はじめに

もともと別に書いてたブログがあったんだけど、そっちはゲイのことはあんまり書いてなかったし、(特に隠してるわけじゃないけど)自分がゲイだとも書いてなかったので、そういうことを書く場所があったらいいかなと思って、もうひとつそのための場所を作ることにした。
まあ、これが数年も続いたらオメデトウだ。

元からやってた方のブログのリンクをここに貼るつもりはないし、万が一見つけても黙っておいてほしい。

さて。
場所を作ったはいいけど、何を書こうか。
少し僕自身のことについて書いてみよう。

30代ゲイの男性。
東京在住

自分が「そう」だと気付いたのはいつだったろうか。
僕の場合、「気づいた」というよりは「そうであろうと決めた」の方が近いかもしれない。多くのゲイの友人にそう話すとたいそう驚かれる。

僕はそもそも、ずっと自分はストレートだと思っていた。
中学生か高校生の頃だったと思うけど、そのころまだYouTubeなんかない頃に、ネットの怪しげな動画サイトでゲイ向けの動画を見ていたにもかかわらず、自分はストレートなんだと思っていた。
海外の格好いい俳優の半裸の写真を見て興奮していたにもかかわらず、自分はストレートだと思っていた。
体育の時間の前、男子は廊下に出されて着替えてたのだけど、周りの男子が半裸でじゃれ合ってるのを見て、それに混ざるでもなく興奮して凝視するでもなく、「ただただ目のやり場に困っていた」にもかかわらず、自分はストレートだと思っていた。
大学生になって22歳ぐらいの頃、ちょっと興味があってネットの掲示板に書き込んで、よく知らない男の人と初めてセックスしたときでさえ、まだ自分はストレートなんだと思っていた。

僕にとっては、女性とセックスするよりも男性とセックスする方が遥かに簡単で手っ取り早いので、僕としては合理的な選択のつもりだったのだけど、全然そうじゃなかったらしい。
僕ネコだし。

26歳ぐらいの頃、「いや、さすがにこの歳で男としかしたことがなくて、それをけっこう楽しいと思ってるんならゲイでしょ」と思い至り、「自分はゲイであることに決めた」という次第だ。

だから、いわゆるよく聞く「思春期の葛藤」みたいなのは全くなかった。
高校生までは女の子が好きなんだと思ってたから、当然クラスに「好きな男子」はいなかったし、「男に興奮する自分は人と違って変なんじゃないか」みたいな、ゲイの若者にありがちな悩みや恋の悩みなんか、僕には全く無縁だった。
当時、好きだと思っていた女の子はいるにはいるが、今思うとそれは「友達としてすごく好き」だったし、相手の女の子からもよく「女友達と話してるみたいだ」と幾度も言われていた。彼女には見抜かれていたのか…?
そして今思えば、「もしかしたらあの男の子のこと好きだったのかも」と思う案件がいくつかあり、当時同性愛を自覚していたらそれなりに苦労していたかもしれない。惜しいことをした。

ともあれ、男性に性的な魅力を感じることを「異常なこと」だと思ったことはどういうわけか一度もなかった。
周りの男友達が女性に性的な魅力を感じていいることは知っていたけど、それと自分は違っていて変だとか、話を合わせるために無理して「好みの女の子」をでっち上げたなんてこともない。
既に「変わった子だ」と言われ続けてたから、人と違うことが悪いこととか異常なことという考えがなかったのかもしれない。

当時はそもそも恋愛には全く関心がなかった(今も割とそうだけど)。
関心がないというか、それ以外のこと(勉強とか、自分の将来のこととか、普通に毎日学校生活を送ることとか)でいっぱいいっぱいすぎて、恋人を作る余裕なんて自分にはないと思っていた。
今も余裕は全くないけど。

田舎の進学校で部活もそれほど盛んでなかったから、クラスメイトはみんな勉強以外は恋愛しか楽しみがなかったようだ。卒業間際、3年間で誰とも付き合ったことがないのは、僕を含めたクラスの数人だけだと気付いて衝撃を受けた。決して友達が少ない方ではなく、女友達も多かったので(ゲイにありがちなやつだ)僕が誰とも付き合ったことがないと知って当時の親友はかなり驚いていた。
ちなみに恋人は30代半ばになった今も1人もできたことがない。


昔のことを思い出すに、僕は驚くほど自分のことがわかっていなかった。
自分がゲイだということに気づくのにさえ、20年以上かかっているのだから。
そしてこの「ゲイとしての自分」は僕の中ではまだまだ開発途上の「自分」の一部だ。30代も半ばになった今でさえ。
このnoteでは、「ゲイとしての自分」にスポットを当て、過去のことを思い出したり、今思っていることを言語化することで、自分自身を再発見する場にしたいと思う。

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