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「ごめんよりありがとう」は確かに一理あるけれど、大事なときに謝れないのは当たり前にかっこ悪い。
こんにちは、役者の石原瑞葵です。今回のテーマは自由らしいですね。自由を与えられているというのはとても幸せなことだと思います。与えられているという認識自体が既に不自由な気もしますけれども。結局私は、何がしかの社会規範に無理やり自身を当て嵌めて、勝手に身動きが取れなくなっているだけなのかもしれません。「こうしなければいけない」、「ああすべきだ」といったモラルの代弁者たる脳内の私の声が、いつだって私自身の選択を縛っているのだと思います。本当は、選ばないことだって尊いはずなのに。優しくて柔らかくて不断であることを、誇ったっていいのに。そんなことを思います。
さて、自由です。自由という言葉を聞くと、私はいつもセリグマンの実験を思い出します。自由を諦めてしまった、あの犬たちのことを思い出します。実験内容はいわば「諦めの学習」についてです。この実験は、自力では回避できない電気ショックを与えられ続けた犬は、逃げ出せる状況下においても甘んじて電気ショックを受けるようになる、という結果をもたらしました。学習性無気力と呼ばれるこれは、つまりは自由に対する諦念です。あるいは世界に対する不信です。電流を避けられないと悟ったとき、彼らはどんな気持ちだったのでしょうか。自分勝手な同情なのかもしれないけれど、身に余る不条理を前にして諦めざるを得なかった彼らを、私は抱きしめたいと思ってしまいます。傷を舐め合うように。本当の意味で信じ合うことなんて出来ないけれど、抱きしめたその一瞬の気持ちだけは本当でいられるように。
何だか文章がもったりしてきました。メレンゲくらいにはもったりしています。早いところ生地と混ぜてマカロナージュする必要がありそうです。皆様マカロンを作ったご経験はおありでしょうか。マカロンの生地って基本的にはふわふわ、つぶさない!って感じなのですけれど、生地の硬さを調節するために、ヘラでわざと泡を潰す工程があるんです。それがマカロナージュなのですが、とても気持ちいい作業です。梱包材のぷちぷちを潰すときくらい気持ちがいいです。
まるで乱気流のような文章を披露してしまいました、すみません。すみません、くらいの謝意を表明したいのですが、すみませんという言葉では誠意が足りないかもしれないなどと不安になるので、ダイナミックな謝罪も添えておこうと思います。申し訳ございません。ここで過去形にしないのがポイントです。今さっき起きたことをまるでもう終わったかのように言うのは不誠実なので。いえ、全然そんなことはありません。私の脳内のモラルさんが言うことにはそうというだけです。
本格的に収拾がつかなくなってきました。つらつらと書き連ねてしまいましたが、私が言いたかったのは、自由を諦めていても、世界を信じられなくても、そこに誰かは居るということです。そうやって出会った誰かと、私は今演劇をしています。
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中央大学第二演劇研究会
2024年度卒業公演『 プシュケーの蛹』
🦋脚本・演出:師岡亮
🦋日時:
3/6(木) 18:00~
3/7(金) 13:00~/18:00~
3/8(土) 13:00~/18:00~
3/9(日) 13:00〜
🦋会場:シアター風姿花伝
東京都新宿区中落合2-1-10
(JR山手線「目白駅」より 徒歩18分/バス6分
都営大江戸線「落合南長崎駅」より 徒歩12分
西武池袋線「椎名町駅」より 徒歩8分
西武新宿線「下落合駅」より 徒歩10分)
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