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ラ・カンパネッラに学ぶ理想的な皿着地

Thor's Hammerの話ではありません
ピアノを習ってなくても知っている方の多い、リストの「ラ・カンパネッラ」
超絶技巧として有名ですがこれと皿着地には密接な関係があります。
前提が抜けてましたがDP向けの話になります。


たまにあるエグい跳躍

ヘッダーの画像にもあるように、この曲の冒頭は非常に有名かつ見た目が派手です。ピアノの1オクターブは16.5cmで、それを大きく超えて最大2オクターブの跳躍が出てきます。33cmですね。さすがに遠い。ていうか左手の方が吹っ飛んでる箇所がある。
正確な寸法なかったので私の感覚ですが、皿の端から4鍵が多分16.5cmくらいだと思います。
距離感が掴めたところで、1から2オクターブくらいの跳躍はこの曲に限らず結構な頻度で登場します。しかもそれは左手。
わかりやすい例がピアノで弾いてみた系でかつてよく採用されていた反復横跳びみたいな伴奏。など。 
クラシックでは何度も連続で要求されるということは少ないですが手を広げただけではどうにもならない跳躍はなんだかんだ習得必須です。
ピアニストはいかにして跳躍を攻略しているのでしょうか。

1.平行移動にはならない

ピアニストによるカンパネラの演奏はYoutubeに腐るほどあるので見ていただいたらいいかなと思いますが、平行移動みたいな感じで弾いておられる方はほとんど居ないと思います。
これの理由については、弾きやすさを求めた結果と言えばそれまでなんですが、物理的側面を考えてもそうならざるを得ない感じがします。
もちろん最速で鍵盤にたどり着くことだけを考えると直線に勝つものは無いのですが、実際にはそこから鍵盤を押す必要があるため、縦方向の力が必要になります。この事実と関節が支点となって腕や手が動くことを考えると、多少山なりに動く方が効率がいいことが分かると思います。
上に上がる分損してる感じになりますが、そのまま勢いだけで飛んでいけば後は鍵盤に指が勝手に刺さっていきます。
(要するに打鍵するための振り上げ動作と移動が組み合わさってるだけですが。)

2.弧

そして辿り着くのは「弧」を描くようにぴょんぴょん跳躍するやり方になります。実際に2P側で皿→1鍵を高速でやろうとしてみてください。ただ平行移動する時と、ちょっと山なりに動くのとどっちがやりやすいでしょうか?
指だけが動くタイプの人はわざわざ山なりにすることは無いかもしれません。
ここでは皿着地の話をしていますが飛びつき皿に関しても同様の考察ができます。

皿の場合は回す必要があるので横移動+押し出す動き(奥か横)をする感じになります。逆に回す動きを打ち消せば皿に勢いよく乗ることが出来ますが、できて何になるのかは不明…。
また飛びつき皿において横方向に回す方がやりやすい理由はここにあると思います。横に回すことで横移動の余力を使うことが出来ます。

これらの考察より、皿に飛びつく時は縦より横が優先なので、弧の高さは低めになると思います。突き指しない程度の高さを確保するイメージ。
鍵盤に帰ってくる時に縦方向の勢いが必要になるので、そこで少し高めの弧を描く感じになりますね。横から見たらかまぼこみたいなイメージでしょうか。<('ヮ')>YO!

3.皿着地だけの概念でもない

ここまでは皿着地の話でしたが、実は北斗運指
ひいてはトリル(トレモロ)にも大切な思考でもあります。

まずわかりやすいところが北斗運指。
だいたい薬指追いつかないがちですが、右手5→6を薬→薬と行う場合、あの小さな隙間にも多少の円弧を意識してあげます。もちろん速度的に追いつかない等の問題があるので高さが確保できなくなると思いますが、上げてから動いて押す、というより上げつつ動くみたいな方がいろいろと楽だと思います。

そしてトリルですが、1と7を親指と小指で交互に押すことを考えてみてください。凄く速くやろうとすると肘から回す感じになると思います。
これも一種の「弧」であると考えられます。親指と小指がシーソーの端っこでそれがグラグラしてるイメージでしょうか。
この動きは任意の指同士で行うことが出来ます。だから、カンパネラの途中の変奏にある右手のクソ長い薬-小トリルが捌けるんですよね。
このやり方は親指が絡むほどやりやすく、また指が離れてる方がやりやすいです。
隣同士ではなかなか感覚がつかみにくいですね。
さらに、中-薬は特に不可能に近いです。しかし、意識として持っておくだけでもなにかの役に立つと思います。

考えてみれば当たり前だったり

皿と跳躍、ひいてはトリルとミクロな部分の話をしましたが、いかがでしたでしょうか。
肘を使うという観点は前に書いたnoteにも多分ありましたが、肘というか重心を上手く使うという考え方もできます。というかそうしないと小指が鍵盤に負けますからね…。

腕が速く動かねーーー!とか突き指してますとかいう方、ぜひこの弧の動き意識してみてください。


では。



OHYM-G ノネラ

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