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伊達朱里紗、徐(しず)かなること林の如し。インパチを逃すハギーの裏側で・・・
東2局のことだった。
萩原が清一色へ向かうか?あるいはリーチするかどうかで悩んだ局のこと。
伊達の配牌はこちらメンツなしの両面が一組という最悪の配牌。ここから伊達は9P、北、發と切り出してゆく。
![](https://assets.st-note.com/img/1702420679047-b5vkO0MuD6.png?width=1200)
一方、こちらがハギーの手ではあるが2S切りのリーチを選択した。しかし実は23Pを外せば、2~9sまでどれを自模ってもダマインパチの聴牌が取れる形でもあった。このままリーチをすれば最悪3900の手になってしまう可能性がある。
![](https://assets.st-note.com/img/1702420951352-rTXTG14HA1.png?width=1200)
このように受け入れがとんでもなく広く、かつ、攻撃力が3~4倍も増すシーンでは、個人的にはリーチせずの清一色へ向かう。東城などはまず間違いなく清一色へ向かうタイプの雀士ではないだろうか。
寿人であればリーチの可能性が高いのかもしれない。ここら辺は個人差がある。無論、萩原のリーチにもそれなりの理屈はあるし間違っているとまでは言えない。
ただ結果的には次順、ハギーは8S自模により清一色へ向かっていれば日向のリーチ宣言牌7Sでインパチを捉えることが十二分に可能であった。おそらく何割かの人は清一色へ向かうという判断を取ったに違いない。
しかし今回のnoteの主人公は伊達の手組にある。
![](https://assets.st-note.com/img/1702421776581-LJWXATDnnl.png?width=1200)
上のキャプチャーを見て欲しいのだが、伊達は絶望的な配牌からもうこの局では上がりを半ばあきらめて、親の河においてソウズが高かったためなのか13s、79sのペンチャンカンチャンをおもむろに切り始める。と同時に、自分すでに切っていた發や北を二度目に自模るやそれを手牌の中に残し、守備固めを5巡目前後からすでに準備していたのだ。
ここからが伊達の真骨頂だ。
ソウズが高い場況では当然、後半になればそれは危険牌になる。
逆に言えば、リーチがかかっても手元の数牌もソウズを整理しているため比較的安パイになりやすい。そして気が付くと安パイとして残していた發が3枚重なり、伊達はあの最悪の配牌からガチガチに守備固めをし安全性を担保しながらの進行で、リーチ、發、赤、ドラの満貫確定の両面聴牌を入れていたのだった。
リーチ時で満貫確定させていたのは伊達だけだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1702422406275-O7LtF2pa8f.png?width=1200)
結果はご存じのようにハギーが満貫自摸ではあった。しかし結果論だけでは語りつくせない伊達の力量が垣間見えた一局ではなかったかと思う。内容的にはぴか一であった。
ところで伊達のこの戦術、どこかで見たことはないだろうか?
そう、園田や勝又がよくやっている。両面以外、字牌を3~4枚程度持ち、安全を担保しつつもし両面が順子になれば字牌を切り、3面待ちやあるいは手が大きく育った時のみ、追っかけて仕留めるというあれだ。
こうした戦術面についても伊達はすでに技術の一つとする程度の成熟度には達しているということなのだろう。
決して運だけで勝ってきたわけではないことを知らしめる一局だったように思う。
当noteでは伊達の打牌を否定的にレビューしたものも2つはあるし、肯定的にレビューしたものも、これで2つ目になるだろうか。
肯定レビュー
否定レビュー
誰もが守備へ完全にシフトしたと思い込んでいたところへ、突然、後方からすっと姿を現し、攻撃を開始し満貫のリーチを放つ。
まさに、静かなること林のごとしである。
伊達の強さの秘訣は、静かなるこうした落ち着き払った打牌の中から醸成されるのかもしれない。
実に面白い雀士だと思う。
初見の人は是非下記のnoteもご参考ください。