【コンセプトアルバム奮闘記】#15 曲解説 緋色の朝焼けの下で
シーンの説明
翡翠蝶の転落後、黄鶯楼は警察の捜査で騒然とする中、片桐はじめと桜華は裏道から逃亡を図る。桜華は逃げ続ける片桐を励ましている。一方、明け方音羽亭に押し寄せた警察により、片桐はじめの事件が判明し、志田椿はその事実に衝撃を受ける。
歌詞の説明
片桐と桜華が逃亡し、取り残された志田椿からの視点を反映している部分。朝を迎え、事件の余波で花街全体が騒然としている様子を「カラスが騒ぐ朝」と表現。何も知らされないまま混乱の中に置かれた不安が伝わる。
警察が片桐はじめを追って音羽亭に踏み込んできた。「赤ランプ」は警察車両のライトを指し、片桐の事件内容が明らかになり、彼の逮捕に向けた動きが本格化している。志田椿は、片桐の名前を聞き、彼女が信じていた片桐の姿と現実のギャップに打ちのめされる。
「緋色の朝焼け」は、事件の翌朝の情景を描きつつ、場面転換の象徴としている。緋色の空の下、片桐はじめと桜華が逃げる一方で、「気づいた恋、手遅れかな」と、志田椿が片桐への気持ちを再確認しつつも、それがもう取り返しがつかない状況にあると思っている。
警察がパトカーの無線マイクを通じて他の捜査エリアと情報共有している。
ここからは片桐はじめの視点。「もう帰れない」というセリフには、彼が現実を受け入れつつも後悔と絶望に苛まれている様子が込められている。
桜華との行動は一時的な救いではあるものの、彼自身の罪悪感と恐怖が「覚えてない」という記憶の曖昧さとなる。
「地平線の向こうへ」は、二人が具体的な行き先を持たず、ただその場から逃げることだけを優先している。この逃避行は行き場のない孤独を伴うものである。片桐は、自分の心情を桜華に「君の心だけ」と託す。現在の片桐にとって桜華が唯一の救いであるが、彼女の目的や感情は判らない。
(実は、桜華は片桐の正体を知りながら、冷静に手を引いている)
片桐の絶望はクライマックス。事件、逃亡、翡翠蝶の転落。現実とは思いたくない、「夢なら覚めてほしい」と願う彼の弱さが表れている。
そして、物語は後編に続く。