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勝手に動画分析 #53「現地撮影から生まれる臨場感と熱量、そして上質な雑味」

こんにちは、BYNDのNATUです。

BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。

noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。

今回はQuavoとLenny Kravitzのコラボ楽曲のMVを紹介。原曲に通じる荒々しいカメラワークとガツガツに攻めた編集のダブルパンチが脳に効きます。


Quavo, Lenny Kravitz - FLY (Official Video)


 (via YouTube|Quavo Huncho)



DIRECTOR: Jake Nava
DOP: David Johnson
EDITOR: Jarrett Fijal


今回の5項目チャートはこんな感じです。

今回のエクストラ項目は「雑味」。


そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。



[LOOK:★★★★]


ドローン・手持ち・アクションカムと様々な撮影機材が使われ、編集もかなりアグレッシブ。そんな中モノクロという手法で全体の統一感をうまくとっているので楽曲にスッと集中できるこのLOOK作りは見事です。


[音:★★★]


MVなので目立つサウンドデザインは無いものの、オリジナル曲をリスペクトした冒頭のSEやアンビエンス感のある機械ノイズ、終わり際のリバーブなど細かく仕上げられていて、クリエイターのこだわりを感じます。


[編集:★★★★★]


撮影素材の圧巻のエネルギーに真っ向から当たっていくような編集がかっこいい。もうバチバチですよ。個人的に好きなのが「外し」の編集で、カメラが被写体から外れるその一瞬やブレてしまった瞬間なんかをかなりうまく使っていて、そこがまたアーティストの持つ魅力にリンクしていてとても格好良いです。この辺の使い所のセンスはエディターのクリエイティブがまさに発揮されるところですね。他にも随所に後編集でのビジュアル演出が登場していて撮影サイドだけでなく編集サイドでも刺激的で参考にしたい表現が目白押しの作品です。

随所に感じる外しの美学。


ここのデジタルズームもすごくいい。


ほかにも盛り沢山な表現。全てかっこいい。


[構成:★★★]


アーティストのライブパフォーマンスを撮るという非常にシンプルな構成ながら、とてもバリエーション豊かに仕上がっているのは驚きです。オリジナルのMVのもつ圧のある世界観を内包しながら、空間を見せるような開放感ある別アプローチも加わっていて見応えも十分です。


[雑味:★★★★★★]


機械制御やデジタルな数値制御では生み出しにくい、人の手から生まれるランダム性が持つ魅力を感じた作品でした。とくに最近はAIやらCGやらで整ったものを目にすることが増えたからか、殊更にそのあたりを感じるようになってきました。この作品ではそんな雑味とも言える演出や表現が多く、そこにこそ人の心に刺さる不思議な魅力が隠れているような気がします。撮影も編集も雑味に溢れに溢れたとてもかっこいい作品でした。




さて、以上いかがでしたでしょうか。

動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。

それではまた次回。NATUでした。

(Writer:スタッフ NATU)

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