020‐一部共用部分管理組合と全体管理組合の関係とは
問題
解答
できる
解説
この問題は一部共用部分管理組合と全体管理組合の関係を理解するための問題です。
一部共用部分とはマンションの建物一部が排他的に利用できる共用部分のことです。
このような共用部分があると使用する組合員だけで構成される一部共用部分管理組合が発生します。
これまでも説明したように組合は、建物の構造と権利関係により必ず発生しますが、構成される組合だけで管理するかどうかは別問題です。
区分所有法で定める一部共用部分とは
区分所有法第3条に一部共用部分を次のように定めています。
一部共用部分がある場合は管理する団体が発生するを定めています。
区分所有法第11条で権利関係について定めています。
一部共用部分は全体共用部分とは共有関係が異なり、一部共用部分の所有者だけで組合が存在し、管理を行うことができると言うことです。
ただし、規約で管理を全体共用部分管理組合で行う定めをすることも出来るとしています。
その上で、管理者が所有することは出来るが、区分所有者以外に所有することは出来ない。
その場合、登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができないとしています。
ポイント
1、一部共用部分は一部共用部分管理組合が管理を行うことが基本。
2、全体で管理する場合は必ず規約に定める必要がある。
ひとつのマンション管理組合に2つの組合があり、管理をそれぞれに行うことと全体で行うことができることはわかりましたが、それぞれでどんな違いがあるのでしょうか。
一部共用部分管理組合を行う時
区分所有法30条に一部共用部分管理組合は次の場合、独自に規約を定めることが出来るとしています。
1、区分所有者全員の利害に関係しないもの
2、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて
全体規約に定めがなく、全体に影響しないことは規約に独自に定めることができるとしてます。
一部共用部分はあくまでも一部共用部分の管理に限定されます。
そのため、全体に影響すること、すでに全体規約に定めた内容を決めることはできません。
これだけを覚えれば大丈夫です。
規約で一部共用部分の管理を全体管理組合で行うと定めた時
一部共用部分管理組合は存在しますが、管理を行わないと定めた場合は、すべてを全体管理組合で決めることになります。
この時に注意することは、一部共用部分に関することを規約に定める際の区分所有法31条です。
一部共用部分に関する定めを行う時、一部共用部分の1/4の組合員が反対した時は定められないとしています。
なぜ、1/4なのでしょう。
規約の改定等は特別議決3/4以上の合意が必要です。
一部共用部分の1/4とは、仮に一部共用部分管理組合があったとして、その1/4が反対すると一部共用部分の規約の改定等ができないことになります。
この考えを全体組合にも適用しているためです。
*よく考えられていますよね。
今回の問題
ベランダに衛星放送用のアンテナを立てることを一部共用管理組合が定めた時が設問でした。
以前は、ベランダに衛星放送用のアンテナを立てたマンションをよく見かけました。
しかし、最近では見かけなくなりました。
その理由は2つあります。
1、マンションの美観を損ねる
2、落下の危険があり、万が一落下した場合設置場所のベランダが共用部分であることから管理責任を問われる可能性がある。
マンション全体でベランダへの衛星放送用のアンテナの設置を禁止することを規約に規約に定める組合が多くなったためです。
さらに、CATの普及によりマンション管理組合としてケーブルテレビ会社と契約する方式が確立されたことによります。
そのため、今回の衛星放送用のアンテナの設置はマンション全体の問題となり、全体管理組合は一部共用部分管理組合が定めた規約内容を認めないことを決めることができることになります。
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