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大切な人を守るために知っておきたい、「パートナーシップ制度」の現状
こんにちは、by for the rainbow編集部です!
同性カップルが一緒に暮らし、人生を共に歩む中で、「もしものとき」の法的なリスクをどう考えるべきかは重要な問題です。たとえパートナーシップ制度を利用している場合でも、「法的には他人」であるという事実が、思わぬトラブルや心配事を引き起こすことがあります。
今回は、当事者による当事者のための士業&議員のグループ「by for the rainbow」が考える、同性パートナーシップ制度の現状についてお伝えします。
パートナーシップ制度って、同性婚の代わりになる?
「パートナーシップ制度」という言葉、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 自治体によっては、同性カップルを公的に認める制度を導入しており、これを活用している方もいます。
全国に広がってきたパートナーシップ制度
パートナーシップ制度は、2015年11月に渋谷区と世田谷区で初めて導入されて以来、全国に広がりを見せています。全国で278の自治体がこの制度を制定済み、または制定予定となっています。(2025/2/8時点)
しかし、この制度を 「同性婚とほぼ同じ」と考えてしまうのは大きな誤解 です。制度の限界を知らずにいると、いざというときに大切なパートナーを守れない可能性があります。
パートナーシップ制度でできること
パートナーシップ制度は、自治体ごとに内容が異なりますが、一般的には以下のようなメリットがあります。
・病院での面会や付添いが認められることがある(例:大阪府堺市の「堺市パートナーシップ宣誓制度」では、市の医療機関においてパートナーの面会や手術の同意を求めることができると明記されている)
・公営住宅などの入居資格としてパートナーを家族として認める自治体が増えている
・生命保険の受取人を同性パートナーに指定できるケースが増えている(例:ライフネット生命では2015年11月から同性パートナーを受取人に指定可能)
・賃貸契約においてLGBTカップルへの理解が進みつつある(例:渋谷区のパートナーシップ制度では、違反した事業者への是正勧告や公表の制度がある)
・クレジットカードの家族カードを作成できるカード会社が増えている
・携帯電話や動画配信サービスなどの家族割・ファミリープランが適用されることが多くなっている
・企業の福利厚生で家族向けの制度が利用できる場合がある
認知が進んできた点から、「公的に認められたカップル」として扱われることで、社会的な安心感が得られることもメリットのひとつです。
しかし、これだけで十分ではない
一方で、パートナーシップ制度には 法律上の効力がほとんどない という大きな問題があります。
たとえば
1. 相続権がない
パートナーが亡くなった場合、法的には「他人」扱いのため、遺言がないと財産を相続できません。場合によっては、パートナーが住んでいた家を相続できず、退去を求められることも。
2. 税制上の優遇措置がない
異性愛の夫婦なら配偶者控除や相続税の軽減措置を受けられますが、同性カップルは適用されません。例えば、パートナーが亡くなって財産を相続する際、法定相続人でないため 高額な相続税が課される 可能性があります。
3. 法的な扶養義務がない
パートナーが病気や失業をしても、「家族」として扶養義務がないため、社会保障や手当を受けられないことがあります。
4. すべての病院で面会が保証されるわけではない
パートナーシップ制度を利用していても、病院によっては「家族でない」として面会を拒否されるケースがあります。
つまり、パートナーシップ制度を利用していても、法的には「他人」のまま。もしもの時に守られない可能性があるのです。
相続の問題、どうすればいい?
「ずっと一緒に生きてきたのに、亡くなった途端に財産が赤の他人に渡るなんて……」
パートナーシップ制度は同性婚の代わりにはなりません。でも、以下の方法を組み合わせることで できる限り法的な保障を強化する ことは可能です。
遺言書を作成する(財産を確実に残すため)
養子縁組を利用する(法的な家族関係を結ぶため)
信託契約を結ぶ(財産管理を明確にするため)
公正証書を作成する(互いの権利や意思を明確にしておくため)
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パートナーシップ制度の限界を知った上で活用を
パートナーシップ制度は、社会的に認められるための大切なステップですが、法的な保障はほとんどなく同性婚とは根本的に異なるもの です。
制度のメリットと限界を理解し、必要な法的対策をとることが 大切な人を守るための第一歩 です。
「パートナーシップ制度があるから大丈夫」と思い込まずに、「いざというとき、本当に大切な人を守れるのか?」を考えてみませんか?
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今回は、「パートナーシップ制度」について紹介しました。
同性カップルは個人の状況によって対策すべきことが異なりますが、同様の事例を調べることは極めて難しいです。
相続や法律、行政にまつわることはLGBTQ+の事例に詳しい専門家に相談できると安心ですよね。
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