014-民法、区分所有法、管理規約の代理人について
問題
解答
できる
解説
そもそも代理って何?
民法では本人の承諾を受けた本人以外の人が意思の表示を行うことによって、その意思の表示の効果が直接的に本人が行ったことと同じ(民法では帰属と言います)効果になります。
この効果を代理と言います。
絶対条件として本人の承諾を受けていることが必要です。
依頼・承諾の関係は本人から、あるいは代理から行うことがあります。
*出題では「本人」と出題されますが、慣れないと「あれ、誰が本人?」と混乱します。代理の問題が出たら「本人」➡「依頼主」と書き直すと相関関係が分かり易くなります。
代理の絶対条件
1、本人の承諾を受けていること
2、本人のために行うこと
3、第三者には本人の代理と示すこと
この3つが成立して初めて代理は効果を持ちます。
〇 本人の承諾を受けていない行為は無権代理になります。
〇 本人のため以外に行うことは代理人本人の行為になります。
〇 代理人であることを示さずに行った行為は代理人本人の行為になります。
この基本原則を覚えること重要です。
代理に制限をつける
代理を頼む時に条件を付けることができます。
例えば家を探す代理をお願いする時に「予算は2,000万円でお願いします。」と条件を付加して代理を頼むと代理人は2,000円以内で物件を探す必要があります。
もし、代理が2,000万円を超える物件を本人の承諾なしに契約してしまった時は、条件を超えているため本人が「それでも良いよ」と言わない限り勝手に契約した代理の責任で対応してくださいとなり、代理が責任を負うことになります。
本人が「それでも良いよ」と言えば契約は成立します。
代理人に資格はあるの?
代理人を決めるのは本人です。
本人が代理を頼む人を判断するため、資格は必要ありません。
例えば、一般的に重要な行為の他人にお願いする時、その人は信頼できる人を選びます。
選んだ以上、代理人が行った行為は本人が行った行為と同じなりその結果発生する様々なトラブルは選んだ本人に及びます。
そのため、代理人に資格は必要ありません。
今回の出題で総会の代理人に小学生の子供を選ぶことも出来ます。
結果、親の意見が「賛成」でそのことを子供伝えれば子供賛成時に手を上げるでしょう。
万が一、「反対」に手を挙げたとしてもそれは代理に子供指名した両親の責任になります。
結果、この問題の答えは「できる」になります。
以下、代理について知っておくべき知識を追記します。
民法の代理の資格について
民法では「行為能力者であることを要しない。」(民法102条)と定めています。
意思能力者であれば足り、行為能力者の必要性はないと言うことです。
意思能力者と行為能力者って何?
意思能力者とは、自分で行った法律行為の結果を理解できる能力がある人の事です。
行為能力とは、法律行為を単独で有効に行うことができる能力のことです。行為能力を制限された者を制限能力者といいます。
民法上、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人がいます。
小学生は制限行為能力者ですが、意思能力者でもあります。
と言う理由で区分所有者の代理として一親等の小学生を頼むことは可能です。
区分所有法上の代理
区分所有法上、「代理人」の資格について制限は定めていません。
規約に何ら規定がなければ、原則として誰でも代理人となることができます。
そのため、一般的には総会に出席する代理について一定の制限を設けているケースが多いようです。
規約に定める代理
規約は指針であり法律違反、公序良俗に違反しなければ組合の合意があれば定めることができます。
そのため、次のような制限を定めることが出来ます。
1、マンションに居住していない区分所有者
2、マンションに同居している親族以外の者
3、賃貸借契約の賃借人
4、未成年者
5、区分所有者以外の者
トラブル等で弁護士や親せきのおじさん等に代理を頼むことは理事会としては厄介です。と言う訳で総会がかく乱されるのを防止し、区分所有者の利益が不当に害されることを防止するため、標準管理規約では次のように定めています。
代理を認めないことはできるか?
ここまで説明したように代理は原則、資格がなく誰でもできるため厄介とも言えます。
そこで、いっそのこと、代理を全面的規約で禁止することは出来ないのでしょうか。
残念ながらこれは出来ません。
区分所有法に以下の定めがあります。
区分所有法は法律です。
法律違反、公序良俗に違反しなければ組合の合意があれば規約に定めることができますが違反に該当します。
注意する代理(重要です)
理事会への代理
理事会のメンバーは総会で選ばれた人です。
この人は信頼できると指名されているため、本人が理事会に出席し議決に参加すべきであり代理は相応しくないと判断しています。
そのため、原則禁止ですが、規約に次の定めがあれば可能になります。
「理事会への代理出席は役員の配偶者について認める」
専門家・顧問の代理
理事会のメンバーに区分所有者以外の第三者を選出することがあります。
この場合も上記と同じ、この人は信頼できると指名されているため、本人が理事会に出席し議決に参加すべきであり代理は相応しくないと判断しています。
この場合、規約に定めても無効と考えられています。
まとめ
代理は民法の問題として出題されますが、区分所有法、管理規約としても出題されます。
民法の代理は参考書で十分に勉強できることですが、区分所有法、管理規約の民法は判り難い人も多いと思います。
次のことは確実に覚えてください。
1、代理行為は本人が行った行為と同じ効果をもつ
2、代理が成立するには3つの要件がある
1)本人が代理を了承している
2)代理が本人のために行う
3)本人の代理であることを示す
3、代理に資格はない
4、代理が行った行為に伴う結果は本人に及ぶ
5、代理は区分所有法に定められている
6、規約で代理に制限を定めることが出来る
7、理事会のメンバーの代理は原則できない
8、理事会のメンバーの代理を規約に定めることはできる
9、専門性の高い第三者の代理は認められない。
以上です。