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勝手に動画分析 #63「記録を作品に仕立て上げるロジックが垣間見える」
こんにちは、BYNDのNATUです。
BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。
noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。
今回はショートドキュメンタリーから。記録動画の生々しさに演出が加わることで虚実の合間にある世界が堪能できます。
大师糊闹 Grand Master Meltdown
(via vimeo|Ben Mullinkosson)
今回の5項目チャートはこんな感じです。
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今回のエクストラ項目は「画面力」
そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。
[LOOK:★★★★★]
すごいきれいなLOOKです。色自体は結構誇張されていますが素直なLOOKもうまく挟み込んで全体としてクドくならないように中和していて全然嫌味に感じません。色のバランス取りがうまい。
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[音:★★★★]
サウンドデザインも上質。ドキュメンタリーのクオリティを左右するダイアログはもちろん、生音全般とても綺麗に録れていて、アンビエンスやフォーリーそれぞれの切り分け・使い方もうまい。すごく世界観がある音なので個人的に実地での録音環境がとても気になります。
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[編集:★★★★]
テクニカルではないですがつなぐ絵の選び方がうまく、そこからストーリー性を生み出し作品の深みにつなげています。ストリートの要素がある中であえてエッジを立たせない編集にすることで生まれるこの世界観がまた面白い。
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[構成:★★★]
ドキュメンタリーという性質上、構成にひねりを加えることは難しいものの単純な記録映像にならないように「静」のシーンと「動」のシーンの展開でしっかり起伏を生み出しています。ストリートイベントの裏側の日常感というモチーフの選び方も秀逸。
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[画面力:★★★★★★]
1シーン1シーンそれぞれ画面力がとても強いです。曖昧な言い方ではあるのですが、伝えたいことを「より的確に」「より魅力的に」「より惹き込んで」伝える力というか。映画みたいに作り込める環境ではないのにこんなことができているのは驚愕です。とくにこの画面力に一番影響しているのが構図で、もっと言い方を詰めると「余白」の使い方がすごくうまい。これは空間的な余白ではなく「情報量としての余白」の配置の仕方というところで、そこにかなり気をつかって作っているなと感じます。視聴者に意識させる部分とさせない部分を画面にどう配置させるかというのがはっきりと見えていて、全体通して「空間的な余白」「間」「奥行き感」などの演出パーツがとても巧みに使われています。逆に言えば、そこをかなり意識することで単なる記録にはとどまらない作品力の高いものが作れるのだなと思いました。
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さて、以上いかがでしたでしょうか。
動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。
それではまた次回。NATUでした。
(Writer:スタッフ NATU)