【コンセプトアルバム奮闘記】#8 曲解説 Love Deli
シーンの説明
『かめりあはあと』の二人の主人公、片桐はじめと志田椿が吉河区にあるテレビ局「東都テレビ」に仕出しの弁当の配達に行く準備をしている。
志田椿「はっちゃん、早くしないと遅刻するよー!」
片桐はじめ「(クーラーボックスを担ぎながら)おー、今行くー!」
※コンセプトアルバム『かめりあはあと』の舞台・背景、登場人物等の設定については、『【コンセプトアルバム奮闘記】#999 「かめりあはあと」のトリセツをご参照。
歌詞の説明
仕出しの弁当箱を積んだ軽トラを片桐はじめが運転し、助手席に志田椿が座る。テレビ局までの道中は、大抵ラジオを付けているのだが、いつもの時間のいつもの番組では、リスナーからのリクエスト曲が流れている(電リクとかいう)。今日のセレクトは、少し前に流行った歌謡曲である。
この頃はラジオがまだ若者の話題の中心にあり、視聴率もよく、流行りの曲はラジオのパワープッシュによって作られた。
片桐はじめもこの曲はよく知っており、鼻歌まじりで信号待ちでハンドルをドラムに見立てて指でドラムを叩く真似をして乗っている。
助手席の志田椿は、事故らないか、あるいは道を間違えないか、気が気でないようであるが・・・(片桐はじめは普段ドジな一面もあるが、今まで運転事故は無いようだ)
テレビ局へは、スタッフや演者用の仕出しの弁当を運び卸すのだが、常連の二人はテレビ局の内部まで入り込むことが許されており、テレビスタッフや、運が良ければ芸能人を見ることが出来るため、二人とも楽しみにしている仕事なのである。
特に片桐はじめは、お気に入りの芸能人がいるらしく、武者震いするくらいドキドキでノリノリの仕事だ。
片桐はじめの推しは、最近バラエティで活躍中の元トップアイドル桜井華子。現在は、昼の帯の情報バラエティ番組に出演中であり、水曜日のレギュラーである。午前中は打ち合わせとリハーサルを行っている。今日は出演日であり、楽屋に出演者として桜井の名札があることを片桐は確認できた。
ちなみに”I wanna ROCK with you(ロックしよう)”は”楽しもう、最高の時間にしよう”とかそういうスラング。
リハも終わり、番組本番前の小休憩となり、番組スタッフやタレントの近辺も慌ただしくなってきた。タレントらはスタジオで談笑をしているらしく、桜井の笑い声が聞こえてくる。
片桐はじめは、”心の声を聴いてくれ!(Listen up my heart)”と桜井という存在を確認し、テンションも上がっている。
この曲の決め台詞のようなもの。”あなたに愛をお届け”、みたいな意味だ。
水曜日は、ニヘラニヘラと顔が緩みっぱなしの片桐はじめ。その脇でジト目で見ている志田椿「このメガネ、ウザいわー」。
番組のバイトの子と一緒に、テキパキと仕出しの弁当の箱を何回も楽屋棟の前のブースに運んでいる二人。
いつも複数の業者によって仕出しの弁当が多数陳列されている。魚が好きな人、肉が好きな人、アレルギーを持っている人・・・タレントも様々なため、何種類かの弁当が用意されている。
桜井華子は、片桐と志田の音羽亭の弁当のファンであり、いつも無くならないように早くに弁当を自ら取りに来るのである(その他のタレントはマネージャーが取りに来たりすることもあるが)。
桜井「音羽亭さんのお弁当ゲット!、いつも美味しいお弁当ありがとう!」
トレードマークであるポニーテールを揺らしながら、笑顔で片桐と志田に挨拶。片桐は、その笑顔に撃沈し、心ここにあらず。
とっさに自前のクーラーボックスから冷えた缶コーヒーを取り出し、桜井の後を追いかけプレゼント。
片桐「これ、特別サービス。いつもありがとう、頑張ってね!」
片桐のサプライズに桜井は最初驚きながらも、満面の笑顔でお礼を言うのだった。
楽屋棟入り口の曲がり角にはぶつかり防止のためのミラーがついており、ミラー越しにずっと桜井を見つめ続ける片桐に対して、気付いた桜井は楽屋のドアを開ける前に振り向いて片桐に手を振るのであった。
片桐は、その後の打合せも、後片付けの間も、桜井の虜でずっとニヘラ顔。
ちなみにギターソロ前の中間部では、片桐の脳内で桜井の笑顔がくるくる回っている様をバックコーラスで表現。
帰り道も満足げな鼻歌の片桐。だんだん夜が近づくにつれ歓楽街は人混みが増えてくる。交通渋滞気味となり、いよいよ街も本番の様相だ。
渋滞の中、ふと車内から空を見上げると、宵の明星がキラリ。中々見ることが出来ない空模様は、水曜日の一期一会の精神を表しているかのよう。
トパーズは桜井が良く着けているアクセサリーの宝石で、黄色または琥珀色に輝くもの。ヘッドライト(ハロゲンライト)の色がまた桜井を思い出させる、そんな音羽亭の二人の帰り道だった。