オフロードバイクはツーリングの楽しさを教えてくれた!最初の1台にベストな選択だったXR250 BAJA。
自分の中でバイクへの情熱が蘇ってきたので、かつて乗っていたモデルを振り返ってみることにした。まずは、免許を取って初めて乗ったオフロードバイク「’96 HONDA XR250 BAJA」から書いてみたいと思う。
XR250 BAJAとの出会いと選んだ理由
学生時代、私は50ccの原付きバイクに乗っていた。社会人になると車を手に入れたが、友人たちがツーリングを楽しんでいると聞いて、私もバイクに乗りたいという気持ちが高まる。思い切って教習所に通い「普通自動二輪免許」を取得すると、バイクの選定に入った。
当初は、ホンダの「CBR250RR」を中古で手に入れようと考えた。かつて乗っていた原付きはフルカウルの「NS-1」だったので、その流れでレーサーレプリカにしようと決めていたのだ。友人と一緒に地元のバイク屋を訪れると、保管先の倉庫に案内される。
お目当てのCBRを見つけるも、その手前にたまたま鎮座していたのが「XR250 BAJA」だった。シンプルな車体だが、大きなデュアルヘッドライトが目を引くデザイン。許可を得てまたがってみると、とても乗りやすそうだ。オフロードバイクには興味がなく、むしろカッコ悪いとすら思っていたのだが、このバイクにはなぜか惹かれた。
そんな私を見て、友人たちが必死にCBRを推してくる。しかし、私はすでにBAJAしか眼中になく、その場で購入を決めた。
XR250 BAJAの基本スペックと特徴
XR250 BAJAは、ホンダが販売していたデュアルパーパスモデルだ。
ベースとなるXR250に大型ヘッドライトと大容量タンクを追加装備しており、オフロード性能を持ちながら長距離ツーリングもこなせる。ちなみにBAJAは「バハ」と読み、メキシコのデザートレースに由来する。
エンジンは249ccのSOHC空冷単気筒。燃料やオイルを含めた車両重量は139kgと軽量だ。背は高く、市販のバイクカバーでは車輪が収まりきらなかった。燃費は記憶では平均33km/Lほどで、14Lのタンク容量によって、リザーブに切り替えなくても400km近くは走行できる。5速と6速はオーバードライブで、高速道路もそこそこ走れた。
特徴的なのは、ドライサンプという潤滑方式だ。オイルはエンジン下のオイルパンではなく、メインフレームの中に収まっているという独特のもので、重心が低くなるという利点がある。ただ、オイルの交換には少々手間がかかると聞いた。自分では整備しなかったが。
私が購入した車体は「キャンディリバイヴレッド」というカラーで、茶色みを帯びた赤色がどこかオフロードっぽくなく気に入っていた。中古車ながら、タンクの目立たない箇所に小さな傷が1箇所あるだけで、状態は極上だったと思う。値段は中古で35万円だった。
▼メーカー公式の動画
四国や九州を駆け巡ったツーリングの思い出
XR250 BAJAは、どこまでも走っていけるような気にさせてくれるバイクだった。
このバイクで友人2人と四国をツーリングしたのは、今でも良い思い出だ。夏季休暇を利用してフェリーで松山に渡り、時計回りに四国一周を目指した。3日間では時間が足りず、須崎から北上して四国カルストをパスしつつ山口に戻ったが、初めての旅でとてもテンションが高かったことを思い出す。BAJAは、初めての長距離ツーリングでも本当に不安なく扱えた。
その翌年には、同じメンバーで九州を目指した。やまなみハイウェイを南下して阿蘇で一泊。翌日は西方に進路をとって天草五橋を通過し、フェリーで鹿児島に渡ってもう一拍。3日目は池田湖などを巡った後、高速道路で一気に山口まで帰った。帰宅は夜中の2時を過ぎるなど、ノープランかつ強行スケジュールだったが、BAJAでの旅はとても快適だった。
ソロでも、福岡の平尾台付近にある林道をよく訪れた。ある時、大きな段差に出くわして「これは転倒する」と覚悟したが、難なくクリアしてしまう。オフロードバイクの悪路走破性を思い知った瞬間だった。
とても乗りやすいXR250 BAJAだが、惜しい点も
XR250 BAJAの最大のメリットは、その乗りやすさだと思う。身長168cmで短足の私はつま先立ちとなり、足つきはあまりよくなかったが、車体は軽量で立ちゴケすることなく、扱いやすいエンジンも相まって不自由は全く感じなかった。
燃費も良いので、ツーリング中も頻繁に給油する必要がなく便利だった。前のオーナーが付けた社外品のリアキャリアも重宝し、仲間から任せられたキャンプ用品をしっかり載せられた。
エンジンのかかりは異常なほど良く、その日の2回目以降はセルボタンを押した瞬間に始動した。高速道路では100km/h巡航も可能だったが、法定速度の60km/h強くらいが最も走りやすかった。走行中は目線も高く、ツーリング中はきれいな景色を楽しめるなど快適だった。
一方、デメリットとしては、スピードが出ない点が挙げられる。高速道路では友人のリッターバイクについて行けず、シールドもつけなかったので風圧も強かった。また、デュアルヘッドライトは非常に明るかったが、フレームマウントで進行方向を照らさないため、夜間の山道ではカーブの先が見えず心許ない。シートが細く、長距離ではお尻が痛くなるのも難点だった。
パンクも含めて故障は全くなかった。高速道路上でテールランプが切れたくらいだ。その時はとても怖かったが、走行車線を走りつつ、後ろから迫る車にブレーキランプを点灯させてアピールすることで何とかしのいだ。
カスタムとしては、手放す直前にオンロード系のタイヤ「D604」や、ラフ&ロード製のマフラーに交換したものの、当時の私には違いがあまり分からなかった。
最初のバイクとしてベスト、また乗りたい1台
XR250 BAJAは、最初のバイクとしてベストな選択だったと思う。
タンク容量が大きく燃費も良いため、ツーリングではその性能を存分に発揮してくれた。若かった私は、見栄を張って大型バイクに乗りたくなり手放してしまったが、今ならもっと長く乗っていただろう。思い返しても、本当にワクワクしてくる。
現行でBAJAに近いモデルは、CRF250L Rallyだろう。ただ、車重があるのでBAJAのような軽快さは感じられないかもしれない。それでも、長距離ツーリングをこなせるオフロードバイクとして、購入候補に挙げたい1台だ。ネックは中古相場は高いことか。
確かに、オフロードバイクは万人受けするタイプではない。かつての私も、XR250 BAJAに出会うまでは興味を持っていなかった。ところが、一度乗ってみるとフットワークの軽さに感動し、どこまでも走っていけるような気分になれる。この感覚はオンロードバイクでは味わえない。
もし興味があるのなら、イメージや先入観に囚われず、ぜひ一度オフロードバイクに乗ってみてほしいと思う。