🇦🇺次期フリゲートに🇯🇵のフリゲートが選ばれるかも！？　

オーストラリアは海軍戦力の増強計画を見直し､
・ハンター級フリゲートを9隻から6隻に削減
・アラフラ級哨戒艦を12隻から6隻に削減

その代わりに
・次期汎用フリゲートを11隻調達
・有人での運用も可能な大型無人艦を6隻調達

このように変更すると発表しました｡

それに伴い､次期汎用フリゲートに四カ国のフリゲートが候補に選出されました｡
次期汎用フリゲートの候補は現時点では以下の通りです｡
・🇩🇪 MEKO A-200
・🇪🇸 ALFA3000
・🇯🇵 FFM
・🇰🇷 FFX-Ⅱ or FFX-Ⅲ
この4種類のフリゲートが採用を争う事になります｡

次期汎用フリゲートのざっくりとした概要

オーストラリア海軍の主力艦であったアンザック級フリゲートを置き換える艦であり､11隻の調達となる一大プロジェクトです｡
最初の3隻は採用を決定した国で､残りはオーストラリア国内での建造となります｡
同型艦を運用しているニュージーランドも参加する可能性がありますが果たして…

オーストラリア海軍の実績から見れば🇪🇸が有利っぽい？

オーストラリア海軍の保有するホバート級駆逐艦はスペインのアルバロ・デ・バサン級フリゲートを原型としており､補給艦もスペインの物を原型となっているため､それらの実績を踏まえたらスペインはかなり有利です｡

ALFA3000｡見た目も良く､実際に見てみたいと言えば見てみたい…

ですがALFA3000というモデル自体には実績がなく､少し小ぶりである点などが少し不利な点になりますが過去の実績などで十分カバーできると思われます｡

アンザック級フリゲートの後継としてなら🇩🇪も有利っぽい？

次期汎用フリゲートで置き換えるアンザック級フリゲートはドイツのMEKO 200というモデルのフリゲートであり､
MEKO A-200はMEKO 200の後継モデルとして提示されたもので
・南アフリカ海軍
・アルジェリア海軍
・エジプト海軍
などで運用されている実績豊富なもので､採用される可能性は高いです。

アルジェリア海軍で運用されているエル・エルラディ級フリゲート｡
独特な構造が分かりやすい写真になっています｡

ですが船体の構造は独特であり､
ディーゼルエンジンの排気は煙突ではなく船の横からという舷側排気
ガスタービンエンジンの排気は船の後ろからという艦尾排気

どちらかといえばスタンダードではないこのタイプをオーストラリア海軍が採用するかどうかはちょっと怪しい気がします｡

勢いや納入スピードから見れば🇰🇷も有利っぽい？

韓国は防衛装備品の輸出で実績を積み重ねており､輸出先にはオーストラリアも含まれます｡
オーストラリアは韓国製のK9 155mm自走榴弾砲やレッドバック歩兵戦闘車などの導入を決定した事があり､韓国製の装備品はオーストラリアでも高い評価を得ているようです｡
納入スピードも早い事もあり､計画遅延などの不安もそこまでありません｡

今回候補に選ばれたフリゲートであるFFX-ⅡとFFX-Ⅲは性能もよく､準同型艦の輸出実績も存在します｡
ですがFFX-ⅡもFFX-Ⅲも沿岸向きのためか乾舷がかなり低めです｡

こうしてみると結構低い…

仮に外洋での活動を考慮した場合だとオーストラリア海軍が選ぶかは微妙なのではないでしょうか…
その点がFFX-Ⅱ､FFX-Ⅲに共通して気になる所ですが採用される可能性は十分あると言えます｡

性能とかを見てみると🇯🇵もなかなか有利っぽい？

では最後､日本はどうなのでしょうか？
オーストラリアのシンクタンク(研究機関)であるシドニー大学米国研究センターはFFMを高く評価しており､導入する事で以下のメリットがあるとしています｡

・日豪両国の更なる連携強化につながる
・求められる性能をしっかり満たしている
・省人化が候補の中で最も進んでいる(乗員数が最少である)
・スケールメリットが得られる

https://www.ussc.edu.au/australia-s-new-navy-the-japanese-optionより日本語訳

またオーストラリアが導入を進める艦載ヘリコプターであるMH-60Rの運用にも適した設計であるとの事であり､性能面での不安はそこまでありません｡
ステルス性も十分備えており､設計も堅実です｡

