見出し画像

フィルモア通信 New York No21    アダム

アダム ヤウク

 レンが自分の息子のマシューと一緒に若い男を連れてきて、ぼくらに紹介した。アダムはマシューの通う高校の同級生でふたりとも卒業目前とのことだった。ぼくにはよくわからなかったがアダムは卒業するには何かが足りないらしく社会参加かなんかのクレジットが必要とのことでヒューバーツレストランで見習いの仕事をすることになったらしかった。
 17歳か18歳だかのアダムはしっかりした体つきに繊細な表情を顔に浮かべたシャイな奴だった。

 そのうちアダムは週に二、三回レストランに来るようになり野菜を洗ったり海老の皮をむいたりの仕事をした。鍋洗いもしたがびっくりするほど遅くて、ぼくは自分の手の空いたときは手伝ってやった。

 アダムはぼくの作ったスタッフ用の食事を美味しそうに食べながら自分の音楽について話し、今度CBGBかどこかでパフォーマンスが有るから来てくれ、チケットなくてもおれが入れてやるから、マサミ来いよと言った。

 キッチンにいた若いシェフのトニー・ブラッシュがアダムたちの音楽はラップのようでもあるけど、とてもフィーリングがあるサムシングだと言った。結構売れ始めているようだった。

 アダム・ヤウクは何度か彼のライブにぼくを誘ってくれたがぼくは行かなかった。アダムが彼の友達と三人でやってるバンドbeastie boysはそのうち日本へコンサートに行くようになった。

いいなと思ったら応援しよう!