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「客室乗務員のお仕事」とは?

皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
現役客室乗務員のジュディです。


初投稿となる今回は、
ベタではありますが「客室乗務員のお仕事とは?」を
テーマに取り上げたいと思います。


少し固いヘビーな内容ですが…。
1人でも多くの方へCAの本質と魅力が伝われば
嬉しいです。


突然ですが、皆さまは
「客室乗務員が普段どのように仕事をしているか」
イメージがつきますでしょうか?


パッと思いつくシーンは、
機内でお客様をにこやかにお出迎えをしたり、
ミールサービスをしているような
目に見えやすい華やかな一面ではないでしょうか。



サービス要員としての側面を持っているCAですが、
他にも大切な役割があります。
 

それは・・・・


お客様を無事に目的地まで送り届けるための
「保安要員」であるという一面です。



空を飛ぶという特徴ゆえに
特別視されることが多いのですが、
飛行機も電車やバスと変わらない
移動手段を提供している公共交通機関です。


 その共通した使命は
「お客様を目的地までお運びすること」
 にあります。


 
飛行機は他の乗り物と違って

 「長時間にわたって閉鎖的になる空間
  &機内外の変化が激しい」という点において

様々なリスクにさらされているため
危険な乗り物であるとも言えます。
 


たとえば、飛行機では気圧の高低差や
激しい揺れが引き金となり、
空酔いして嘔吐してしまうお客様が
いらっしゃいます。

また長いフライトが続き
重篤なケースになってくると、
 

・深部静脈血栓症(別名:エコノミークラス症候群)
 になってしまう方や、
・持病の容態が急激に悪化する方が
 出てくることも…。
 

陸路の交通機関であれば、
次の停車駅で車両を止めたりして救急車を要請し
病院への比較的スムーズな緊急搬送が可能ですが
上空ではそう簡単に助けを呼ぶことはできません。


では、どうするのでしょうか??


 
その答えを一言でいうと



【客室乗務員がお客様の命を繋ぐために
 出来る限りの手を尽くす】
 というところに落ち着きます。



あまり詳しくは書けませんが、
機内には様々な症状を想定したツールが
用意されています。

それらのツールを駆使して
お客様の体調を正確に把握し、
時間の経過とともに容態の記録を付けます。

お客様の体位などを変えて
症状が緩和するように努めたり、
場合によっては酸素ボトルなどを使用して
回復を図ることもあります。

このように客室乗務員はお客様を守るために
看護師のような役割を担うこともあるのです。

 

急病人のお客様へ応急処置をすることもあります



機内で安全が損なわれる要因は、
気圧や気流だけではありません。


お客様に起因する危険も存在します。
「どういうこと?」とお思いになる方も
いらっしゃるかもしれません。
 

皆さまは飛行機に乗った時に
「化粧室での喫煙は禁止されています」という
アナウンスを聞いたことはあるでしょうか?



これは国土交通省の航空局が
航空機に定める禁止行為の1つです。
喫煙は機内の風紀を乱すだけでなく、
火災を発生させる要因になりうるため
固く禁止されています。


実は飛行機の機内というのは非常に乾燥しており、
湿度が20%を
下回っていると言われています。

機内は砂漠と同じくらい乾燥しています


そのため、火の手がとてもまわりやすい
という特徴があります。


もし化粧室で火災が発生したら
どうするのでしょうか?



そのような緊急事態も鎮静させるのが、
客室乗務員の仕事です。


機内には万が一の場合に備えて
消火器が用意されています。

火災が判明すると、
乗務員は直ぐに必要な備品を持って現場に急行し、
火を消し止めます。


このように客室乗務員は
消防士のような役割を務めることだってあるのです。
 

素早く鎮火させるためにテキパキ動きます




またこれもかなりシリアスな内容になるため
軽くしか触れられないのですが、

皆さんは奇跡体験アンビリバボーなどで
飛行機特集のドキュメンタリーを
観たことはありますか?

