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hamahouse
しけしけのじゃがりこ
じゃがりこは時計である。
じゃがじゃが、りこりこ。
ガリゴリ、ゴリガリ。
ボリボリ、ジャクジャク。
チクタク、チクタク。
埼玉県、浦和、夜9時。
タワーマンションの下に、公園と呼べないような、小さな公園がある。
ベンチに座って、缶チューハイのプルタブを引っ張る。
プシュッと音が鳴って、缶の中で小さくシュワワ〜。
隣の友だちも、プシュッ、シュワワ〜。
ゴキブリがベンチの横を通過する。
コンビニで買った安いチューハイが、舌を経由して喉を通過する。
次にじゃがりこ。
口に入れた瞬間は、しょっぱい。
ガリゴリ、ゴリガリ。
食べているうちに、じゃがいもの味がする。
ボリボリ、ジャクジャク。
飲み込んだあとは、唇に残ったしょっぱい粉をペロッと舐めて、またチューハイに手を伸ばす。
これを何度か、繰り返す。
だんだん時間を忘れて、
じゃがりこのことも、チューハイのことも忘れて、
友だちとの会話に夢中になっていく。
話したいことがどんどん溢れ出る。
気づいた時には、もうこんな時間。
じゃがじゃが、りこりこ。
ガリゴリ、ゴリガリ。
ボリボリ、ジャクジャク。
しけしけのじゃがりこだけが、時の経過を裏打ちする。