ヒメネズミ
屋久島。土砂降りの中、予定より二時間遅れで山小屋についた。
小屋内は先行者は少ないものの床までびしょ濡れの状態。遅めの夕食を終え寝袋にもぐりこんだ。と、ここから新たな戦いが・・・
ウトウトしだしてすぐ、何やらスタッフバッグから音がする。明かりをつけて確認すると、食料袋のあたりで動くものが。何度かの確認でそれが「ヒメネズミ」の仕業であることが分かった。仕方がないのでびしょ濡れのバックパックにつっこみ再び眠りにつく。
甘かった。今度はバックパックの中に入ろうとゴソゴソと音がする。もう眠くて仕方がないので濡れたバックパックを引き寄せ抱きながら眠ろうとした。
再び、甘かった。寝袋の上を平気で行き来し始め、なんとかバックパックに入ろうとする。
最後の手段だ、眠気を抑えて小屋の梁からロープを垂らして食料袋をくくりつけた。これで勝った、ネズミに勝ったと眠りについた。
しかし、野生動物の食料に対する情熱を甘く見ていた。数分後には、梁からロープをつたって下りていくネズミを見た。その後は揺れるスタッフバッグを眺めながら眠りに落ちてしまった。
翌日からは全て袋に穴が開いた食料を食べて過ごした。ヒメネズミの「食べ残し」だ。完全敗北だ。