が、理事会の決議を経て、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。
使用細則、規約違反を注意するには理事会の決議が必要です。
まぁ~実際には理事長の判断で注意をしているケースがほとんどですけどね。
これは団地でも棟でも一緒です。
団地の棟に理事長、理事会があれば棟単位でも勧告、警告を出すことは可能です。
以上のことよりこの設問は適切・・〇になります。
設問3
3.バルコニーを無断改造してサンルームを設置しているC棟の区分所有者に対し、共同の利益に反する行為を停止させるための訴訟を提起する場合、その訴訟の実施に必要となる弁護士費用を団地管理組合の管理費から拠出することについてはC棟の棟総会の決議で足りる。
共同利益に反する行為を停止させる訴訟は、棟総会で行う必要があります。
団地管理組合が出来ないことのひとつに共同利益違反の訴訟がありましたよね。
訴訟は棟単位で行うことになります。
3条管理を行う団地組合では棟の管理費から支出されます。
68条管理の場合は、棟の総会で訴訟の決議を決定します。
その上で団地管理組合に対して弁護士費用の支払いをお願いすることになります。
ただし、68条管理でも各棟の管理費は徴収しています。
そこから支出するケースもあります。
もし、団地管理組合の管理費から支出する場合は、団地管理組合の総会の承認が必要になります。
棟のお金は棟区分所有者で用途を決める、団地管理組合のお金は団地管理組合(全員)で用途決める。
これが大原則です。
以上のことよりこの設問は適切・・✖になります。
設問4
4 .団地の近所に住んでいる者が、団地管理組合の許可なく団地内の敷地に不法駐車をしているときは、理事長は、理事会の決議を経て、その自動車の撤去及び損害賠償を請求する訴訟を提起することができる。
団地の近所に住んでいる者は部外者ですよね。
団地管理組合は共用する敷地の管理も行います。
当然、部外者が敷地内で違反行為をすれば、行為の中止(車の撤去)と違法駐車に対する費用請求(損害賠償)を行うことが出来ます。
管理者の権限が区分所有法26条に定めてあります。(団地管理組合の理事長も準用されます。)
(権限)
第二十六条 管理者は、共用部分並びに第二十一条に規定する場合における当該建物の敷地及び附属施設(次項及び第四十七条第六項において「共用部分等」という。)を保存し、集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
2 管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等(*一項で共用部分等に敷地が含まれています)について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
3 管理者の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 管理者は、規約又は集会の決議により、その職務(第二項後段に規定する事項を含む。)に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
5 管理者は、前項の規約により原告又は被告となつたときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければならない。この場合には、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
この際の訴訟は、規約に上記26条4項が定められていれば団地管理組合の理事長が起こすことができます。
定めがなければ総会を開き、原告になる人を決めることになります。
5項で規約に定めがある場合は、「遅滞なく区分所有者にその旨を通知しなければならない。」と記載されている理由は、原告、被告になったのは理事長ですが、実際訴訟を行うのは組合員です。
その裁判結果は全員に影響します。
原告、被告になったことを知らずに「えっーー訴えられたの!」では困ります。
しかし、規約に定めた場合、裁判の原告、被告になったことを知る機会は住民にはありません。
そこで、通知や掲示(第三十五条第二項から第四項)によって組合員に知らせるべきとしています。
一方、集会で決める場合は、集会の開催案内や集会に参加することで住民は裁判の原告、被告になったことを知る機会があります。
そのため、改めで通知等を行う必要がないとしています。
確かに言われればそうですよね。
ちなみに設問にある損害賠償を受取った場合は、賠償金は管理費に充当されます。(試験に出たことがあります。)
覚えておきましょうね。
以上のことよりこの設問は適切・・〇になります。
団地管理組合の理事長も管理者です。
ただし、団地の管理者が出来ないことがありましたよね。
それ以外は、単棟の理事長と同じ権限を持っていると理解しましょう。