HIVの検査に行った話

そういえばここ数年1度もHIVの検査してなかったな、と急に思い立ったのが4月頃のことだった。
最後に検査したのはいつのことだったかもう覚えてもいない。

ここ最近は、危険なセックスはあんまりしていないつもりだけど、それでもたまには気分が盛り上がって、ということもある。(ひどい)
特定の相手を持たないので、性生活は基本的にはワンナイトが中心で、本当ならそれゆえにもっと気を付けないといけないんだろう。
そんなわけで後ろ暗い所もあるものだから、「行かなきゃなーでもやだなーこわいなー」と思いながら気づいたら数年が過ぎていたという感じだ。

ただ、検査のことを思い出してしまったら今度は逆に行かないと気持ち悪くなる。

調べてみたら、前回利用した無料検査場は🦠の影響で閉まっていた。
別の検査場に行くか、いっそ自宅で検体を取るやつ使ってみるか…?とかいろいろ考えたものの、前と同じ所が再開するのを待って行くことにした。
それでようやく行けたのが先日のことだった。

その検査場では、HIVと梅毒が同時に検査できるということだったので、せっかくなので両方見てもらうことにした。

ネットで予約すると予約番号が発行されて、当日はそれで受付を済ませる。
会社の帰り、ちょっとドキドキしながら会場に向かい、受付を済ませた。
受付の時に、結果を聞きに来る日を予約しなければいけない。僕は検査日から8日後の同じ時間を選んだ。

あとはちょっとした問診票に記入もする。
検査に来た理由や、疑わしい行為をした時期などをを聞かれるけど、回答は任意だし何なら嘘を書いても構わない。
疑わしい行為があまりにも近いと、検査結果が正確に出ないこともあるので、概ね2-3か月は開けるべきなのだそうだ。

名前を聞かれない代わりに、検体に貼る番号と年齢が書かれた紙を貰って順番を待つ。

番号が呼ばれると、お姉さんが血を抜いてくれる。
ここでもしっかりと年齢と番号を確認され、同じ番号を試験管に貼って準備完了、からの採血。

こういうところの看護師さんは採血が上手なイメージがある。
僕は割と血管が出にくくていつも困られるんだけど、この日の看護師さんは痛みも少なく完璧な採血だった。跡にも残らない。

採血はこれで終わり。
あとは翌週の結果発表を待つばかりだ。

発表日を待つ間もずっと落ち着かなかった。
急に心配になってしまうのだ。

インターネットを検索して、HIV感染者の初期症状を調べては、そんな症状は僕には出てなかったと自分に言い聞かせてみたりする。
一般的に、多くのHIV感染者は初期症状として、インフルエンザ様の症状を発症する。
過去数年を思い出してみてもそんな高熱がでたことなんて記憶になく、あってもインフルエンザの検査でちゃんと陽性が出た。
いや、もしかして僕はそういう初期症状が出なかった珍しいケースだった可能性もある。

普通は、発熱が収まれば後は何の症状もないまま病気が進み、数年後のある時にAIDSを発症するのである。

現在は抗HIV薬が開発されて、AIDSの発症を抑えることができるけれど、薬は一生飲み続ける必要がある。薬も安くはないし、根治には至らないのが現状だ。
最近では、この抗HIV薬を事前に飲み続けることによってHIVにかからないようにするPrEP療法というものもあるけれど、これも高額なので、正直、こんな大金を払ってできることが「生でできる」事だけだったらコストパフォーマンスが悪すぎて涙も出ない。

こんなことをネットで検索して悶々と考えながら1週間を過ごした。
どういうわけか、検査の予約を入れたときからやたらと周りでHIVや性感染症の話が出ることが増えた。そのたびにドキッとしたり、友達と会う約束をしても「もし陽性が出てたらどんな顔していけばいいんだ…」と考えたりしてしまう。
ちょっとした体調不良が「もしかしてHIVのせい…?」などという妄想に取りつかれたりする。
健康にはよろしくない。

結果発表で同じ検査室に行くときなんか、もう自分は陽性に違いないと考えてものすごく落ち込んでいた。

結果発表の受付を済ませると、結果発表用の待合室に通される。
僕が待合室に入ると、1つ前の順番の人が部屋に入っていくところだった。
待合室のテレビを眺めながら、心は超緊張しながら待っていた。

前の人、やけに長い。
一体何やってるんだ…?

もしかして前の人は陽性だったのかな…?

いやいや、結果聞くだけなのにこんなに時間かかることある?何話してるの?????

10分くらい(!)経ってようやく僕の番号が呼ばれた。
今回結果を教えてくれたのは今までで一番年寄りの医師だった。

かれは僕の番号が書かれた紙を受け取ると番号を確認して、後ろに積みあがったファイルの山からゆっくりとファイルを1つ選び出し、該当のページを開いた。
全部の動作がゆっくりすぎて間が持たない僕。ちょっとニヤニヤしてきちゃう。
ひとつのページにもいくつも検査結果が載っているので、該当の結果だけが見えるように窓をあけた厚紙を上から被せて、ゆっくり呼吸してからこう言った。(ちなみにここまでで多分10分くらいかかってる)
「はい、ここですね、一緒に見てみましょう。」
「は、ハイ」
「まず、番号は合ってますね。」
「はい」
「で、この列がHIV.(-)と書いてあります」
「はい」
「この列は梅毒。ここも(-)ですね」
「はい…。ということは、両方とも陰性ですか?」
「そういうことになります」
「よかったぁ!ここに来ると必要以上に緊張しちゃうんですよねw」
「ここで緊張するようなことしないでください。もし罹ってしまったら一生薬を飲み続けないといけないんですよ」
「デスヨネー」
「梅毒なんかは口でも移りますから、気を付けてくださいね。これはアンケートなので、差し支えない範囲で書いて出してください。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」

こうしてようやく終了。
結果聞くだけなのになぜか30分ぐらいかかってしまった。
そんなわけで、4月以降気にしていたことのひとつが解消されたので安心した。

皆さんも、心当たりがあってもなくても、たまには検査に行くといいと思います。無料だしね。

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