2001年9月11日の同時多発テロは
非常に有名なので知っている方も
多いかもしれません。


悲しいことに
飛行機はメディアへの影響力の高さなど、
様々な理由でハイジャックの
標的になりやすい乗り物でもあります。


飛行機自体を凶器にされないように
私たち客室乗務員は、
お客様の搭乗前・搭乗中・航行中・降機時と、
常に災いの種を早期発見出来るよう
目を光らせています。



機内の保安を守る
警備員としての側面も持ち合わせているのです。
 

常時監視を行うのも、客室乗務員の大切な仕事の1つです



時に客室乗務員は
リーダーシップを持ってお客様を守る、
誘導員にもなります。


皆さまは飛行機が動き出す頃に流れる
デモンストレーション映像を
集中して観たことはありますでしょうか?



あの離陸前の動画
(またはライブデモンストレーション)には、
機内の気圧が
急激に低くなってしまった場合の処置や、
飛行機が通常とは異なる状態で
着陸・着水をおこなった場合に、
円滑に脱出を試みるために必要な情報が
ギュッと凝縮されています。


そして緊急脱出が必要な状況になった場合には、
客室乗務員はサービス要員としての顔を
一旦脇に置いて、
お腹の底から声を張り上げ、
お客様へ脱出を指示・誘導します。


一刻も早く全てのお客様を
安全な場所へ移動させるために
避難経路を確保し誘導するのです。
 

全員を無事に素早く機内から脱出させるため
大声で叫び続けます




このように様々な危険が想定される機内において、
即座に1人1人の客室乗務員が
適切な対処が取れるようになるために


私たち客室乗務員は座学・実地を含め
約1カ月半~3カ月
(航空会社の形態によって訓練期間は異なります)
におよぶ厳しい初期訓練を積んでいきます。


マニュアルは何百ページにもおよびます。
(紙で例えるとするなら、
広辞苑ぐらいはあるでしょうか…笑)


テストは要所要所に実施され
毎日覚えることは雪だるま式に増え
大学受験に戻ったような不思議な感覚の中
教官の方々から叱咤激励を受け
同期と時に涙しながら課題と向き合い続けます。


キャビンに立つ日を夢見て
しっかり知識を身に付けます


そしてOJTフライトで試験にパスした者だけが
晴れて客室乗務員として任用されていきます。



訓練を受けているときは無我夢中で視野も狭く
「なんでこんなに厳しいんだろう…泣」
と思っていましたが、



俯瞰して、冷静に客室乗務員の仕事の意義と
訓練を照らし合わせて考えた時に
他人の命を守るという任務に
妥協なんて一切していられないし、
むしろ厳しい訓練があったからこそ使命感が生まれて
知識の吸収も加速したのだと感じました。
 


少し話が逸れてしまいましたが、
客室乗務員の保安要員としての役割には
このように色々な一面があります。


そして皆さまがお馴染みのサービス要員としては
お客様に安心感を与えられるように
表情・言葉遣い・ふるまいなどに気を配りながら
お客様をお出迎えしたり、
ドリンクやミールのサービスを実施します。


旅行通のお客様からフライトログブック
(客室乗務員とお客様の交換日記のようなノート)を
お渡しされた際にはイラストを書いて差し上げたり
自前のシールや色ペンでデコレーションをして
メッセージを書き添えてお返しすることもあります。


航空業界での就職を志望されているお客様から
声を掛けていただくこともあり、
僭越ながら少し面接のアドバイスを
差し上げることもあったりします。


「近い将来、航空業界を担う方々へ
 憧れの背中を魅せる」

 というのも客室乗務員の役割の1つなのかなと、
 感じたりもします。 




さて、ハラハラする内容続きだったかとは思いますが
今回の投稿内容はいかがでしたでしょうか?



想像以上に大変な仕事だな~…
と感じた方もいらっしゃるかもしれません。



確かに客室乗務員は大変な仕事でありますが、
その分 やりがいも、喜びも、
同じ数だけある仕事だと私は思います。


今回の記事が少しでも
あなたの将来の姿を想像する一助になれたら
嬉しいです。


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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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