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「なっちゃん」を想う

幼い頃から今まで感じてきて、やっぱり間違いないと思ったことがある。

「なっちゃん」は素敵。

思い出してみてほしい。幼い頃から今まで、あなたが出会った「なっちゃん」を……。

私が出会った「なっちゃん」は、みんな優しくて明るくて、男女問わず周りの人から好かれていた。今回はその中の1人、地元の隣町に住んでいた憧れのお姉さんだった「なっちゃん」のことを書こうと思う。

私は大学院を出た後、アルバイトをしながら某大学の非常勤講師を少しの間務めてたことがあった。その頃、個人の活動よりも、舞踏の人たちとのコラボレーションや演劇のための音楽(音)制作に時間を費やしていた。

特に演劇に関しては、本番前までの約1週間ほど、毎日稽古場に機材を背負って行って音を鳴らし、帰宅。修正して翌日また稽古に行くという、濃い時間を過ごしていた。体力が消耗していた反面、普段味わえない新しい感覚を吸収でき、非常に刺激的だったことを覚えている。

そのなかでもとっておきに印象深い本番の遠征があった。
富山の利賀村で行われた演劇のコンクールのようなものに帯同させてもらったときだ。
※ 野外に舞台があったり、小屋があったり、とても美しいところ - 利賀芸術公園

まず、驚いたのが、私が乗り込んだ車だった。大道具さんのハイエース。居場所はぎゅーぎゅーに積まれた工具や木材の中にある座席(椅子があったかは覚えてない)。多少、いやだいぶ荒めな運転と利賀村へのくねくねな山道が相まって、足首に木材が刺さったりもした。血も出た。黙っていたけれど……。

そんなことはどうでもいいのだ。

そのコンクールには俳優さん、裏方さんたたちみんなが集っていて、音楽とは違う世界の話しをとても興味深く聞かせてもらった。打ち解けてきたころ、俳優さんのうちの1人(男性)が学生時代の恋の話をし始めた。

「大好きな女の子がいてね、何度か告白したんだけどふられたんだよね。なっちゃんっていってね、本当にいい子だっなあ。本当に好きだったなあ。今は結婚して幸せに暮らしてるみたいでよかった。あれ?確か愛媛の子だったよ。どこだったかな。◯◯村だったかな…」

その瞬間、激震が走り興奮で震えた。過去一の体内BPMで記憶の脳内処理がなされていたと思う。

◯◯村のなっちゃんは、1人しかいない。

小学生の頃、同じピアノの先生に習っていて、普段は明るい雰囲気なのに、発表会では暗くて激しい曲を一心不乱に奏でる。才能が溢れていて、尊敬しすぎて大好きすぎて文通してもらっていた「なっちゃん」に違いない……。そう確信した私は思い切って、

「◯◯(名字)なっちゃんのことですか?」 

とその俳優さんに尋ねた。

俳優さん「えーーー!何で知ってるの???」


私「キャーーーーー!!!!」

広い食堂に響いてしまった。恥ずかしい。
しかし、許してほしい。こんな偶然ありますか。何の繋がりもなく、帯同した劇団のその演目だけに参加した俳優さんだったのに。

動揺していたが、えらく感動もしていた。なぜなら、俳優さんが愛を込めて語ってくれた「なっちゃん」は、私の知ってる「なっちゃん」のままだったから。やっぱり「なっちゃん」は素敵なんだ!
涙が出てきた……。

周囲の人たちに謝りたい、うるさくしてごめんなさいと。もう遅いけれど。

そんなことがあり、
『「なっちゃん」と呼ばれている人、みんな素敵説』ができあがった。

ほかの「なっちゃん」のことも書きたいけれど、書ききれない。それぞれ素敵なのは間違いない。

あなたの「なっちゃん」はどんなひと?
きっと素敵だよ。思い出してみて。

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