もうずいぶん前のことだが、
私は3つの夢を同時に見たことがある。1つ目の夢では私は大きな鳥になっていた。あまりに大きすぎて誰も私を見たことがなかったし、私も自分の姿がわからなかった。鳥であるという確信だけが強く心に残っていた。大きすぎて止まれる木もないし、飛べる空もなかった。しかし私は孤独ではなかった。たくさんの大きすぎる鳥たちが美しいとは言い難いがとてもやさしい声で鳴きながら私のことを待っていたくれたからだ。大きすぎる彼らの姿を見ることはできなかったけれど孤独ではなかった。2つ目の夢では私はとても正直だった。見たことのない大きな鳥のことを世界中で私だけが信じていた。私ではない世界中の人々は大きな鳥の存在を信じられず、いや本当は信じているということに正直になれずに大きなパイを食べていた。見る分には大きすぎず、食べる分には大きすぎるパイを私だけが少し残した。3つ目の夢では私はずっと遠くにいた。こんなに遠くにいるのに大きすぎる鳥の羽根の一枚のすっと静かな輪郭線の一端すら見えなかった。目が覚めると私は食べ残したパイを温めてからティーバッグの紅茶と一緒に食べた。私は孤独だった。私は正直ではない。私はここにいる。大きな鳥をみることもできない。
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