勝手に動画分析 #59「感覚をMIXするような斬新な映像表現」
こんにちは、BYNDのNATUです。
BYNDではナビゲーターやTAとしてセッションに参加しています。
noteでは「週末にゆっくり嗜む動画」というコンセプトで個人的に気になった動画を毎回一つ取り上げ、4つのベース項目と1つのエクストラ項目の計5つを軸にその動画の唸るポイントを分析したり解説したりしてみたいなと思ってます。
今回は日本のMVから。絵を描くように動画撮影が行えるようになったからこそ生まれてくる今らしい感性が心地よい。
Water Maze - Motion (Official Video)
(via YouTube|Water Maze Official)
今回の5項目チャートはこんな感じです。
今回のエクストラ項目は「メタ度」。
そしてそれぞれ5つの項目のショートコメントがこちら。
[LOOK:★★★]
最近では定番化しつつあるローファイな映像を逆手に活用したLOOKですが、雑多なシーンやバラエティある素材などが混在する中でもカラーはちゃんと統一感を出していて調整のうまさを感じます。編集の項でも少し触れますが、低クオリティ素材を高い技術で調理することで生まれる表現というのはまた独特の味を持つ気がします。
[音:★★★]
MVなので映像に絡むサウンドデザインはないものの、映像と楽曲の世界観がしっかりマッチしていて高い作品力を形成しています。
[編集:★★★★]
メインとなる映像フッテージが低機能なカメラで撮られているため、高いブレ感&低いボケ感となっていて編集するにはとても扱いが難しいのですが、そこをうまく乗りこなしているなという印象です。各カットの選び方や並べ方、デジタルズームを含めた各種エフェクトの使い所もうまく、素材の悪さに引っ張られない高い編集力を感じます。手軽に動画を撮れることで「映像」自体は膨大に溢れていってますが、その次のステージとして編集して「作品を編む力」というのが今後カギになってきそうだなと思いました。
[構成:★★★]
同じ撮影シチュエーションの素材でもシーンごとに切り刻んで各所に配置したり、極端に構図を変えることで印象自体も変えていたりと、構成としてちゃんとメリハリを作っているのがうまい。楽曲の疾走感とアーティストのもつ独特の熱量が構成を通してしっかり伝わってきます。
[メタ度:★★★★★★]
表現に迷いましたがメタ度としました。言いたかったのは、現実と非現実の曖昧さがすごいなというところで、これは受け手(視聴者)側の感想の話ではなく、作り手側に「リアルとかヴァーチャルという垣根がそもそもない」からこそなんだなと感じます。実写フッテージからは現実感のなさや浮遊感を感じる一方でCGやAI的なビジュアルにこそリアリティを感じてしまったりと、この感覚がとても不思議で面白い。少し大げさですが映像表現の変革の一端のようなものを感じる作品でした。
さて、以上いかがでしたでしょうか。
動画の面白みに少しでも触れてもらえたなら嬉しいです。
それではまた次回。NATUでした。
(Writer:スタッフ NATU)