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あのステーブルコインの会社、株式上場するってよ!?
いやはや皆様、いかがお過ごしでしょうか。
カブトコインでございます。
タイトルは若干「釣り感」がありますが、今回は仮想通貨関連の「米国株」とその手法のお話でございます。
(最後に日本の事情にも少し触れます)
仮想通貨はボラが高い。
好調続きの仮想通貨も、東京オリンピック終了とともに調整局面に入った感がありますね。
ここひと月のガツンとした伸びが弱まり、24時間で3.44%下落。
他方、Twitterのタイムラインでは「ビットコインのハッシュリボン点灯で上昇局面入り」とも言われてますので、どちらへ向かうかまだ目が離せませんね。
ボラとは無縁のステーブルコイン
高ボラティリティなコインがほとんどの中、真逆の存在なのがステーブルコイン。
ドルなどの法定通貨と連動する仕組みを持つため、仮想通貨の相場変動時も「1枚≒1ドル」など、価値を保つ仕組みを備えるコインです。
(各特長は以下をご参照ください)
他のコインの購入や、相場下落時の退避先として用いられてましたが、ここ最近はこのステーブルコインを用いたDeFiのイールドファーミングが盛んになってます。
値動きの激しい、一般的な仮想通貨を用いたイールドファーミングと比べ、ステーブルコインを用いた際には、「コイン価格自体の下落リスクが少ない」ため、安定して高利を得られるところが人気となっております。
ステーブルコインを用いたイールドファーミングの年利はだいたい数%~数十%ほどあります。これは銀行の普通預金の数千倍、高配当株と比べても数倍以上になります。
(注:初心者の方は必ず、入念な下調べの後に資金を投じてください!)
人気の度合いは、いかほどか?
下はCoinMarketCapの仮想通貨 時価総額ランキング。
ベスト10内に、2つのステーブルコインが入っています。
それぞれ時価総額は、円に直すと6.9兆円と3兆円!
安易な比較は出来ませんが、大企業の株式時価総額より巨額ですね。
本日は、8位の「USD Coin」を発行する「サークル社」が、SPACという方式を用いて、株式上場を進めているというお話です。
SPAC上場とは何か?
サークル社が「SPAC上場」という方式を用いて株式を上場するというニュース自体は、実はすでに先月7月8日には報道がありました。
その後の動向があまり追えていなかったのですが、日本時間の8月9日の昼にサークル社CEOのジェレミー・アレール氏が「米SECにドキュメントを提出した」とのツイートがあり、進捗していることが確認できた訳です。
On Friday, we (@circlepay ) filed our Form S-4 with the SEC. https://t.co/XOxIodDSEn
— Jeremy Allaire (@jerallaire) August 9, 2021
提出したドキュメントは全文閲覧できるようになっている様子です。
(さすがアメリカ!でも、とんでもない量なので読み切れない…)
加えて、サークル社が上場に用いた手法「SPAC上場」について触れてみます。
特別買収目的会社(SPAC)とは、未公開会社の買収を目的として設立される法人のことです。読み方は、「SPAC(スパック)」です。
英語のSpecial Purpose Acquisition Companyの頭文字を取ったものです。
特別買収目的会社(SPAC)は、上場した時点では、自らは事業を行なっていないペーパーカンパニーです。
上場後に、株式市場から資金調達を行い未公開会社の買収を行います。
特別買収目的会社(SPAC)の上場後に買収された未公開会社は、従来の上場のプロセスを行わずに上場することになります。
すごく簡単に表現しますと「事業はまったく行ってないけど、どこかのベンチャー企業を買収する予定」の上場済み会社と、「短い時間で資金調達をしたい」という未上場のベンチャー企業をくっ付ける仕組み、という感じでしょうか。
通常の株式上場のプロセスを踏まずに、強引にくっ付ける「アッポーペン感」がある訳です。
SPAC上場の成功例
上場の審査の手間を軽減し、ベンチャー企業が株式市場から資金を調達しやすくすることのメリットを挙げます。
若くて才能のある経営者が、最先端の技術を開発する際のスピードが格段に上がります。
電動トラックメーカーの米ハイリオン社。
28歳の株式持ち分の価値は1480億円。
自動運転車のセンサー開発の米ルミナーテクノロジー社。
25歳で資産は2500億円。
SPAC上場により集めた資金で設備投資と優秀な人材を雇用し、新しい分野を開拓している訳ですね。
若くても、可能性のある分野で実力があれば、短い期間で資金を集められる。
この辺りがアメリカの強さの根源かもしれません。
今後の仮想通貨界への影響は?
サークル社も同じ方式で資金を調達することが出来れば、仮想通貨のバブルが終わるより前に、ステーブルコインのUSD Coin(USDC)をきちんと担保を保った状態で発行することが出来るようになるかと思います。
そうなると、発行されたUSDCがビットコインの購入や、相場下落時の退避先、DeFiのイールドファーミングに活用され、仮想通貨市場の拡大に寄与すると思われます。
良いことばかりではない?
SPAC上場は、株式市場により投機マネーを呼び込みました。
「そもそも上場の審査が緩いのってイカサマじゃないか?」という声も強くあります。
また、資金調達が上手く行き、仮想通貨市場がさらに急拡大した場合、ステーブルコイン自体に強い規制が掛かる可能性もあります。
保守的な日本はどうなるか?
仮想通貨界の進化のスピードは驚くほど早い訳ですが、いつものごとしで日本は手をこまねいているだけになるのでしょうか。
いえいえ、日本でもこの「SPAC上場」は検討がなされています。
もし日本でも解禁されたなら、有望なベンチャー企業や可能性のある若い起業家が育つきっかけになるやも知れません。
ひょっとしたら仮想通貨界からも、この仕組みで上場する企業が現れるかもですねぇ。
~次回、「ビットコインETF」とはなんなのか。乞うご期待!~