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#29 塗膜防水をマスターしよう
アスファルト防水(#27)、シート防水(#28)を説明しましたが、次は塗膜防水です。
塗膜防水とは
防水塗料を床に塗り防水層を作る方法が塗膜防水です。
塗料は液体のため、床の形状を選びません。
また、排水溝などの湾曲部分の塗装も容易にできる点が大きな特徴になります。
共用廊下の排水溝、バルコニー、ルーフバルコニー、ゴミ室の床などに使用されます。
塗膜防水の基本
塗膜防水は、防水塗料の重ね塗りを基本とします。
下地材、主材(複数塗装)、トップコート(仕上げ材)が基本です。
*主材を2回以上塗布することもあります。
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塗膜防水のメリット
床の形状を問わずに隙間なく防水が出来ることが最大のメリットです。
狭い範囲の防水にも適しています。
アスファルト防水やシート防水が凹凸や複雑な形状が苦手で、屋上などの広範囲な防水に適している点をカバーする工法とも言えます。
逆に広範囲の防水は不向きと言われていますが、他の防水工事に比べ安価である点で比較的狭い屋上にも採用されます。
アスファルト防水は一定間隔に目地が必要になります。
シート防水はシートが重なる部分が厚くなります。
その点、塗膜防水は継ぎ目がないフラットな面になることもメリットです。
塗膜防水のデメリット
防水層を積層する時に各層を塗布、乾燥が必要になるため、他の防水工事に比べて工期が長くなる点です。
防水層を乾燥中に雨が降ると一度完全に乾燥させ後に重ね塗りをします。
また、床にムラなく塗料を塗布するには技術が必要になります。
職人の腕で見栄えや性能が依存する点もデメリットです。
塗り方にムラがあるとひび割れや膨れが生じ、施工不良になり雨漏りの原因になります。
塗膜防水の材料
塗膜防水にはウレタンとFRP(ガラス繊維強化プラスチック)がありますが主流はウレタンです。
ウレタンは伸縮性・接着性・耐久性・防水性など性能的なバランスがよいいため、汎用性が高い材料です。
FRPはガラス繊維のマットを敷いて、プラスチック(ポリエステル樹脂)の塗料を塗布します。
ウレタンと比べ軽量で丈夫な点が特徴で、防水性だけでなく腐食・薬品・摩耗などに対しても強い特徴があります。
施工時に独特の臭いが強いこと、ウレタン系よりもコスト高いこともありベランダに使用されることは多いようです。
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トップコートの重要性
ウレタン、FRPも耐久年数は10年程度です。
そのため、長期修繕計画では屋上防水、ベランダ防水が10~12年程度に予定されています。
しかし、トップコートを5年程度で上塗りすることで寿命を延ばすこともできます。
トップコートは塗布防水を守る防水膜と考えてください。
塗膜防水の修繕
塗膜防水の劣化については今後説明しますが、塗膜防水の修繕は上塗りで可能です。
元の防水層を除去する必要はほとんどありません。
これも重要です。
覚えておきましょう。
試験では塗布防水はあまり出題されませんが、基本知識としてウレタンが汎用性が高く、ベランダや排水溝の防水に利用されること、耐久性はおおよそ10年。修繕は上塗り。
以上を覚えておけば大丈夫でしょう。
次回は防水の最後です。
シーリング材についてです。