デビルマンのビジネスモデル
本日のクライアントは不動探偵事務所を営む不動明さん。
探偵業界の厳しい状況のなか、事務所経営の将来に悩みを抱えています。
じつは不動さんには、もうひとつの顔があります。
ビジネスモデル鑑定士の古賀さんは数年前、親の捜索を不動さんに依頼したことがあり、その後偶然にも不動さんの秘密を知ることとなりました。
今回は、その信頼関係に基づき、二つの顔を持つ不動さんのビジネスについて考えていきます。
古賀さん「よく来てくれましたね、不動さん。コーヒー、どうぞ」
デビルマン「お忙しいところ、わざわざお時間を取っていただき申し訳ございません」
古賀さん「いやいや。前に、うちの母の所在を突き止めていただいたご恩は忘れていませんよ。認知症で行方不明になった母を、あっというまに見つけてくれたんですからね」
デビルマン「古賀様のお母様のケースは特別なことではございません。私どもの探偵事務所は、微力ながら多くの方々の捜索をお手伝いさせていただいております」
古賀さん「そうそう、それですよ。不動さんのその謙虚で誠実なところ。正直、探偵さんって、もっとこう…ギラギラした感じかと思ってたんですけどね」
デビルマン「恐縮でございます」
古賀さん「その姿勢には感銘を受けますね…だから私、あの夜、街で目撃したデビルマンが不動さんだと気づいても、黙っていられたんです」
デビルマン「…その件は本当に申し訳なく。私の正体を知っていながら、一切口外せずにいてくださり、感謝の言葉もございません」
古賀さん「お互い秘密は守り合いましょう。それより、今日はどんなご相談でしょうか？」
デビルマン「探偵事務所の経営のことで悩んでおりまして。ネットの発達で、素人でも調査できることが増え、探偵への依頼は年々減少の一途です」
古賀さん「うーむ。厳しい状況なんですね」
デビルマン「はい。このままでは事務所の存続も危うい状況です。夜間は悪魔と戦うため、日中しか営業できないのも、経営を圧迫する要因かもしれません」
古賀さん「ふむ。あ、すみません、つい教えたがりが出そうになって。いえ、なんでもないです」
デビルマン「いいえ、どうぞご意見をお聞かせください。古賀様は以前、経営コンサルタントをされていたと伺っております」
古賀さん「ええ、まあ。今はビジネスモデル鑑定士として、起業を考える方のお手伝いをしているんですが…不動さん、逆転の発想をしてみませんか？」
デビルマン「逆転の発想、でしょうか？」
古賀さん「はい。デビルマンとしての能力を、事業に活かすんです」
デビルマン「それは…邪道ではないでしょうか。この力は、人々を守るためにいただいたものですから」
古賀さん「人々を守る。その目的は変えなくていいんですよ。たとえば、空から街の危険箇所をチェックする防災アドバイザーとか」
デビルマン「なるほど…確かに、空を飛べる能力を活かせば、地上からは気づかない危険も見つけられそうです」
古賀さん「子供向けの護身術教室というのも面白いかもしれません。実際に悪魔と戦ってきた経験を、子供たちの安全に活かす」
デビルマン「でも果たして私のような者に、そんな器用なことが…」
古賀さん「あ、すみません。また余計なことを言いました」
デビルマン「いえ、そんなことはございません。むしろ、目から鱗が落ちる思いです。私は戦うことだけが、人々を守る方法だと思い込んでいました」
古賀さん「ビジネスって、社会貢献と両立できるんですよ」
デビルマン「古賀様、誰かのために何かをしたい、その思いをビジネスに変える方法を、ぜひ教えていただきたいのです」
古賀さん「そう言っていただけると嬉しいです。不動さん、まず小さなことから始めませんか？たとえば週1回だけでも、子供向けの教室を開くとか」
デビルマン「なるほど。確かに、いきなり大きな変更は危険ですね」
古賀さん「そうそう。小さく始めて、手応えを確認しながら育てていく。でも本当に、『デビルマンの力』は立派な経営資源になりますよ。それを活かさない手はない」
デビルマン「ありがとうございます。少しずつですが、前を向いて進んでいけそうな気がしてきました」
古賀さん「あ、もっといろいろアイデアが…いえ、今日はこのくらいにしておきましょう。じっくり考えて、また相談してください」
デビルマン「はい。本日は本当にありがとうございました。悪魔の力を使って稼ぐことには後ろめたさを感じていたのですが、それを人々のために活かすのであれば、むしろ私の使命なのかもしれません」
古賀さん「ビジネスと社会貢献、ぜひ両立させましょう」
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