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今さら聞けない3Dプリンタのあれこれ -機材の種類編-

こんにちわ!Kanazawa.IoTメンバーの竹田です。

デザインの仕事をやってます。
最近は平面のグラフィックデザインよりも、3Dデザインの方がメインです。

さて、前回前々回と、3Dデータの重要性とIoTとの関係性をお話してきましたが、今回は、もう一段具体的なお話をということで、「3Dプリンタの機材の種類」についてお話したいと思います。

3Dプリンタは日々のデザイン業務で活用していますが、一言で3Dプリンタと言っても、実は沢山の種類があります。
基本的な概念はどれも一緒ですが、それぞれに特徴や強み弱みがありますので、これを知っておくだけでも、表現の幅が広がり、最適解を探ることができます。

大きく別けて5種類
1)FDM(熱溶解積層)方式
2)SLA(光造形)方式
3)インクジェット方式
4)インクジェット粉末積層方式
5)SLS(粉末焼結積層造形)方式

※詳細は、ネットで「3Dプリンタ 種類」などと検索するとよくまとめられたページが出てくるので割愛しますが、実際にすべてのタイプを使って仕事をしている身として、リアルな感想を書いていきたいと思います。

1)FDM(熱溶解積層)方式
3Dプリンタを知っている人なら一度は見たことがあるであろう、普及タイプ。フィラメントと呼ばれる樹脂素材の細い線を高温で溶かし、ネリネリと積み上げて行くタイプの3Dプリンタです。特許が切れたことで、価格帯は5万〜300万と幅広く、本体は家電量販店でも売ってます。

入門編として導入でき、コスパもいいので、購入したという方は多いですが、個人的にはおすすめしないです。直線的なものには十分ですが、曲線的なものや複雑な形状には不向き。試作の試作としては可能ですが、こと製品開発、となるとちょっと。初めて触ったときの感動はひとしおですが、なれてくると、業務としてはもとより、趣味としても「なんだこんなもんか」となる人が多いと思います。

左が(1)FDM方式、右が(4)インクジェット粉末積層方式。
FDMだと、線が入ります。

ときに、とんでもない失敗で製作者を驚かせてくれます。
3Dプリンタあるあるw

ただし、FDM方式の本領は、素材選択の自由さ。これを理解できると、途端にスペシャルマシーンになります。それは次回に。

精度△(よくない)/価格◯(安い)/スピード△(まぁかかる)/おすすめ度△


2)SLA(光造形)方式
いわゆる昔からあるTHE 3Dプリンタ。方式としては最も古く、メディアでも、この方式を見て3Dプリンタを知った方が多いのではないでしょうか。
液体に紫外線をあてて固めていく方式。価格帯は50万〜1000万くらい。

画像はDMM.makeさんより。地元石川県にて全国最大規模の3Dプリント事業を展開。ありがたい限りです。

精度、コスパ、扱いやすさ、ともに安定しており、業務としても十分かと。中空構造が造形できるのも魅力。かつ、デスクトップタイプの光造形機が多く世に出てきて、なかでもForm2はかなり使い勝手がよく、おすすめです。
精度が高い分、造形スピードがやや難点ですが、ここ最近は方式に改良が加わりスピードUPを実現した機材が見受けられ、今後の主流になると思っています。

精度◎/価格△/スピード△/おすすめ度◎


3)インクジェット方式
マルチマテリアル対応で、複数素材を同時にプリント可能です。端的にいうと、柔らかい部分と硬い部分を同時に造形可能で、ゴムのような質感を再現可能です。それでいて精度も高く、試作の現場で重宝されています。

曲げても大丈夫な柔らか素材ゴムライク。柔らかい部分と硬い部分を同時に、あとで組み立てることなく一発で製作可能です。

素材がまだお高いのが難点なのと、完全にゴムではなくあくまで「ゴムライク」なので、製品開発の際に耐久テストなども兼ねる場合は要注意。それでも、柔らかい材質と硬い材質を組み合わせた試作品を、実際に手にとって見れるのは驚異的で、製造の現場に革新を与えています。

精度◎/価格△/スピード△/おすすめ度△


4)インクジェット粉末積層方式
複数素材が出せる(3)に対して、こちらは、フルカラーでの印刷が可能なタイプ。僕が行っているエンタメ系3Dの分野だと、フィギュア制作などでも活用されています。
石膏素材のものが主流でしたが、最近は樹脂タイプも出てきており(その方式は正確には3に近いが)、色付きで丈夫なものが作れるようになりました。これはすごいことです。最終的な進化は、本当にみなさんが普段使うようなものが、フルオーダーメイドでその場で色付きで出来上がるような世の中ですね。

コスプレイヤーの方を3Dスキャンしてデータ化し、フルカラーによるオリジナルフィギュアを作成したり。

チャレンジングな取り組みとして、現地の土を混ぜ込んだ粉末素材をベースにすることで、陶器などが、またシリコン・ガラスなどを練り込んだセラミックなども活用がされ始め、焼き物の分野に革新を与えています。
それも素材に関する次回に詳細を。

精度◯/価格◯/スピード◯/おすすめ度◯


5)SLS(粉末焼結積層造形)方式
主に、金属素材の3Dプリンタで用いられる方式。鉄粉にレーザーをあてて、一層一層溶接していくようなイメージで積み重ねていく。精度や強度も十分で、すでにジェット機のパーツや超小ロット生産の現場や、金型の現場では活用されています。

僕のような業種では、コスパがあわず、使いこなせないタイプでしたが、
金型の世界ではすでに活用の事例が多く、そういった業種の方とお話をすると、いままでかかっていた金型代から比べると非常に有用、だそうで、
その他、ドアノブやネジなどの細かいパーツや、さらに、指輪などのアクセサリー業界でも活用されていきそうです。インテリアデザインやプロダクトデザインにおいて、これほど進化が待ち遠しいことは他にないのではないでしょうか。

精度◎/価格×/スピード×/おすすめ度△


さて、大きく機材の種類についてお話しましたが、根本の概念や方式は、それほど大きく進化することはありません。今3Dプリントの分野で最も注目されているのでは、使用される素材についてです。
次回は「素材の種類編」をお伝えしたいと思います。


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