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「日本は空母の時代に大和を作った」という嘘

「日本は空母の時代になっても戦艦に固執し、大和型戦艦を建造した」
このような話がありますがこれは間違いです。

今回はそれに関する解説と、各国の「最後の戦艦」について軽く解説していきましょう。

船は女性として扱われる事がある事及び、分かりやすさを重視し擬人法を多用しますがお許しください。

早期に戦艦建造を中止した日本

大和型戦艦は「大和」、「武蔵」、「信濃」、「111号艦」の4隻が計画されていました。
ですが日本海軍はミッドウェー海戦を受け計画を変更。

空母機動部隊を立て直すべく「信濃」には空母になってもらう事になりました。
イメチェンにも程があります。
「111号艦」は建造が中止され、その資材は他の艦の修復などに回されました。

海軍軍縮条約が効力を失い、列強は軍艦の自由な建造ができるようになりましたが、日本はそこまで戦艦を作っていないのです。

大艦巨砲主義と言われる日本海軍ですが果たしてそれは正しいのでしょうか?

戦艦を大事に使い続けたアメリカ

アメリカではアイオワ級戦艦「アイオワ」、「ニュージャージー」が1943年に就役。
「ミズーリ」、「ウィスコンシン」が1944年に就役しました。

アイオワ級戦艦は長い間使われる中、4姉妹全員が近代化改装を受けるなど大切にされ、引退後も4姉妹揃って博物館として余生を過ごしています。
仲良し4姉妹はこれからもその強さを世界中に示し続けることでしょう。ー

砲撃を行うアイオワ級戦艦「アイオワ」

世界で最後に戦艦を完成させたフランス

最後まで使ったのはアメリカですが、最後に完成させたのはフランスです。
リシュリュー級戦艦「ジャン・バール」はドイツやイタリアの戦艦に対抗すべく建造された期待の新人でした。

ですが良いスタートだったとは言えません。
未完成の状態でドイツから逃げたり(結局ドイツ寄りのヴィシー・フランス海軍に編入されてしまいます。)、その上でアメリカと戦って着底したり不幸ばかりです。

未完成状態の「ジャン・バール」。前の方にあるはずの砲塔が付いていません。

ですが引き揚げられ、1955年にようやく就役を果たしました。
アルジェリア独立戦争では船底に爆弾を取り付けられるものの失敗に終わるなど、ちょっとは運が良くなりました。

1961年には引退し、アメリカ以外から戦艦がいなくなる事になりました。

これから先、戦艦が作られない限り、彼女は「世界で最後に完成した戦艦」の称号と一緒に語られるでしょう。

タイミングが悪かったイギリス

大和型戦艦「大和」が就役する少し前にヴァンガード級戦艦「ヴァンガード」は起工されました。
4隻の同型艦を作る計画もありましたが、結局「ヴァンガード」は一人っ子となってしまいました。
その上、イギリスは損傷した船の修理、他の艦の建造を優先した結果、就役したのは戦争が終わった1946年。

彼女は戦争に間に合わず、本来の価値を発揮する機会を失ってしまいました。
ですが悪い事ばかりでもありません。彼女には重要な使命が与えられました。

1946年の「ヴァンガード」

国王一家を乗せる王室専用ヨットとしての役割です。
1947年の南アフリカ連邦訪問に使用されたのち、イギリス本国艦隊の旗艦(艦隊のリーダーとなる船)を務め、「ヴァンガード」は1959年に引退しました。

あのイギリスでさえ、戦艦の維持はかなりの重荷となっていたのです。

最後に

イメージで語られている事が実際とは違う事はよくあります。
他の話題も調べてみたら意外な事を知れるかもしれませんね。

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鹿島響(あきづき)
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