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14. サウンドスケープ

20年位前にテレビで音の環境について研究している方のドキュメンタリーをみた。
人間が生活の中でどんな音をどのくらいの音量で耳にしているか、日常をすごす部屋の音の響き方はどんなか、心が落ち着く 集中できる 音の環境についてのお話だった。
番組の中では音の大きさや響きを機械を使って測定し、数値化して、人の心や思考への作用を伝えていた。
今、具体的な内容はもう思い出せないけれど、その番組をみたことと、音の環境が人の心の落ち着きに深くかかわっていること、影響が想像よりもずっと大きいことに驚いた印象が残っている。


エアコンの音 換気のために少し開けた窓から入ってくる木が風にゆれる音 鳥の声 セミの音 近所で家を建てている現場の木材が何かにあたる音 少し離れた道路から車やバイク、トラックが行き交う音

これが今聞こえている音。

生活の中で、静かだなと感じている時間にもいくつも音は重なっている。

改めて音の環境について考え始めたのは、少し前に久しぶりに行った空港で、電話する必要があった時だった。
うるさいわけではないのに、たくさんの音が重なって、響いて、電話の声がとても聞き取りづらかった。空間が雑多な音で埋めつくされている印象で。
昔の空港の、天井の高い空間に響く象徴的なアナウンスを思い出してみる。あの頃もスーツケースを引く音、人びとの会話、たくさんの足音があったけれど、この前みたいな圧迫感は感じたことがなかった。そもそも携帯電話が無かったけれど。

今はお土産屋さんも増えて、その分にぎやかにはなった。でも同時に、変わったのは自分の耳もかな…とも思う。

たくさんの情報が、目から耳からどんどん入ってくる今、自分に必要なものはどれ?と、感覚を無意識下で鋭敏に保とうとしているところはきっとあって、前より、もっと見よう もっと聞こう となっているとしたら、疲れるな…

外の世界は忙しいから、だから家の中は目も耳も他の感覚もみんな休息できるように、自分の気持ちに添った、心が落ち着く空間に保つことが大切なんだと、また気付きなおす。

心のこもった空間は、きっと 喜んで灯りを内包し、美しく音を響かせる。
灯りをあたたかい色にして、好きな音楽を大切に聴こう。
いつも穏やかで在りたい。







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