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勉強 ¦ 効率良く勉強する

学校の試験勉強やスキルアップのための資格勉強、あるいは常に変化するビジネスの世界で新しいスキルを学ぶ際、「このやり方で本当にいいのかな?」と悩むことがあると思います。
勉強の効率は、工夫すればするほど上がると言われており、今では様々な方法論が登場して、書籍やYouTubeなどで紹介されています。しかし、人によって合う方法もあれば、合わない方法もあります。私もさまざまな方法を試しましたが、効果があまり感じられなかったものも多くありました。

その経験を踏まえ、個人的に効果があった、もしくは好んでいる勉強方法について紹介します。


効率良く勉強するための4つの基本原則

まず、4つの基本原則「AGESモデル(Attention/Generation/Emotion/Spacing)」について紹介します。
脳神経科学にて提唱されたもので、この4つの重要な条件を満たすことで、覚えたい事柄を記憶に効率的に定着させることができるとされています。

  1. Attention(注意): 一つのことに集中する。

  2. Generation(生成): 新しい情報を既存の知識と結びつける。

  3.  Emotion(感情): 感情が関わる記憶は、より強く脳に刻まれる。

  4. Spacing(間隔): 学習の間に適切な間隔を設ける。

Attention(注意):一つのことに集中する。

人間の脳は同時に複数のことをこなすのが苦手で、マルチタスクを行うと作業効率が大幅に低下するとされています。そのため、音楽を聞きながらやテレビをつけたままの「ながら勉強」は避けるべきです。
勉強においては、他のことに気を取られず、今取り組んでいる内容だけに集中することが重要と言われています。

Generation(生成):新しい情報を既存の知識と結びつける。

新しく学んだことを既に知っていることと関連付けることで、記憶はより深く定着します。単なる暗記ではなく、日常生活や過去の経験と新しい知識を結びつけると、学んだ内容が頭に残りやすくなります。
例えば、新しい概念を学んだ際、それを自分の知っている事例や日常の体験と結びつけることで、理解が深まり、知識がより使いやすい形で定着します。これは、単に情報を受け取るだけでなく、それを自分の中で意味ある形に「生成」するプロセスが発生するからです。
このように、学んだことを実際に使ってみたり、自分なりの視点で整理することが、記憶力を強化し、知識の応用力を高める鍵となります。

Emotion(感情):感情が関わる記憶は、より強く脳に刻まれる。

感動した経験や心を揺さぶられた出来事は、長く鮮明に記憶に残りやすいものです。これは、感情をコントロールする扁桃体が、記憶を司る海馬に影響を与えるためです。感情の動きが強いほど、その出来事が記憶に深く刻まれます。一方で、嫌な気持ちを抱くと、ストレスホルモンが分泌され、海馬や前頭前野の脳細胞がダメージを受けるとされています。
逆に、好奇心や楽しさを感じると、脳の働きが活発になり、記憶力や学習効率が高まります。
例えば、実際に自分が興味のあるテーマに関連付けるなどを行い感情を喚起することで、記憶に残りやすくなり、記憶の定着の鍵となります。

Spacing(間隔):学習の間に適切な間隔を設ける。

短期間に詰め込むように学習するよりも、間隔を空けて復習する方が、脳にとっては効果的であると言われています。例えば、一度に多くの情報を学ぶ場合でも、学習セッションの合間に休息や睡眠を取り入れることで、脳がその情報を処理しやすくなります。連続して覚えようとするよりも、時間を空けて学び直す方が、記憶に残りやすいことが研究でも示されています。
つまり、効率的に知識を定着させるためには、学んだことを短期間に繰り返すのではなく、日を置いて復習し、脳に十分な休息を与えることが重要になります。

勉強方法

ラバーダック・デバッグ(Rubber duck debugging)

ラバーダック・デバッグとは、ソフトウエア工学におけるコードのデバッグ手法になります。プログラマがラバー・ダック(アヒルの人形)を持ち歩きアヒルの人形に向かってコードを1行ずつ説明することによりデバッグを行うという話が由来になります。
同じように、勉強を行ったら何も見ずにアヒルの人形に向かって、学んだ内容を説明します。
「Generation(生成)」で説明したように、新しい知識と身近な要素を関連させて、活用方法や得られる効果について話を展開してみてください。
学んだ情報を記憶から呼び起こし(アクティブリコールの発生)、記憶の定着率が上がります。

ファインマンテクニック(Feynman Technique)

ノーベル物理学賞を受賞したリチャード・ファインマンが考案したこの学習法は、自分が理解できていない部分を明確にし、深い理解と記憶の定着を目指すものです。シンプルな手順で進められるため、さまざまな分野の学習に応用できます。

手順は以下の通りです。

  1. 紙やノートアプリを用意し、学んだ内容を自分の言葉で書き出します。

  2. 書き出した内容に対し、教科書や参考資料、Webから得た情報を基に補足や追加の説明を書き加えます。

  3. 最後に、その情報を整理しながら、まるで誰かに教えるように説明します(実際に人間に対してではなく、ラバーダック・デバッグで良い)。この際、専門用語を避けて、できるだけ簡潔な言葉で説明できることがポイントになります。

このプロセスを通じて、自分の理解が曖昧な部分や欠けている知識が浮き彫りになり、さらに深いレベルでの理解が得られるようになります。同時に、記憶の定着も促進され、学んだことがより確実なものになります。

最後に

勉強の効率を高めるためには、科学的なアプローチと工夫が重要です。今回は、脳神経科学に基づく「AGESモデル」を基に、効率的な学習の4つの基本原則(注意、生成、感情、間隔)を紹介しました。これにより、記憶の定着を促進し、学習の効果を最大化することができます。
さらに、実際の勉強方法として、ラバーダック・デバッグやファインマンテクニックを取り上げました。これらの方法は、学んだ内容を他者に説明する感覚で理解を深め、記憶に定着させる手法です。
学習は一度で終わらず、試行錯誤を通じて最適な方法を見つけていくものです。自分に合った方法を見つけ、工夫しながら効率的に学び続けることが成功への近道となると考えています。


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