見た目はこれまでの護衛艦とかなり異なるけど内容は王道な感じ｡

そしてFFMは比較的短期間での建造が可能であり､それもかなりのメリットになるはずです｡

ですが日本製の防衛装備品自体にはこれといった実績が少なく､
フィリピン向け対空レーダー輸出くらいしか存在しません｡
これは採用を勝ち取るにあたって大きなデメリットになります｡

日本はもがみ型をベースとした艦艇の共同開発を検討しているようです｡
これから先どのような提案やアピールをしていくのか目が離せません｡

IODS24での興味深い展示｡

オーストラリアのパースで開催されたIODS24にて興味深い展示がありました｡
展示されていたのは｢アップグレードもがみ｣と呼ばれるプログラムの関する物です｡

展示されていた模型や映像を見る限りでは新型FFMの準同型艦に近く､細かな変更こそなされていますが全体的なスタイルは新型FFMと変わっていません｡

全体像を比較｡

そしてこれまで展示されていた模型とは大きく異なるのが上の画像にある新しいマストです｡
このマストはモジュラー構造になっていると思われ､さまざまなニーズに合わせた柔軟な対応が可能になっています｡

新型マスト搭載時のFFM｡NAVAL NEWS公式Youtubeよりスクリーンショット｡

また､最近話題となっている護衛艦へのNSM統合の話はオーストラリア海軍が今後NSMを使用する事といい感じに繋がります｡
これにより､オーストラリア海軍への強いアピールにもなります｡

これらの提案はオーストラリアなどの国にどんな印象を与えるのかが非常に興味深いです｡
なおNAVAL NEWSがこれらについての動画を公開していますが､ニュージーランド､フィリピンなどのミリタリーマニアから｢これいいね！｣｢ニュージーランドとオーストラリアはアンザック級の時みたいに協力したら良い｡｣｢フィリピンに10隻欲しい｡｣などのコメントがたくさんありました｡

VLSの数は新型FFMとFFX-Ⅲが32セルである以外は全て16セルであり､オーストラリア海軍がVLSの数を重要視する場合､日韓で対決する可能性もあります｡
また､今回は次期汎用フリゲートに関連する展示があったそうですがドイツ案は模型が展示されていなかったそうです｡
もしかするとドイツは早々に競争から脱落したかやる気がないのかもしれません｡

筆者の主観だけで作った採用可能性ランキング

1位 🇪🇸ALFA3000
2位 🇯🇵新型FFM
3位 🇰🇷FFX-Ⅱ or FFX-Ⅲ
4位 🇩🇪MEKO A-200

ちょこっと解説 日本が防衛装備品を輸出してもいいかどうかについて

近年､イギリス､イタリアと共同開発する戦闘機の輸出やフィリピンへの対空レーダ輸出など日本製防衛装備品の輸出に関連する話題がたくさん出るようになりました｡
この話をニュースでも耳にした方は結構いると思います｡

それに反対する人間が憲法違反だとか平和国家の精神に反するなどと話す姿も見たことがあるのではないでしょうか？

では実際に憲法違反なのかといえば憲法違反でも法律違反でもないのです｡
何も問題がありません｡
武器輸出三原則も防衛装備品移転三原則もそもそもが憲法でも法律でもないのです｡

ちなみに戦後の一時期には少数ではありますが東南アジア等を中心に輸出がなされています｡

平和国家の精神という曖昧なもので語られても…
というか91式魚雷くんが台湾に輸出されてるのはいつ見てもびっくり｡

個人的には誰かを守る力として日本製の装備品が役に立つならそれはそれは非常に嬉しいことです｡

FFMシリーズに関する筆者の考え｡

30FFMがまだ30DEXであった頃の日本版LCS(沿海域戦闘艦)みたいな構想から全体的に結構スタンダードな感じで落ち着いたのはLCSの失敗を考えると本当に良かったと思っています｡
コンステレーション級ミサイル・フリゲートでさえ雲行きが怪しい今では
｢アメリカさん！いい感じのフリゲート買わない？｣
という冗談が冗談ではなくなる日が来る可能性はゼロではありません｡
そうなったら喜べばいいのか泣けばいいのか…

実際FFMの装備などはフリゲートとしては結構スタンダードなもので
360°ディスプレイのCICや対機雷戦能力の導入､省人化などの革新的な要素が詰まっている中でここまで計画が順調に進んでいる事も驚きです｡
あまり冒険しないのも時には重要｡冒険しすぎたのがLCS｡

というか結局もがみ型のマスト(通称？もがみん棒)輸出の話はどうなったの？

最後に

高性能なライバルにFFMは打ち勝つことができるのか？
勝ったらいいなぁ｡でもスペイン強いし…頑張れ♡