勝手に動画分析 #50「カメラの動きと手ブレが生みだす今らしいリアル感」
こんにちは、BYNDのNATUです。
BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。
noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。
今回は新しい世代の表現を垣間見た日本のMVを紹介。
Summer Whales - Crack! (Music Video)
(via YouTube|Summer Whales)
Director: Bumpei Sumitani
Producer: Ryo Nagata
Director of Photography: Bumpei Sumitani
Creative Director: Aoi
Production Manager: Rintaro Ito
Production Designer: Bumpei Sumitani
Lighting Director: Seon Jung Kim
Gaffer: Seon Jung Kim
Camera Assistant: Seon Jung Kim / Anto Matsunaka
Offline Editor: Bumpei Sumitani / Rintaro Ito / Seon Jung Kim
Colorlist: Rintaro Ito
今回の5項目チャートはこんな感じです。
今回のエクストラ項目は「LIVE感」。惹きつけるナマ感。
そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。
[LOOK:★★★★]
荒々しくエッジあるコントラストと色彩。世界観に沿った撮って出し感あるLOOKながらしっかりカラーも調整されていて、表現としての粗さを軸にしながらけして見苦しくない画作りになっているバランス感が見事。
[音:★★★]
MVなのでサウンドデザインはないものの、楽曲の疾走感に合わせた作品構成でとても気持ちよく見進めることができます。
[編集:★★★★]
なかなか面白い編集で、全体的に文法を突き破りつつも独特のマッチカットでつなぐ手法が目を引きます。存在感やナマ感を重視したフッテージ選びも面白く、映像言語としての伝達力が強くない「手ブレ素材」「ピンボケ素材」を多用していく編集には唸りました。そのぶん編集難易度はグンと上がるんですがしっかり乗りこなしてますね。うまい。
[構成:★★★]
構成としてはシンプルで、アーティストの歌う様子を手を変え品を変えながらつなぐスタイル。この手のスタイルはともすれば飽きてしまいがちな構成なんですが、楽曲の疾走感とリンクしながらつなぎや並べるフッテージをうまく使い分けることで、オーディオビジュアライザー的な側面を生みながら最後まで一気に引っ張っていきます。
[LIVE感:★★★★★★]
なにかと体裁整ったものが作れてしまう時代だからこそ、そこにちゃんと存在してるようなLIVE感というのはエモいわけなんですが、最近の動画界隈の流れとして「加工していない感」というのが一つの波として来ている気がします。この作品は構図やカメラの動かし方などはスマホ撮りらしい見慣れた画作りながら、今のスマホでは撮ることのできないブレ感やフォーカスの合わなさを付加することで「リアル感がありつつもなにか違う」という魅力を生んでいて、なんだかとても今っぽいなと。一昔前はこの手ブレ感なんかは勝手にそうなってしまうからこそのリアリティ表現だったんですけど、今はブレにリアリティはなく、逆にこの作品のように「上質な手ブレ」をあえて撮るために試行錯誤する時代なんだなあと感じました。
さて、以上いかがでしたでしょうか。
動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。
それではまた次回。NATUでした。
(Writer:スタッフ NATU)