#13 詩 4 ことばのゆくえ、こころと社会のあいだ 2022年8月3日 13:01 詩人にとって言語は恐らく私たちがまったく気がつかないでいる価値に満ちあふれたものなのだ。わずか10語に見たないような言葉で何らかのメッセージを表現しようとする場合、私たちはただ意味を正確に伝えたいと思うものだが、詩人は表現そのものにおいて実際の生の流れ、情緒的な鼓動を扱うのである。G.H.ミード『精神・自我・社会』山本雄二 訳 みすず書房 2021年*おもいでが 音もなくながい巻物をくりひろげる。わたしは嫌悪のこころをもっておのれの生涯を読みかえし身をおののかせ のろいの声をあげなげきつつ にがいなみだを流す。けれども悲しい記録のかずかずはもはや消し去るよしもない。『プーシキン詩集』金子幸彦訳 岩波書店 1953年こわいんです。生きてることが、でも、死ぬことも、こわいんです。 宗宮 彰子(岐阜県、15歳)丸岡町文化振興事業団 『日本一短い手紙 大切ないのち』角川書店 2002年わたしは肉体を認知するのがこわい わたしは魂を認知するのがこわい 深い 心もとない財産 所有物、自由意志のきかない疑うことをしない相続人に勝手に課せられた 二重の財産不滅の問の君主にして未開拓の、神。『エミリ・ディキンスン詩集』中林孝雄 訳 松柏舎 1986年いやだ と言っていいですか本当にからだの底からいやなことを我慢しなくていいですか我がままだと思わなくていいですか親にも先生にも頼らずに友だちにも相談せずにひとりでいやだと言うのには勇気がいるでもごまかしたくないいやでないふりをするのはいやなんです大人って分からない世間でいったい何なんですか何をこわがっているんですかいやだ と言わせてくださいいやがっているのはちっぽけな私じゃない幸せになろうとあがいている宇宙につながる大きな私のいのちです谷川俊太郎『さよならは仮のことば』新潮社 2021年ナザレに着いたとき 私は半分死んでたとにかく横に なれる場所が欲しい私は男に尋ねた “泊まれる場所は?”彼はニヤリと笑い ただ一言“知るもんか” 荷物を下ろして 自由になりなさい荷物を下ろしなさい そして その荷を 私によこしなさい”THE WEIGHT” by THE BAND 『イージーライダー』監督 デニス・ホッパー アメリカ 1969年いのちがおわるときも、夏休みがおわるときのように、短かったと思うのかなぁ。 緑川 なつみ(神奈川県 14歳)丸岡町文化振興事業団 『日本一短い手紙 大切ないのち』角川書店 2002年 ダウンロード copy #詩 #言葉 #命 #夏休みの思い出 #こころと言葉 4 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート