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駐在員が受ける、無料話し方レッスン
日本人は話をするとき、比較的物静かに語る
人が多い印象があります。
私もどちらかというとそうです(たぶん)。
まずできるだけ聞き手であろうとしますし、
話すときも口は大きくは開けず、
感情をあまり表に出さず、
必要以上のことを話しません。
前回休暇で日本に帰国したとき、かねてから
「大変面白い」と評判だった
「半沢直樹」
をパート1からパート2までを一気見して、
主人公の堺雅人さんのような話し方に憧れる
人、それをヨシとする人が実は日本には多い
ということなのかと不思議な感じがしました。
ここヨルダンに来てからは、ヨルダン人の
同僚やパートナーと接するうち、毎日
「無料話し方レッスン・ヨルダン版」
を受けているようなもので、彼らの影響を
しらないうちに私も受けているのでしょう、
先日、新しく日本から来られた方とお話を
していて、
「はびーびさんの話は、身振り手振りが豊富
で熱意が伝わってくる」
などと言われ、本当にびっくりしました。
4年以上ヨルダンにいて、無意識のうちに
ヨルダン人の話し方にすっかり影響を受けて
しまったんだと思います。
以前どこかの投稿でも書きましたが、
ヨルダン人は話が本当に上手です。
抑揚をつけ、
小話をはさみ、
笑いをとり、
ときに相手に考えさせる問いを投げかけ、
沈黙をはさみ、
そうかと思えばドッカンと声の音量を上げ、
相手をどんどん自分の話に引き込んでいく
のです。
そして話の間、
常に身体のどこかが動いています。
口はもちろんですが、
目、肩、腕、手首、
そしてはては指の一本一本まで、
まるでオーケストラの指揮者が全体の音楽
の方向性を決めるように、
彼らの繰り出す身振り手振り、激しく動く
手や指の力の入れ具合が、口から放たれる
言葉の意味を強化し、調整しているのです。
ヨルダンでの私のお気に入りの暇つぶしの
時間は、カフェなどに座って周囲で歓談して
いるヨルダン人のジェスチャーを眺めること
です。
男女問わず、話をしている間、彼らの手は
あっちに行ったりこっちに行ったりします。
あるときは両手を大きく広げ、
あるときは片手、両手を静かに胸にあて、
あるときは両手を頭にあてたり、
自分のほっぺを両手ではさんだり。
相手の冗談が面白かったときは、
「あっはっはーっ!」と大笑いしながら
ハイタッチをしたり、冗談を言った相手に
握手を求めます。
数字の「1」をさすように、人差し指を一本
立てるときは、声は小さいことが多いのです
が、結構大事なことを言っているときです。
人差し指と中指で、力の抜けた「Vサイン」
のような形をつくり、自分の胸の前で手の甲
を相手に向けるとき、
「わかってくれよ~」
と陳情するような内容が多いです。
私がヨルダンでも知らないうちに頻繁に使う
ようになったのが下のジェスチャーです。
ちょうどチューリップの花のような形をして
いますが、これは
「待て」
という意味です。
話好き、議論好きのヨルダン人は相手の話
をさえぎるときに必ず使います。
会議で白熱した議論になってくると、会議場
がチューリップだらけになります。
私が「あーだ、こーだ」と会議で話している
と、途中で口を挟もうとするヨルダン人が
必ずいます。
そんなとき彼らは私に向かってチューリップ
を示して
「待て (私にも一言言わせてくれ)」
のジェスチャーをしてきます。
しかし、
そのとき私も負けじと
「(話終わるまで邪魔しないで) 待て!」
と言わんばかりにチューリップを突き出し
返さなければ、最後まで話ができずに私の
ストレスになってしまいます。
携帯で私が誰かと話をしているときに普通
に話しかけてくる人が多いのですが、そんな
ときにこのチューリップが使えます。
すると、チューリップを見せる以外、何も
言わなくても相手は黙って静かに待っていて
くれます。
アイコンタクトもここでは大事です。
異性同士だとそこまでではないのですが、
会話中の目線は常に相手の目に向けられて
います。
大げさかもしれませんが、
ヨルダン人男性と話していると、相手は私の
目、それも目の真ん中の一番黒い点をロック
しているのではないかと感じるほど、じっと
こちらを見ていることが多いです。
日本では
「アイコンタクトが大事」
という人もいますし、
「アイコンタクトはほどほどがいい」
「アイコンタクトは苦手」
「上司に対する必要以上のアイコンタクトは
反抗の印」
など、解釈は人それぞれかもしれませんね。
いつだったか忘れましたが、ある日本人の
「話し方教室」の講師のような方が、会話の
ときは
「相手のネクタイの結び目あたりを見るのが
適切」
とおっしゃっているのを見たこともあります。
アイコンタクトや、会話中の目線の向け方に
ついては、「世界の人に聞いてみたさん」の
以下の記事が秀逸、大変おもしろかったです。
ドイツの事例で、マスクやサングラスをする
ことが会話にどんな影響を与えているかを
分析されています。
ヨルダン人は仕事の会議中にメモを取ること
がほとんどありません。
アポの日程や時間を手帳やカレンダーに書く
ことすらしませんが、
メモを取っていると目を相手からそらしてし
まうので相手に失礼だと思うのと、
何よりも相手の真意を目の動きから探ってい
るのだそうです。
日本でもよく「話し方講座」というタイトル
の教室を広告などで見かけたりしますが、
ヨルダン人が
「話し方講座・日本版」
を受講したら、ちょっと上品すぎて物足りな
さを感じるだろうなあと思います。
今回も最後までお付き合いいただき、ありが
とうございます。