山が好きだという話
山が好きだ。
特に稜線歩きが好きだ。
重い荷物を背負って、一歩一歩を積み重ねて、どうにかこうにか山小屋につく。
荷を下ろしてほっとする。
開けた景色をまじまじと眺める。
トイレの心配なく湯を沸かし、コーヒーを飲む。
あまった行動食を茶請けにする。
雲が流れるのずっと見ていられる。
かつて登った山を探す。
何の飾りもないそのままの夕暮れを贅沢に味わう。
あふれんばかりの星を浴びる。
たっぷり寝て、日の出少し前に起きる。
紫の雲にどきっとする。
毎日こんなに美しいことが起こっているのかと。
日が昇るのに比例してあたたかさを感じる。
オレンジに照らされ、オレンジの温もりにふれる。
朝の稜線を歩く。
静かな道。
静かな日溜まり。
静かな木漏れ日。
長い一日を堪能する。
疲労を感じる時、自分の呼吸と筋肉を自覚する。
調和させるのだ。
調和させれば無理なく歩ける。
無理なく確実に歩けば、ちゃんと辿り着けるのだ。
自分にできること、できないことをはっきりと自覚する。
無理をしないために、いざというときに、それぞれ必要なものを準備してきた。
だから自分の調和を意識して進めば良い。
そのとき、自分が無くなったような、それでいて自分らしい感覚を得られる。
私は山が好きだ。
ということで、奥多摩、鴨沢~七ツ石小屋~石尾根~奥多摩駅縦走してきました。
初めてですが、とても良かったです。石尾根をまた別の季節に歩きたいです。
千本ツツジを見に行きましたが、ツツジは石尾根をずっと咲いていて、ヤマツツジはこれからが本番といったところでした。
梅雨前の良い時期にいけました。
山登りは好きですが、「自然に癒される」という言葉に違和感を感じます。
自然は別に私たちを癒すものではなく、ただそこに精一杯生きている命が絶妙なバランスで存在しているものだと感じるからです。
私たちとて、ただ癒されるだけの歓待されるべき存在ではありません。
だからこそ、私は山が好きなのです。
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