人生、ときめいていますか?
早いもので、2021年もあと僅か。
今回は年の瀬にちなんで、以前、ふと思ったことを書くことにしよう。
歳を取るほど、1年が過ぎるのをあっという間に感じる、という感覚。皆さんにも身に覚えがあるのではないだろうか。
これは19世紀にフランスの哲学者、ポール・ジャネが、自身の著書で「ジャネの法則」として説明している。簡単に言えば、生涯のある時期における時間の心理的な長さは、年齢に反比例する、と主張したものである。
例えば、50歳の人間にとって、1年の長さは人生の50分の1だが、5歳の人間にとって、1年の長さは人生の5分の1に相当する。
つまり、50歳の1年間は、5歳のときの1年間と比べると、10倍の早さに感じる、というわけだ。
まあ、理屈としてはわかる。
一方で、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」の台詞で有名なチコちゃん。
彼女の主張は、ジャネと異なる。
その言い分は、「人生にトキメキがなくなったから」だそうだ。
つまり、日々の出来事で心が動くことが少なくなったために、年月があっという間に過ぎるように感じるようになる、というのだ。
例えば毎日の食事。子供の場合は
「今日のご飯は何だろう?」
「どうやって作っているんだろう?」
「どんな味がするんだろう?」
「ニンジンが星の形をしている!」
「うわー、大好きなポテトサラダだ!」
と、素朴な疑問や新しい発見、新鮮な驚きなど、多数のトキメキがある。
だから、食事の時間が長く感じる。
しかし大人の場合は、食事をする、という作業をこなすだけ、ということも少なくない。
だから、食事の時間が短く感じる。
なるほど。チコちゃんの主張のほうが、私の感覚にはしっくりくる。
医療業界に携わるようになってからの7年間、思えば私の人生は、変化の連続だった。
妻との結婚。先代の死。事業承継。2人の子供の誕生。病院改革と経営改善。苦労と失敗の連続だった。ようやく経営が軌道に乗って一安心。と思いきや、まさかのコロナ危機。所属していた青年団体の活動に一切参加できなくなったことがきっかけで始めた、m3やYouTube、Twitterによる情報発信。そして、このnoteへの挑戦。
短く感じるどころか、むしろ人生の中で、最も長く感じる7年間だった。
(それはとても恵まれたことだったのかもしれないな…)と、チコちゃんお決まりの、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という叱責を聞きながら、しみじみと思ったことを覚えている。
この時間の感じかた。心理学や哲学の世界では、他にも様々な研究や主張がある。
例えば、時間の経過を気にすると、ゆっくり感じるようになる。
これは「早く仕事の時間が終わらないかな…」と時計をチラチラ見ているようなとき。
こんな時間は、あまり過ごしたくない。
一方で、何かに没頭しているときは、時間の経過を早く感じる。
これは「大好きなゲームをしている」ときや「釣りで、水面に漂う“浮き”が沈むのをじっと待っている」とき。
こんな時間の過ごし方は、悪くない。
つまり、時間の流れをゆっくり感じようが、早く感じようが、それ自体に大した意味はない。
大切なことは、後々に自分が過ごしてきた時間を振り返った時に、
「ああ、良い時間だったな」
と思えるかどうか、ということなのだろう。
私も人生の折り返し地点を過ぎたところ。
変化を感じ、変化を起こし、それによって自分の心にうまれる”トキメキ”を大切にして、毎日を生きていきたい。
2021年も、もう終わる。
皆さんにとって、この1年は、どんな1年だっただろうか。