登-03 表示に関する登記について
登記登録には権利を登録する「権利の登録」と「表示の登録」があります。
権利の登録はこれまでに説明しているので十分理解していると思います。
表示の登録とは登記に記載されている名称や住所の変更を行うことです。
例えば「山田花子」が所有権者とします。
彼女が結婚して「田中花子」に変更になった時に登記の内容を変更する必要があります。(義務ではありません。)
このような記載された内容を変更する登記を「表示の登記」と言います。
表示の登記には登記権利者(登記をする権利のある人)はいますが、登記義務者(登記の変更を証明する義務のある人)はいません。
これが権利の登記と違う点です。
山田花子さんは自身の戸籍抄本(住民票でも可だと思う)を添えて表記の変更届を登記所に提出すれば登記官が変更してくれます。
表示の変更の登記は登記権利者が一人でできることを覚えてください。
ただし、変更を証明する書類は必須になります。
これは離婚時でも同じです。
持家を引っ越す時には住所の変更届になります。
基本的にはこれだけです。
むずかしいことはありませんが、ここで1点、注意することがあります。
個人情報と登記簿
登記が変更される時にはその原因を記載することが一般的です。
例えば、相続による所有者移転登録には附帯事項に「原因」として「相続による」と登記簿に記載されます。
しかし、結婚や離婚はプライバシーの問題があります。
個人情報保護法が成立して以降、「結婚」「離婚」による名前の変更には原因の記載がなくなりました。
登記簿は基本的に誰でも閲覧できますが、すべてを閲覧できるわけではなく、個人情報や犯罪に利用される可能性があるものについては非開示とされています。(証明書類、図面のすべてを閲覧できるわけではありません)
これは確か、宅建法の試験で一度4択の1つに出題されたことがあった気がします。
次のような選択肢には注意が必要です。
「表示の変更を行った場合には、変更の原因が必ず登記簿に記載される。」
「登記簿の閲覧は誰でもでき、登記簿の情報をすべて見ることができる」
このような選択肢はいずれも「×」になります。
次回は登記に関する基本的な知識を説明します。