高齢になった親と向き合う⑧
12月31日大晦日
長女夫婦が孫くんを連れて
わたしの家に泊まりにきてくれた
わたし以外の家族は桃鉄に夢中
笑い声を聞きながら
両親と何十回観たであろう紅白を
1人で観てたら泣けてきた
ちょっと飲みすぎたみたい
ひょっこり兄貴からLINE
『結局とまらずに帰ってきた。お母さん
とても悲しそうな顔してたから残念だ。』
残念なのはこっちのセリフです
だが想定内
なんなら予言すらした
そっとしておくと言えば聞こえがいいが
既読無視
翌朝
明けましておめでとうございます
と兄に返信をして実家に向かった
母は
『父さんがうるさいから兄ちゃん帰っちゃった
だけど楽しかったわ』
父は
『兄ちゃんの方がうるさかった』だって
ここからしばらくの間
兄がひょっこり登場することはないなと
思いながら
あけおめことよろ と唱えて
作り笑いを整えた
1月4日 検査と抗がん剤治療の為入院
病院のロビーで待っていると
父と母がやってきた
待合室に着いた途端にガクガクと震えだす母
嘔吐と腹痛で熱も上がってきた
診察によると
抗がん剤治療で免疫力が低下したことによる
胆管炎
病院で症状が出たことが
せめてもの救い
肝内の胆管のステントの入れ替え処置
胆管の炎症が強く重篤
面会謝絶
絶食
抗がん剤はもちろん延期
1月6日
母から電話がきた
ベッドで横たわったまま電話をかけて
泣いてる
泣き声でやっと聞きとれたのは
『お腹が痛い。痛み止めを飲んでも効かない。
お腹が苦しいから大きいサイズの下着買って
きて。ごめんね。』
辛そう
腹水が溜まっているのかも
『我慢しないでね。わたしにじゃなくて
ナースコール押すんだよ。』
と言うと 母はクスッと鼻で笑ってた
すごく当たり前のことを
わたしが一生懸命 話すもんだから
可笑しかったのだろう
1月7日
母から父へ電話があり
精神的にかなり弱っている
これまでのことや弱音
感謝の気持ちを
父と母2人して泣きながら話したようだ
『"父さんと一緒になって楽しかった"と
母さんが言ってくれた。俺が遊んでばかり
いたせいで俺にバチが当たったんだ』
と父が泣きながら言う
俺さまかわいそうと泣いているのか
大切な人が苦しむことが辛いって意味か
わからん
だが かわいそう
母の痛みが和らぎますようにと
願うばかり