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ステイホームでおうち映画祭を開催したらちょっと失敗した話

 新型コロナウイルスによる自粛モードも早1年以上が経った。
 ステイホームだとか、自粛だとか、まあいろいろな表現はあるけれども、要は家でおとなしくしてる時間が増えたわけだ。

 私もご多分に漏れずいわゆるおうち時間が増えたかというと別にそうでもない。私はもともとわりと家で過ごすのが好きなので、在宅勤務ができるようになったくらいで、正直あまり生活は変わっていない。
 とはいえ、「外出しない」と「外出できない」では随分とそれを受け止める気持ちはちがうし、窮屈さ自体は持ち続けている。

 そんな私は昨年、一番初めの緊急事態宣言下で自宅時間をより楽しむべく思考を巡らせていたところ天啓に導かれた。

「天井にYouTube映せたら寝ころんだまま推しを大画面で見られる!!!」

 そうして購入したのが、家庭用の小型プロジェクターとスピーカーである。
Amazonで適当に選んで、合計1万円もしなかったはず。

 天井投影可能だとかそんな素敵な機能があるわけではなく、もう力業。
シンプルに、床に縦において天井へ映像を映してみた。

 …成功だ!!!!!

 ベッドにあおむけで寝ころんだ私の視線の先には、
愛してやまない推しアイドルが大画面で踊っていた。最高。

画像1

(画像は天井ではなくベッドサイドの壁に移してみた。ぼかし処理をしているだけで、プロジェクターの画質がひどいわけではない)

 さあ、これで私のおうち時間はより輝く!!
 そうして、推しのテスト投影を終えた私は、ひらめいた。

「おうち映画祭やろう」


 そうと決まれば記念すべき第一作は何にしようか。
ネットフリックスを流し見ていると、松坂桃李氏主演の「娼年」が目に入る。
 …そういえばこれ、気になってたんだよなあ。よし、これにしよう。

 第一回おうち映画祭は、「娼年」になった。
 再生ボタンを押して、いよいよ始まる。

 この「娼年」という映画、ご存じの方も多いだろうが、知らない方のために軽く内容を記載すると、松坂桃李演ずる主人公リョウが、男娼としてさまざまな理由で彼を買う女性と過ごすひと夏を描いた物語である。

 「男娼」

 勘のいい方はここでピンとくるだろう。

 そう、本作は、濡れ場が多い映画だった。

 私は事前知識をいれずに見たため、タイトルから多少はそういったシーンもあるだろうとは思っていたが、なんと序盤からかなりの頻度で濡れ場を挟む。なにせ性がテーマの映画なのだから当然だ。

 そして、「娼年」は、私にとって初めてのプロジェクターでの映画上映だった。
 慣れない操作、たどたどしい音量調節。

 部屋に響き渡る嬌声。


 私の部屋は、壁が薄い。それはもう薄い。
 あるときは、隣の部屋のアラームで目が覚めたほどである。
(もはや慣れたもので、隣はわりとうるさいが私も普通に生きているから生活音はあるはずだし、お互いさまと思って過ごしている。)

 そんな私の部屋に響き渡る嬌声。

もう一度言う、

部屋に響き渡る、嬌声。
 
 隣人の部屋からは、そういえば、さきほど物音がしていた。
部屋に、隣人は、いる。

 大音量といっても、ある程度抑えていたから、隣も「テレビつけたのかな?」程度にしか聞こえていない、はず。とはいえ、アラームすら聞こえる壁の薄さだ。
映画の音が漏れないはずはない。あわてて音量を下げる。
それでも嬌声は続く。

 ―これ、私は「娼年」という映画だと知っているけれど、
  隣人からしたら、大音量でAV見てる女だと思われているのでは…?

 もちろん隣人と話す機会はないので実際どうだか知らない。
だが、しばらくは勝手に一人で気まずい日々を過ごした。

 これが私の、おうち映画祭を開催したらちょっと失敗した話。
 
 これをみてプロジェクターに興味を持った方はぜひ買ってみてほしい。
私はうっかりしてとんだ変態女になってしまった(と当時の私は悶えた)わけだが、プロジェクターに罪はないし、パソコンやテレビでみる以上に映画の臨場感を楽しめるから。
 寝っ転がって映画を見るのも楽しいし、壁に移して座椅子にもたれてみるのもいい。

 まだ収束の気配が見えないいま、すこしでもおうち時間の楽しみ方を増やすきっかけになれば幸い。

 余談だが、「娼年」は私はとても好きな映画だった。良い作品でした。


 

#おうち時間を工夫で楽しく

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