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017-団地管理組合の考え方を理解する

皆さんが苦手な団地です。
団地はそれぞれの団地で事情が異なるためなかなか理解できない項目です。
マンション管理士資格者でも団地や複合型は苦手と言う方は少なくありません。
毎年、必ず出題される団地の問題ですが、基礎を覚えてしっかり対策しましょう。

問題

017-共有敷地にA棟、B棟、C棟がある団地マンションの管理組合数と68条管理、3条管理を行った時の管理事長数の組合で正しいものはどれか。尚、棟管理組合ではそれぞれの棟で管理をするものとし理事長は1名とする。
団地マンションの基本中の基本の問題。

解答

68条管理:組合数は4つ、理事長数は1名
3条管理:組合数は4つ、理事長数は4名

解説

組合の考え方

共有敷地にA棟、B棟、C棟がある団地マンションとは次のようなマンションになります。

組合は複数の区分所有者がいれば発生します。(区分所有法3条)
と言うことで組合は各棟単位に発生することになります。
1、A棟管理組合
2、B棟管理組合
3、C棟管理組合
ここまでは理解できますね。

では、団地ではどうでしょうか。
区分所有法では団地について次のように定めています。

第二章 団地 (団地建物所有者の団体)
第六十五条
 一団地内に数棟の建物があつて、その団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。

区分所有法65条

ABC棟全員が所属する管理組合を構成すると定めています。
これが団地管理組合になります。

組合は区分所有法では自然発生します。
そのため、今回の例でしました団地マンションの場合は4つの組合があることがわかります。

組合と運営は別

単棟については3条、団地については65条において集会を開き、規約を定め、管理者を置くことが出来ると定め、管理については区分所有者の裁量に任せると明記しています。

(区分所有者の団体)
第三条
 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

区分所有法3条

「できる」であって必ず行う必要はないと言うことです。
現実問題としてマンションは一つの集団ですから管理者(理事会、理事長)は組合運営に必要になるために設置していると言うことです。

管理の運営は様々

各組合の裁量でどのように組合運営をするかは自由です。
団地マンションで組合の運営の仕組みを理解するため重要になる定めが68条です。

(規約の設定の特例)
第六十八条
 次の物につき第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。
 一団地内の土地又は附属施設(これらに関する権利を含む。)が当該団地内の一部の建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地又は附属施設(専有部分のある建物以外の建物の所有者のみの共有に属するものを除く。)
 当該団地内の専有部分のある建物
 第三十一条第二項の規定は、前項第二号に掲げる建物の一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての同項の集会の決議に準用する。

区分所有法68条

かなり難解な文章ですが、団地管理組合でABC棟を管理することを規約に定めることができると明記してあります。
その際は特別議決権が必要になると書かれています。
(規約を変更することになるので当然、特別議決権です。)

68条管理

規約に68条を定めて団地全体を管理する方法です。
多くの団地はこの方法を採用しています。

管理計画認定制度ガイドラインより出典

この場合の管理者(理事長)の存在は次のようになります。

管理計画認定制度ガイドラインより出典

各棟の管理組合には管理者(理事長)を設置せずにすべての決定を団地管理組合が行う方法です。
表からも判るように管理組合は4つ存在しますが、管理者は団地管理組合の1名になります。
このような管理管理方法は68条の規約を定め、管理するため68条管理と言う言い方をマンション管理士は使います。

これに対して団地組合、ABCのすべての組合に理事長を置き管理する方法です。
これを3条管理と言います。
68条規約がない組合のパターンになります。

管理計画認定制度ガイドラインより出典

4つ存在するすべての組合に理事長がいることがわかります。
組合の意志決定に時間と手間がかかるため、この方法で運用している団地は少ないと思います。

まとめ
紹介したように同じ団地であっても管理の運用は様々です。
不変なことは管理組合の数。
変わることは理事長の数。
その背景には68条の規約によって管理方法(意思決定方法)が変わることです。

3条管理と68条管理では意思決定の過程が異なります。
管理費、修繕積立金についても同様です。
さらに建替え等が絡むともっと複雑になります。

試験には3条管理も68条管理も両方が出題されます。
問題を解くときには問われている団地管理組合が3条管理、68条管理のいずれの方法で管理しているかを見極めることが重要になります。



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