#42 斜めの自分らしさ
こんばんは。あら、貴方も眠れないのかしら?
だったら、私の話に少しお付き合いしてくださらないかしら。
ようこそ、クラブマゼンダへ。
今週末は、TRP(東京レインボープライド)ね。
楽しみにされている方も多いのかしら?
私は、今のところ参加の予定は無いけれど、素敵なイベントよね。とっても素敵。
私が、初めて見たプライドパレードは、カナダだったわ。
その時は、語学学校の女友達と連れ立って、沿道から華やかなパレードをこっそり見ていた。
何故なら、まだその時は自分がゲイだって事を誰にも話していなかったのよ。
けれど、そんな私を察してくれたのか、私にラメラメのサングラスとレインボーブラッグを手渡してくれた、パレードの参加者の人がいたの。
それは、今でも大切な宝物よ。私の部屋にちゃんと飾ってあるわ。
さっき、私は参加の予定は無いと言ったけれど、私は今少し人間不信気味になっているのよね。
って、急に重いトーンでごめんなさい笑
と言うのも、私は、今の私が分からないのよ。
実はね。今年の春、働きながら通っていた大学を卒業して、福祉系国家資格の中でも、かなり難しいとされる「社会福祉士」の試験に合格したの。
あぁ、これで、私の努力が実を結ぶ。
そんな風に思っていたわ。働きながらの勉強も、試験勉強も本当に、本当に大変だったから。
けれど、待ち受けていたのは、その資格の有用性の無さ。
その資格を活かせていないのは、もちろん私の責任ではあるわ。
ただ、この資格を持っているからと言って、特別できる仕事は無いし(業務独占資格では無いから)、福祉の世界という、とても保守的な世界では、私のような人間はなかなか馴染めないのよ。
それと、こんなに必死に勉強して、国家資格まで取ったのにって言う変なプライドも邪魔しているのも確かね。
だけど、いわゆるサラリーマンより、遥かに少ない賃金で、下手をすれば、介護福祉士やケアマネの方がよっぽど高待遇で働ける求人を見ていると、私の4年間はなんだったのかしら。と虚しくなることがあるの。
私が好きなアニメのひとつに、「機動戦士ガンダムSEED」っていう番組があって、その中で、主人公が、ヒロインから新しい機体を託される時に言われるセリフが大好きなの。
『思いだけでも。力だけでも。」
これは、私の根幹にもなっていて、私の思い。
「自分のセクシュアリティに悩んでいる若者を支援したい。有りのままの貴方で良いんだと伝えたい。」があって、そのためには、それを届ける力が必要だと感じて、「社会福祉士」という国家資格を取ったわ。
けれど、その力の部分が今の私にはあまりに無さすぎる。
国家資格を取っても何も変わってなんか無い。
だって、私自身が変わっていないから。
そんな最近の私は、目に付くことに所構わず噛み付いて、自分への怒りを、無力さを、ただ周りにぶつけることしかできない。本当に弱い人間だわ。
正直、美しくないし、強くもない。
私の理想の私。マゼンダ・ダイアゴナルを名乗るのに相応しく無い。そんな風に感じてしまうの。
いつまで経っても深まらないマイノリティの人々への理解や、自分を体現できないもどかしさ。
そして、自分の価値を疑ってしまう、脆さと弱さ。
そんな自分は一体何のために、こうして生きているのだろう?そこまで考えてしまうわ。
プライド。あえてここで訳すなら、誇りを持って生きられない自分が悔しい。
これまでの人生を賭けて、そして、この4年間を賭けて、得たものがこんなにちっぽけな自信だなんて。そんな風に卑下してしまう。
先の『思いだけでも。力だけでも。』
この言葉には、「何かを成すには、それを成そうとする確かな思いと、強い力、その2つのバランスが合ってこそ成し遂げることが出来る」のだと、私は解釈しているわ。
だけど、私はあの日、沿道に立っていた、クローゼットに閉じこもって、自身を認められない1人のゲイのまま。なんにも変わっていない気がしてしまう。
どうしたら、良いのかしらね?笑
私は、美しくて、強い、マゼンダ・ダイアゴナルとして、生きていきたい。
けれど、そこに辿り着くには、越えなきゃならないものが沢山ありすぎて、とても疲れてしまっているの。
いつか、私にも思いを実現できるだけの、力が身に付くのかしら?
それは神のみぞ知る。いや、私のみぞ知るよね。
前へ、いえ、もっと高みへ進む勇気が欲しい。
他の誰でも無く、私自身のために。
って、また、私のことばかりを話してしまったわね。
あの日、ゴールドのラメでキラッキラのサングラスとレインボーフラッグをくれた、パレードの参加者のように、私も誰かの背中をそっと、少しだけ押してあげられる人になりたいわ。
そして、劇中で、主人公がヒロインから託された機体の名前は「フリーダムガンダム」。
その自由の名を冠したガンダムのように私も今の場所から飛び立ちたい。
華やかなパレードの中で、沢山の努力や葛藤を抱えたり、乗り越えたりしてきた、彼らや彼女たちのように私もなれるかしら?
そんなことを思いながら、今日は閉店にするわね。
最後まで読んでくれてありがとう。また来てね。
大好きよ💖
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?