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宝くじの使い道をマジレスする人たちについて

高校生のとき、なぜかは忘れてしまったが中年の世界史の先生に対して「センセーは5億円の宝くじが当たったら何に使いますか?」と、授業とは一切関係のない質問をする女子生徒がいた。

きっと彼女は、先生がユニークで奇想天外な使い道を示してくれるのだろうと思って聞いたのだろう。僕だって、宝くじ以前に先生がどのように給料を使っているかは聞かないだけで少し興味がある。

下駄箱の近くの自販機であらゆる先生が何の飲み物を買うのかよく観察していたほどだ。ポケットから取り出した小銭を自販機に投入してブラックコーヒーのボタンを親指で渋く押すイケおじの先生がいれば、少し甘い香りのする天然水を買ういかにもOLな若い女性の先生、炭酸の甘くて自然界では決して取れない色をしているものを選ぶ、僕たちと感性が変わらなそうな若い男性の先生、多種多様な先生が存在していた。

その先生はというと、斉藤調べによればお茶を好んで購入するのだ。そこにはこだわりがあるようで伊右衛門や生茶、おーいお茶には目もくれず、それらより10円高い綾鷹を好んで購入しているのである。

これは5億円を手に入れたらどのような使い方をするというのか。ハワイアンズの超デカいプールを貸し切って、水の代わりに綾鷹をぶち込み、綾鷹風呂に入りたいと言ってくれるのではないかと期待した。

が、先生はその質問に答えず、質問をした女子生徒に対して「逆に君は何に使うの?」と問いかけた。

「えー私だったら豪邸を買います!すごい広い中庭がある大きな家を建てます」と小学生が一度は考えそうな使い道を堂々と話しているのだから、ある意味立派だなあと関心して見ていた。

先生はニヤニヤしながらその生徒の話を聞いていた。生徒が話し終わると、「それは甘いね、すぐになくなる使い方だ」と麻生太郎が朝日新聞の記者に対して右の口角を上げて話している時みたいにして言った。

「え、じゃあ先生は5億、何に使うんですか?」
先生は待ってましたと言わんばかりにこう一言呟いた。

「投資」

投資かあ。堅実ではあるが、我々生徒が求めている回答でないことは確かである。案の定、教室の雰囲気は盛り下がる。先生はその後、複利の効果について話し始め、いつの間にか先生の目がアメコミでよく見る$になっているように見えて仕方がなかった。

先生が、「投資先は綾鷹のコカコーラジャパンに限る!」と話してくれることに期待していたが当然そんなことを話すはずもなく、「大人ってこんなもんだよな」と現実を目の当たりにし、高校生ながら大人の考えとやらに失望せずにはいられなかった。

こんなにイケてる感じではなかったけどね

高校生より以前にも、大人が宝くじの使い道について話している場面にあったことがある。僕が小学生の頃、父とテレビを観ていたときのことだ。おそらく、「世界まる見え」か「アンビリーバボー」のどちらかの番組の内容で、宝くじについて特集されたVTRを観た後である。

父に、「宝くじが1億円当たったらどうする?」と何気なく聞いてみたのだ。きっと父は、「そうだな、家族みんなでアメリカに移住して、毎日イチローの試合を観に行こう」的な、ワクワクする夢のある使い道を提案してくれると期待を込めて質問をした。

しかし、返ってきた答えは「住宅ローンの一括返済」である。納得しかできないが、
そもそもローンという言葉自体にピンとこない小学生にとっては厳しすぎるし、何より現実的すぎる回答である。

「ろーん!?」
僕が質問をすると、父はローンの定義から、この家の価格と何年間のローンがあるのかを(聞いてもいないのに)話し始めた。最終的にはローンはしっかり計画を立てないとダメだぞとアドバイスを受け、宝くじで夢のある楽しい話ができると思ったのに全然楽しくないやと、質問したことに少し後悔をした。

ただ、人間というのは同じ過ちを繰り返すものである。その何年後かにまたテレビ経由で父に「宝くじ一等当たったら何に使う?」と愚問をしてしまったのだ。

しかしその瞬間に電流が身体を駆けめぐった。これ、住宅ローンの重い説明会になるやつだ!と気づいたのである。父が答える前に急いで「じゅ、住宅ローン以外でぇっ!」と質問をしたのであった。

残念ながらその答えは覚えていないんですけど。

じゃあ24歳になった筆者であるお前の宝くじ一等の使い道は何なんだよ、と。では答えてあげましょう。



米国株をたんまり買います(まずは積立NISAの成長投資枠を埋める)。

僕も大人になってしまったのだなぁと思う、今日この頃である。



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斉藤 夏輝
「押すなよ!理論」に則って、ここでは「サポートするな!」と記述します。履き違えないでくださいね!!!!