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勝手に動画分析 #61「作品から匂う"シネマティックみ"という方向」

こんにちは、BYNDのNATUです。

BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。

noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。

今回は、過剰にすら感じるシネマティック演出が特徴的なナラティブショートを紹介。



EL VIAJE


 (via vimeo|Lou Escobar)




今回の5項目チャートはこんな感じです。


今回のエクストラ項目は「シネマティックみ」


そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。



[LOOK:★★★★]


しっかり作られた綺麗で優等生なLOOK。ティール&オレンジがベースだと今の時代性では一見すると少しレガシーな印象もありますが、スモーキーな彩度や光源のブルーム感(発光ボケ)も含めて映画らしさ盛り盛りなので、この毒っ気がむしろ味わい深いなと思います。


[音:★★★★]


音まわりの組み方がとてもうまく、サウンドデザインは非常に整っています。BGMにもシーンやアクションに合わせたリバーブ(反響)の強弱を加えたりと世界観につなげる演出に抜かりがありません。


[編集:★★★★]


構図・つなぎ・視線コントロールなど全体的に無駄がなく、スッと見進められます。作品内容そのものに集中できるのはうまい編集がされている証拠。そんな中にあって一点エッジが立っているのがボケの使い方。レンズ的なナチュラルなボケと編集でのボケ(ブラーやグロー)の両方をうまく使っていて、画面情報を巧みに整理するとともに表現としての個性も生み出しているなと感じました。


[構成:★★★]


しっかりした脚本を感じる構成で短い作品尺の中に物語をちゃんと落とし込んでいます。数分という尺に物語を詰め込むスタイルはクリエイティブショートやナラティブショートというジャンルになりますが、個人的には表現として面白いジャンルかなと思っていて、数年前に比べると少し勢いが陰ったものの今後もどんどん出てくるといいなと思います。


[シネマティックみ:★★★★★★]


シネマティックではなく「み」がついてるところに差分を出したいところなのですが、一世風靡したシネマティックが純粋に映画的で格好の良いビジュアルとするならシネマティックみは一周回って"シネマティック"を表現の一端として利用するような、そんなイメージ。この作品は画面内の光の配置、影&陰の作り方、カラー、そして前述のボケコントロールなど、やり過ぎ一歩手前をうまく駆け抜けてる印象で、そこがなんだか今溢れる写実ラインの潮流と比較して面白さにつながっているように感じます。




さて、以上いかがでしたでしょうか。

動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。

それではまた次回。NATUでした。

(Writer:スタッフ NATU)

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